金プラチナ短期相場観
9月NY連銀消費者調査でもインフレ期待上昇の兆しはごくわずか
更新日:2017年10月12日(木)
9月のNY連銀消費者調査では、1年先のインフレ期待値の中央値は2.54%となり、8月の2.49%からはわずかに上昇し、6-7月と同水準となっています。およそ1300世帯を対象としたアンケート調査の結果では、2013年以降の最低水準での推移が続く状況です。3年先インフレ期待中央値は9月に2.8%となり、4月(2.91%)以来5カ月ぶりの水準で近年最低水準となった5月の2.47%からは反発基調となりつつあります。
3年後には若干インフレは上昇するだろう、でも1年後はまだ低インフレ状態が続き、物価上昇はごくわずかにとどまるだろう、との見方が強いようです。
ミシガン大の1年期待インフレは9月に2.7%。昨年12月に2.2%の近年最低水準に落ち込んだ後は反発し、2.5%から2.7%での横ばい推移傾向となっています。
なお、NY原油価格の月間平均では、足下3カ月小幅続伸で49.88ドルまで上昇していることも、9月のインフレ期待値をわずかながら押し上げた可能性もありそうです。
しかし、NY連銀1年インフレ期待値の地域別動向では、中西部が2.68%と1年2カ月ぶりの高水準へと急上昇していることが9月の押し上げ要因となっている模様で、原油価格の影響が大きいと思われる南部では3カ月続落で2.12%へと近年最低水準での低迷が続いており、必ずしもその関連性は見られないようです。
いずれにしても、消費者目線でも低インフレ見込みは続く状況にあり、FOMC議事要旨でも確認された「今年の低インフレはより根強い動きである」ことへの懸念とも一致する状況と言えそうです。
今後のインフレ動向についての不透明感は、まだしばらく続きそうです。
11日のNY金相場は4日ぶりの反落で0.38%安。ただし、引け後のFOMC議事要旨をややハト派寄りと受け止めて1290ドル台半ばへと反発。様子見状態が続く北朝鮮情勢やスペイン・カタルーニャ独立問題への警戒感も緩み、行動経済学の研究で今年のノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー教授をして「謎」と言わしめた低テイボラティティと株高基調のリスクオンも続き、反発への勢いもそれほど強まらない状態。方向感はほぼ中立状態まで戻しつつも、まだ1300ドル台に向けては抵抗感があり、1270ドルまでのレンジで週末にかけての米インフレ指標に左右される展開へ。
NYプラチナ相場は0.35%安で3日ぶりの反落。前日の大幅上昇の反動もあり、この日の値幅はわずか7.9ドルにとどまり、7月5日(7.5ドル)以来3カ月ぶりで今年2番めのの小動き。930ドル台前半へと小幅に下げてNY引け後には930ドル台後半へと小幅反発、前日高値をわずかに上回るも940ドルの抵抗線が超えられない。この水準を突破できれば反発基調再加速で960ドル台辺りまでが次の目標水準に。
ドル円はわずかに0.04%のドル高円安と小反発。7日続伸で20年ぶり高値圏へと堅調推移が続く日経平均の勢いにも連れて東京市場午前に112円50銭台まで上昇したのが高値となり、欧州・NY市場にかけては米10年債利回り低下に連れて112円ちょうど付近まで下落。しかし、今度は112円ラインでの底堅さを確認する形で米10年債利回りの反発にも支えられて112円半ばを回復。FOMC議事要旨ではややハト派ながらも12月の追加利上げは織り込み済で下げ幅も限定的に。112円台での小幅保ち合い状態が続くなかでも上値が徐々に切り下がる軟調傾向に。米インフレ指標の上振れなどをきっかけに反発への可能性も残されるものの、それほどポジティブな結果とならなければいったんは調整局面入りの可能性も。112円ラインを維持できなければ111円近辺までが目先の調整目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/11終値とチャート
12日の国内金価格は0.42%高となって3日続伸。9月26日(5029)以来、半月ぶりに5000円台を回復し、反発目安5020円近辺にもあとわずかの水準。いったんは落ち着きやすい状態となり、この近辺から4930ドル台までの水準で新たなレンジを形成することになれば、いずれ今年高値再トライのチャンスをうかがう展開にも。目先、行き過ぎの展開でも5030円近辺が抵抗水準となりやすく、4980円前後がサポート候補に。
プラチナ価格は0.25%高となって4日続伸。前日の大幅上昇で底入れ反転の流れが進行し始めた可能性は高いものの、水平状態の90日移動平均線(3628)にちょうど上値を押さえられた形に。これが抵抗線となる前に上抜けできれば3650円台が次の上値目標水準に、いったん反落なら3580円付近までが目先の調整目安に。
※参考:金プラチナ国内価格10/12とチャート
- 2017年10月12日(木)時点の相場
-
国内金 : 5,013 円 10/12(木) ▲21(0.42%) 国内プラチナ : 3,626 円 10/12(木) ▲9(0.25%) NY金 : 1,288.9 ドル 10/11(水) ▼4.9(0.38%) NYプラチナ : 933.2 ドル 10/11(水) ▼3.3(0.35%) ドル円 : 112.49 円 10/11(水) ▲0.04(0.04%)
5年7カ月ぶり高水準、生産者物価上昇を支えるドル安のジレンマ 10/13(金)
9月NY連銀消費者調査でもインフレ期待上昇の兆しはごくわずか 10/12(木)
内閣府・景気ウォッチャー調査で見る解散総選挙と景気の変遷 10/11(水)
国内金価格5000円か4900円割れか、リスク回避とドル高との攻防へ 10/10(火)
ハリケーン・マジック?労働参加率上昇でも失業率4.2%へ急低下 10/7(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン