金プラチナ短期相場観
ECBのユーロ高牽制にも米鉱工業生産は伸び悩み、金は1290ドル
更新日:2017年8月18日(金)
前日のFOMC議事要旨では低インフレ懸念が強調されてドル安要因となったのに対し、この日公表されたECB理事会の議事要旨ではユーロ高牽制が盛り込まれ、ユーロ急落に伴いドルが急騰する場面もありました。
しかし、その後発表された8月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は18.9。事前予想の18.0は上回るも7月の19.5からは低下、今年2月の43.3、5月の38.8などの急騰局面からはやや低下した水準での推移が続きます。好調は持続しているものの、その勢いはやや失速気味という状態を示し、市場へのインパクトは限定的に。
その後FRBからフライング発表された7月の鉱工業生産は前月比+0.2%。市場予想の+0.3%を下回り、6月の+0.4%からも低下。自動車生産の落ち込みが影響したようです。
4月に+0.9%と強い伸びを示した後は、やや失速した状態が続く状況です。四半期ベースでも第2四半期は+5.2%と2014年第2四半期(+6.0%)以来、3年ぶりの高水準。第3四半期はやや低調気味のスタートとなっています。
ただし、3カ月平均で傾向を見ると、2015年末を底値として順調に下値を切り上げる推移となっており、加速傾向を維持する状況です。
また、設備稼働率も1年10カ月ぶりの高水準となった6月の76.7%から横ばい推移。2016年の低迷期を抜け出して、上昇傾向が続く好調期を迎えている状況です。
ただし、これも市場インパクトにはやや役不足という状況に。
結果的に、ドル高の流れが加速するきっかけを生かせず、トランプリスクなどにも押されてドル円は再び戻り売り優勢の展開へと追い込まれました。この流れを傍観するように、NY金は1290ドルの高値圏を維持して小康状態。短期トレンド反転の巻き戻しが続き、再び今年の重要水準1300ドルと108円台との攻防を迎えそうな状況となってきました。
17日のNY金相場は0.74%の続伸。前日、FOMC議事要旨確認後の時間外に1290ドル台へと水準を切り上げた後は、ほぼ1290ドル前半での保ち合い推移。この日はコーン米国家経済会議(NEC)委員長辞任の噂などトランプ政権の迷走と先行き不透明感は続き、バルセロナでのテロ事件や欧米株の大幅安などもあって金は底堅く推移。1週間ぶりの高値更新再トライで今年4度目の1300ドルトライに臨む状況に。ただし抵抗感もあり、8月初旬に1280ドルまで上昇した時点でRSIは90%台のピークをつけ、その後は価格上昇に対してRSI低下のダイバージェンス(逆行)を形成し、勢いにも欠ける状態。目先1270ドル台から90ドル台までの高値保ち合いを上抜けできれば1300ドルの大台到達で短期的には1310ドル台辺りまで上値を伸ばす可能性も。下限割れの場合には1250ドル台辺りまでを目安に調整局面入りも。
NYプラチナ相場も0.74%の続伸。ただし、前日時間外に上昇した985ドルまでがこの日の高値となり、その後はやや軟調気味の推移となって970ドル後半へとやや失速感も。また、月初の急上昇で4カ月ぶりの990ドル台にやや抵抗感も。ただ、過去の推移からは1000ドルの大台ラインへの抵抗感はあまりなく、990ドルラインを超えることができれば1010ドル近辺までは急上昇というパターンも想定可能。高値保ち合い下限となる960ドル台を割り込んだ場合には90日移動平均線の940ドル近辺までが調整の目安に。
ドル円は続落で0.57%のドル安円高。欧州時間の110円30銭台までが反発のピークとなってNY市場では戻り売り再開。米8月フィラデルフィア連銀製造業景況指数や7月鉱工業生産などもパッとせず、コーンNEC委員長辞任報道や米株の大幅安にも連れて109円台半ばから今朝にかけては109円台前半へ。トランプリスクを背景とするドル安と地政学リスクに伴う円高の流れで再び108円台トライも意識される状況に。目先は109円ラインがサポート水準となり、割り込んでしまうと今年安値の108円10銭台で下げ止まれるかどうか、という展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/17終値とチャート
18日の国内金価格は0.16%安となって3日ぶりの反落。スローペースの上昇トレンドは一応継続との見方、しかしNY金の大台超え頼みの状況に。そのNY金と同様にRSIは8月3日の70.6%がピークとなって61.5%まで低下するダイバージェンスとなって反落警戒感も。目先は5月と6月高値4860円台に抵抗感も。
プラチナ価格は0.92%の大幅反落で前日上昇分を帳消し、パーフェクトオーダー崩れとなって上値トライへの流れも腰折れ。RSIは9日の83.8%がピークとなって71.9%まで低下する失速状態。目先は3640円台から3700円近辺までの高値保ち合いとなり、下限割れなら3590円近辺までの大幅反落も。再度3700円超えへと反発できれば上値目標は3770円台辺りまで。
※参考:金プラチナ国内価格8/18とチャート
- 2017年8月18日(金)時点の相場
-
国内金 : 4,846 円 8/18(金) ▼8(0.16%) 国内プラチナ : 3,667 円 8/18(金) ▼34(0.92%) NY金 : 1,292.4 ドル 8/17(木) ▲9.5(0.74%) NYプラチナ : 981.7 ドル 8/17(木) ▲7.2(0.74%) ドル円 : 109.56 円 8/17(木) ▼0.63(0.57%)
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