金プラチナ短期相場観
マクロン勝利でもリスクオンは「前進」せず、金は急落後に反発
更新日:2017年5月8日(月)
得票率65%超とマクロン氏の圧勝に終わったフランス大統領選は、ほぼ事前の世論調査どおり。週明けの為替市場ではユーロドルが先週末の1.0990ドル台から半年ぶりのユーロ高水準となる1.1010ドル台へと急騰スタートも1.0960ドル台へと失速、ドル円も112円90銭台へと水準を切り上げてのスタート後に一時60銭台まで反落。ユーロ高が先導する形でのリスクオンでのドル高円安の流れもそれほど進行せず、NYダウ先物も小幅安でのスタートとなり、年初来高値で大幅高スタートの日経平均以外は比較的静かな週明けを迎えることになりました。
これを受けてNY金は1220ドル手前までの急落スタート後に一時1230ドル半ばまで反発。プラチナは底堅く、910ドルを割れることもなく920ドル台前半へと上昇し、先週末からの反発局面継続の展開。
とはいえ、これで今年の警戒イベントとなっていた欧州選挙シーズン前半を、オランダ、オーストリアに続き、フランス大統領選も無事乗り越え、ポピュリズム台頭や反EU勢力拡大への懸念と欧州政局リスクも峠を超えた形。
6月の仏下院選挙に向けてもマクロン氏の政治運動「アン・マルシェ(前進)」と「民主運動」との連立が支持率1位との世論調査結果も出ており、ドイツでは州議会選挙でメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)が勝利し、9月の連邦議会選挙に向けての追い風に。
今後はECBのテーパリング動向やFRBの利上げ動向、バランスシート縮小の行方など、市場にとってのプラス材料に注目がシフトされ、リスクオン傾向、ドル高の流れも「前進」しやすい局面が多々訪れることにもなりそうです。
欧州政局リスク後退は、金にとってのサポート材料弱体化につながりそうですが、ユーロ高の流れがドル高の勢い減速につながり、金の売り圧力緩和となる可能性もありそうです。
GW明け、8日の国内金価格は1.24%の大幅続落となって4月7日(4778)以来、1カ月ぶりの安値水準。連休前の2日時点で上値目標4890円を目指した流れが急失速し、連休中にこれを押し返すようなきっかけとなる事象は発生せず。米雇用統計やフランス大統領選も想定どおりの結果となったことにより、短期上昇トレンドは完全に腰折れ。連休をはさんで水準が切り替わる形となり、4830円の節目割れに伴う下値目安4770円前後の水準にもほぼ到達。短期的には一服感となりやすく、90日移動平均(4765)辺りまでが目先のサポート水準候補。
週足チャートでは2週続伸後の大幅反落スタート、短期上昇サポートライン割れで近年の主要レンジ4500-4800円の上限割れ、横ばい推移の52週移動平均線(4692)からの上方乖離率は先週末の3.1%から1.8%に縮小。2016年10月以降の中期上昇トレンドは継続中。
プラチナ価格は0.69%の続落となり、11月30日(3572)以来、5カ月ぶりの安値水準。下値トライスタートの状態での連休入りで、予想どおりの今年安値更新とはなったものの、連休明けにも到達が警戒された下値目安3530円前後にはまだ距離を残す状況。ただし、NYプラチナが900ドル近辺の水準でいったん底をつけて反発基調となっていること、金との価格差も過去最大となった連休前の1229円から1194円へと急縮小し、ピークをつけた可能性もあることから、国内プラチナ価格の下押し圧力も徐々に緩和される可能性も。3690円が当面の上値抵抗水準に。
週足チャートでは3週続落スタート、2月末を起点とする短期下落トレンド継続となり、2016年10月と今年4月安値を結ぶ中期上昇トレンドのサポートライン割れ。5週続落中の52週移動平均線からの下方乖離率は先週末の3.0%から3.5%へと拡大。
※参考:金プラチナ国内価格5/8とチャート
- 2017年5月8日(月)時点の相場
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国内金 : 4,779 円 5/8(月) ▼60(1.24%) 国内プラチナ : 3,585 円 5/8(月) ▼25(0.69%) NY金 : 1,226.9 ドル 5/5(金) ▼1.7(0.14%) NYプラチナ : 910.2 ドル 5/5(金) ▲2.5(0.28%) ドル円 : 112.79 円 5/5(金) ▲0.33(0.29%)
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