金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

低調な米小売売上高よりも低インフレが今後もドル売り材料に

更新日:2016年8月13日(土)

12日のNY市場では、米国の消費失速と低インフレ継続を示唆する指標にドル売りが急速に進む場面が見られました。
7月の小売売上高が前月比+0.0%となって予想の+0.4%を下回り、自動車を除く数値も前月比+0.1%予想に対して-0.3%と大きく失速。ただし、6月分はいずれも0.2%上方修正されて+0.8%と+0.9%へ。単月ではやや悲観的にもとれる数値ながらも、前月比増減の数値では定期的にマイナス圏へと落ち込むのがこれまでの流れ。6カ月平均で見ると、小売売上高は昨年3月以降は一度もマイナス圏に落ち込むことなく、7月の0.37%は昨年8月の0.52%以来1年ぶりの高水準。自動車を除く数値では0.4%となって2014年8月以来、ほぼ2年ぶりの高水準。

同時に発表された7月の卸売物価指数(PPI)は前年比+0.2%予想に対して-0.2%、コアPPIも+1.2%予想に対して+0.7%と低調となり、いずれも6月からも低下。
一時的かもしれない消費失速に加えて、相変わらずの低インフレ懸念がFRBの利上げ観測を後退させ、Fedウォッチの12月利上げ織り込み度合いも前日の51.9%から46.7%へと低下しています。

ミシガン大学期待インフレ指数とコアPCEインフレ 2016年8月相変わらずの低インフレ懸念を象徴する指標は、ミシガン大の1年期待インフレ指数でも示されました。8月速報値では2.5となり、7月の2.7から急反落。5月の2.4%こそ0.1%上回るものの、2015年以降の最低水準で2010年9月以来の低水準での推移が続きます。
1年期待インフレ率は2011年から低下傾向が続き、コアPCEもこれに追随するように2012年から低下傾向が続きます。
低インフレ圧力からは、なかなか抜け出せない様子です。

なお、この日低調な小売売上高とPPIを受けてドル売りが急速に進みましたが、極端に悲観的な状態となった訳でもなく、一時的な流れにとどまり、その後大きく巻き戻される展開となりました。ドルインデックスは急落幅の半分以上を巻戻し、対ユーロ、対金では急落分のほぼ全てを巻戻し、対ポンドや対豪ドルでは急落分以上にドル買いの巻戻しが進行する結果となりました。
唯一、急落分のほとんどを巻き戻せなかったのがドル円。
円買い圧力からも、なかなか抜け出せない様子です。

NY金・日足チャート 2016/7/14 - 8/1212日のNY金相場は0.5%の続落。7月の米小売売上高下振れを受けて1340ドル台半ばから1360ドル台まで急反発。8月のミシガン大消費者信頼感指数の速報値も下振れたことを確認後は失速。何事もなかったかのように元の水準へと急反落すると、軟調推移の流れへと逆戻り、三角保ち合い下方ブレイクをかけた攻防へ。1340ドルを割り込んだ場合には調整局面加速、6月末と7月後半のサポート水準であり、ダブルトップのネックラインでもある1320ドル前後の重要水準までの下落にはそれほど時間を要しない可能性も。上方向への節目は1350ドル台へと切り下がり、突破できれば高値更新再トライへの可能性も残されるが。
週間ベースでは-1.2ドル(0.09%)で小幅続落。

NYプラチナ・日足チャート 2016/7/14 - 8/12NYプラチナ相場は2.37%の大幅続落。米経済指標下振れに伴うドル売り金買いに連れての急騰局面では1140ドル台から1150ドル台後半まで上昇、しかしその勢いは金に較べても弱く、ジリジリと失速。金の急反落に連れての下落局面では元の水準を超える下落幅となり、一時1124ドルまで下落。連日の2%超の大幅安となり、1150ドルでの足場固めにも失敗、高値保ち合い下限割れによる下値目安1120ドル台にも早々の到達。目安水準到達により、いったんは下げ止まる可能性もあるが、21日までの移動平均線をまとめてデッドクロスし、もう一段の下落基調進行も警戒される。7月の大半を過ごした1100ドル前後が次の下値サポート水準候補。
週間ベースでは-22.2ドル(1.93%)となり、3週間ぶりの反落。

ドル円・日足チャート 2016/7/14 - 8/12ドル円は0.68%の反落でドル安円高。102円をはさんでの保ち合い、膠着状態からNY市場で急落の展開。7月小売売上高の結果に101円付近まで急落、ミシガン大消費者信頼感指数の結果には100円80銭台までドル売り円買いが進行。結果的には保ち合い下限をなんとか維持した形。くじらまく状態となりつつあり、米景況感悪化もそうれほどの悲観材料とはなりきれず、円買い圧力は残るものの以前ほど強くもなく、かといって円安材料もドル買い材料にも乏しく方向感が定まらない状況を象徴。100円割れリスクを抱えながら反発意欲がもう少し強まれば103円台後半も、という状況での保ち合い継続へ。
週間では-0.55円(0.54%)となって3週続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/12終値とチャート

2016年8月13日(土)時点の相場
国内金4,703 円 8/12(金) ▼7(0.15%)
国内プラチナ4,014 円 8/12(金) ▼21(0.52%)
NY金1,343.2 ドル 8/12(金) ▼6.8(0.50%)
NYプラチナ1,129.3 ドル 8/12(金) ▼27.4(2.37%)
ドル円101.25 円 8/12(金) ▼0.69(0.68%)

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