金プラチナ短期相場観
生産者物価指数は続落、コアPPIは2%割れでようやく減速局面入り
更新日:2017年7月14日(金)
イエレンFRB議長の議会証言であらためて再確認することになった今後の金融政策を左右する不確実性、インフレ動向を見極める6月指標の第1弾、生産者物価指数(PPI)が米労働省から発表されています。
6月PPIは前年同月比で+2.0%となり、市場予想の+1.9%を上回りましたが、5月の+2.4%からは大きく低下。5年2カ月ぶりの高水準となった4月の+2.5%からは2カ月連続の鈍化傾向となっています。
食品とエネルギー関連を除いたコアPPIは前年同月比+1.9%。こちらは市場予想の+2.0%を下回り、3年ぶり高水準となった5月の+2.1%から急失速。
PPIもコアPPIも2012年以降は前年比+2.0%ラインがほぼ上限となり、この春に一時的に上抜けただけで6月には上限ライン以下へと再反落、という状況です。
また、食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコア指数(※チャート上は「コアPPI2」)は、前年同月比+2.0%。2014年8月以降のデータ上では最高水準となった4月と5月の+2.1%から減速した状態。
PCE(個人消費支出物価指数)でもCPI(消費者物価指数)でもコア指数を含めていずれも年初から減速傾向が続いていたのに対し、PPIだけは5月まで加速基調となっていましたが、6月になってようやく減速局面入りしたようです。
前日からの議会証言で現状の低インフレは一時的要因によるもの、と総括したイエレン議長に続き、この日にはダラス連銀のカプラン総裁も「最近の弱いインフレ率は一時的」であり、「忍耐強く」注視していく必要との趣旨の発言。FRB内でのコンセンサスとなっています。
今晩は、より重要となる消費者物価指数(CPI)の6月分の発表も予定されていますが、市場予想では鈍化見通し優勢。忍耐強く、注視し続けることになる低インフレの一時的要因は、まだしばらくは継続しそうな状況です。
13日のNY金相場は4日ぶりの反落で0.15%の小幅安。欧州時間序盤まではドル売り優勢、金利低迷の流れに1223ドル台まで上昇も前日高値を超えられず、NY市場にかけては流れが反転。NYダウは終値ベースでは連日の最高値更新、VIX指数は6月26日以来半月ぶりの10ポイント割れとリスク・オン地合い。米6月生産者物価指数の予想上振れや新規失業保険申請件数の好調維持などもあり、金は1220ドル割れ。6月6日高値1298.8ドルから7月10日安値1204.0ドルまでの23.6%戻し1226.4ドル付近に抵抗感。週末のCPI、小売売上高などの結果が低調ならこの水準を超える可能性も38.2%戻し1240.2ドルが次の抵抗水準候補。よほどのポジティブ・サプライズでもない限り、しばらくは1200ドル台のサポートライン維持を予想。下抜けた場合には1190ドル前後が次のサポートに。
NYプラチナ相場は1.29%の大幅反落。直近の反発目安となっていた920ドルを超えると上値が重く、前日高値924ドルを超えられない状態が続くとNY市場朝には910ドル割れへと急反落。2月27日の今年高値1047.8ドルから7月11日の今年安値891.4ドルまでの23.6%戻し928.3ドル付近に抵抗感。20日移動平均線にも上値を押さえられ、ほぼ好転しかけていた流れも大きく巻き戻される形となり、920ドルが目先の抵抗水準に。突破できれば940ドル台までが次の上値目安となり、38.2%戻し951.1ドルが抵抗水準に。再び900ドル割れへと向うようなら次の下値目安は880ドル前後まで。
ドル円は0.1%のドル高円安となって3日ぶりの小反発。東京市場午後から欧州市場にかけて何度も試した112円80銭台で反発すると、長期金利上昇の流れや米6月PPIの好結果なども好感し、113円台半ばへ。目先は揉み合い傾向の色合いも強く、12月15日高値118円60銭台から4月安値108円10銭台までの61.8%戻しとなる114円60銭台までが上限、38.2%ライン112円10銭台までが下限の目安に。今晩のCPIインフレ動向次第で上限トライまたは下限トライも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/13終値とチャート
14日の国内金価格は0.1%の小幅安で3日続落。ジリジリと値を下げる展開となり、3月15日(4737)以来、4カ月ぶりの安値水準に。今晩発表される米6月CPI、小売売上高、鉱工業生産、7月ミシガン大消費者信頼感指数などでインパクトのある結果が見られるようなら、4680円台を目指す下落トレンドが一段と進行するか、逆に大きく巻き戻される可能性も。ほぼ予想どおりでまずまずの結果なら、ジリ安ペースの下落基調継続へ。
週間ベースでは-13円(0.27%)で続落。
プラチナ価格は1.03%の大幅反落。前日の大幅上昇分のほぼ全てを吐き出して再びレンジ下限3540円付近へと乱高下状態。金との価格差は節目の1200円超となる1212円へと再拡大、この1200円ラインが価格差のサポートラインとして存在感を強めつつあり、鍋底を形成するプラチナ価格の底値保ち合いからの上抜けに向けては価格差1200円割れが必須条件の様相に。3600円超えなら上昇トレンド形成で目標水準は3800円台も、底割れの場合の次の目標水準は3300円台前半も。
週間ではわずかに-1円(0.03%)となって小幅に3週続落。
※参考:金プラチナ国内価格7/14とチャート
- 2017年7月14日(金)時点の相場
-
国内金 : 4,757 円 7/14(金) ▼5(0.10%) 国内プラチナ : 3,545 円 7/14(金) ▼37(1.03%) NY金 : 1,217.3 ドル 7/13(木) ▼1.8(0.15%) NYプラチナ : 907.1 ドル 7/13(木) ▼11.9(1.29%) ドル円 : 113.27 円 7/13(木) ▲0.12(0.10%)
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