金プラチナ短期相場観

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PPI下振れで米10年債利回り低下、それでもドルは独歩高

更新日:2018年8月10日(金)

生産者物価指数(PPI)2018年7月米労働省が発表した7月の生産者物価指数(PPI)は前年比+3.3%。市場予想の+3.4%を下回り、過去6年半で最高となった6月の前年比+3.4%からは減速。
食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+2.7%となり、これも市場予想の+2.8%を下回り、過去6年半で最高となった6月の+2.8%からは減速。
食品とエネルギーと貿易サービスも除いたコアPPI2は前年比+2.8%。3カ月連続上昇となり、過去4年間で最高となった3月の+2.9%に次いで4カ月ぶりの高水準。

貿易サービスを除いた数値だけが加速し、これを含む数値では減速となったことから、輸入関税による影響は限定的にとどまった可能性もありそうですが、依然として高水準を維持し、インフレ基調が続いていることを示す結果となり、今後のCPI、PCEの高水準維持も予想される状況です。

ただし、今回分が下振れたことで米10年債利回りは急低下の反応となり、3%ラインで頭打ちとなっての反落基調が継続しています。
ドルインデックスも同様に下落で反応しましたが、限定的となってドル高の流れが再開しています。
ポンドも、ユーロも新興国通貨も、特にトルコリラやロシア・ルーブルなどは売り材料のほうが圧倒的に強く、円を除いてドル独歩高の状態となってきました。

利上げ見通しをある程度織り込めば、インフレ進行は金の買い要因にもなるはずですが、ドル高基調が金の上値を押さえる状態も続きます。

NY金・日足チャート 2018/7/6 - 8/99日のNY金相場は-1.1ドル、0.09%の小幅安で3日ぶりの反落。6月半ばから2カ月弱もの間、抵抗線として上値を押さえられ続けてきた20日移動平均線(1226.8)に蓋をされ、NY午後にはドル高の流れが強まって1220ドル割れ。米国発の貿易戦争懸念やロシアやトルコとの関係悪化や制裁、EU離脱の先行き懸念などからドル独歩高の流れとなり、今月に入ってロシアルーブルは対ドルで6.7%の下落で2年ぶり安値圏、トルコリラは今月ここまで12.9%ものリラ安で最安値更新が続き、ユーロドルも1年ぶり安値圏で節目の1.15ドルも視野に。ドルインデックスは年初来高値付近となる95ポイント台半ばへと上昇しており、この水準を超えるとドル高の流れが一段と強まる可能性も警戒される状況に。この日のNY金の変動値幅は7.2ドルで今年の年間平均13.3ドルの半分強にとどまる夏枯れ相場状態。上値の重い状態も継続し、下値トライへの警戒感は続き、ドル高が一段と進行するようだと1200ドル割れを試す展開にも。

NYプラチナ・日足チャート 2018/7/6 - 8/9NYプラチナ相場は+4.6ドル、0.55%の反発。時間外の820ドル台からNY市場では4日ぶりに840ドル台まで上昇も、ドル高金安の流れに連れて830ドル台前半へと失速。攻防が続いていた20日移動平均線(829.2)を上抜けた状態ながら、十字線を残す形となって方向感はイマイチ。840ドル台へとしっかり抜け出すことができれば保ち合い上抜けとなって上昇トレンド形成への可能性。切り上げつつある下方向への節目820ドル台を割り込んでしまうと安値更新トライへと逆戻りのリスクも継続。

ドル円・日足チャート 2018/7/6 - 8/9ドル円は15銭、0.14%のドル高円安で反発。東京市場午前に2週間ぶりの円高水準となる110円70銭台まで下げたのがこの日の安値となり、欧州時間にかけてはドル高の流れにサポートされて111円台を回復。NY市場では米7月PPI下振れをきっかけに111円割れも、ドル高地合いに支えられて111円10銭台まで再反発。今朝の東京市場では茂木経済財政・再生相の会見で日米貿易協議(FFR)初日の状況が伝えられ、進展なしの状況にも予想通り米国側はFTAによる2国間交渉を要求していることへの警戒感からか株安円高の流れが強まって再び111円割れ。日足では三角保ち合いを下抜けつつある状態も、下方向への節目111円手前の水準では下げ渋る状態でもあり、ドル高円高地合いのなかでドル円の方向感は出難い状況。それでも前日安値を下回るようなら、徐々に下値トライの流れが強まる可能性が高まり、当面の下値目安は109円台後半へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/9終値とチャート

10日の国内金価格は+4円、0.09%の小反発。かろうじて節目の4630円台を維持し、この水準での底堅さを一応確認しての反発も限定的となり、底打ちへの可能性と一段安への警戒感が混在する状態で盆休みウィーク入り。ドル高金安地合いと円高リスクを抱える状況からは引き続き下値警戒感が勝る状況か。安値更新へと向かえば4600円を割り込んで4590円台辺りまでが下値目安となり、4650円超へと反発できれば4710円台の戻り高値を目指す展開にも。
週間ベースでは-16円(0.34%)となり、半年ぶりとなる4週続落。

プラチナ価格は+9円、0.28%の反発。反発地合いが続きながらも金価格の軟調推移に上値を抑制され、9-21日移動平均線(3181-3187)が形成する抵抗水準との攻防も継続。この強めの抵抗水準を突破できれば3300円台を目指す上昇トレンド形成へ。突破できなければ徐々に下方圧力が強まることになり、3150円台のサポート水準との攻防へ。これを下抜けた場合には流れが変わって下値トライ再開、安値更新で3100円割れの展開にも。
週間ベースでは+15円(0.47%)で反発。
※参考:金プラチナ国内価格8/10とチャート

2018年8月10日(金)時点の相場
国内金4,641 円 8/10(金) ▲4(0.09%)
国内プラチナ3,186 円 8/10(金) ▲9(0.28%)
NY金1,219.9 ドル 8/9(木) ▼1.1(0.09%)
NYプラチナ834.1 ドル 8/9(木) ▲4.6(0.55%)
ドル円111.09 円 8/9(木) ▲0.15(0.14%)

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