金プラチナ短期相場観
コアCPI、2%を支えるサービス価格は高水準でも軟調推移
更新日:2019年4月11日(木)
米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.9%となり、市場予想の+1.8%を上回りましたが、コアCPIは前年比+2.0%となり、市場予想の+2.1%を下回りました。コアCPIは昨年3月以降、13カ月連続で前年比+2.0%以上を維持していますが、そのなかでは最低水準となり、直近4カ月連続の低下で13カ月ぶりの低水準となっています。
カテゴリー別のインフレ率の推移でも、食品とエネルギー関連のみ、コアCPIに含まれないカテゴリーのみが上昇しています。
インフレ率決定におけるウェイトが13.36%を占める食品は、昨年10月の+1.2%から上昇基調となり、3月には前年比+2.1%まで上昇。
ウェイト7.19%を占めるエネルギー関連は、昨年7月の+12.1%から急低下、今年2月には-5.0%まで低下してようやく底打ち、3月は前年比-0.4%まで戻しています。
最近の原油価格上昇から、次月以降ももう一段の上昇も見込まれます。
ウェイト19.62%を占める(食品とエネルギーを除く)商品価格は、前年比+0.0%付近での横ばい推移が続き、直近では1月に+0.3%まで上昇も3月には+-0.0%まで低下。
ウェイト59.82%を占める(エネルギー関連を除く)サービス価格は、前年比+2.5%超の高水準を維持しての推移が続きますが、昨年7月の+3.1%からゆるやかな減速基調となり、2-3月には+2.7%まで低下しています。
食品とエネルギーを除く商品のなかでの代表的なものは、
中古車価格(ウェイト2.4%)が前年比+0.4%まで低下して5カ月ぶり低水準。
医療用品(同1.7%)は2月の-1.1%から3月は-0.6%へと上昇も4カ月連続の前年比マイナス。
女性用アパレル(同1.23%)は2月の-3.6%から3月は-4.4%と一段と低下。
エネルギー関連を除くサービス価格のなかでは、
賃貸住宅(ウェイト7.93%)は2月の+3.5%から3月は+3.7%へと上昇し、11カ月ぶり高水準。コアCPIの2%以上維持を支えています。
医療サービス(同7%)は12月の+2.6%から低下傾向となり、3月は+2.3%。
自動車保険(同2.41%)は昨年2月の+9.7%から低下傾向が続き、3月は+1.7%と2%割れ。
航空運賃(同0.68%)はマイナス圏での推移が続き、3月は-2.9%となって8カ月ぶり低水準。
携帯電話サービス(同1.65%)は2月の-2.8%から3月は-3.1%へと低下、7カ月連続のマイナス圏。
横ばい推移が続く商品価格を高止まり状態のサービス価格が補う構図が続き、コアCPIを支えていますが、主要品目のなかではインフレ鈍化やデフレ状態のものも目立ち始めています。
この日公表されたFOMC議事要旨でも、インフレ圧力の弱さへの警戒感が示されています。
10日のNY金相場は+5.6ドル、0.43%高となって4日続伸、3月26日(1315.0)以来2週間ぶりの高値水準に。1310ドルを超えられず、1300ドル台後半での小幅揉み合い推移が続いた後、NY朝の米3月CPI発表を受けて1310ドルを上抜け。2.5%を回復していた米10年債利回りが再び2.47%台へと急低下したこともあり、一時1315ドル付近まで上昇。引け後のFOMCの議事要旨では年内利下げへのヒントは得られなかったものの、据え置きが正当化されることが示されて1310ドル台を維持。なお、ECB理事会後のドラギ総裁会見では景気下振れリスクが改めて強調されて一時的にユーロドルが急落する場面もあったものの、日足レベルでは1.12ドルの安値圏からのゆるやかな反発基調が続いて足下3日続伸となっていることにも同調する形に。高値更新トライに向かう為の節目水準1320ドル台との攻防へとゆっくりと水準を切り上げる流れが進行中。
NYプラチナ相場は+9.6ドル、1.07%の反発。先週からの急騰局面は週初に920ドルまで上昇して一服、調整局面では時間外に890ドル割れ寸前まで、ほぼ30ドル下落したところで下げ渋り。その後は900ドルの大台ラインに上値を押さえられる状態が続いた後、NY朝には金の急騰局面に追随する形でこれを突破すると一時910ドル超へと一段高。NY引け後の時間外には910ドルラインとの攻防に。890ドル台から910ドル台までのレンジで保ち合いを形成、高値更新で上値トライ再開となれば昨年高安の61.8%戻し(927.3)となる930ドル付近を目指す流れにも。下方ブレイクで調整再開なら2月高値水準870ドル台までが目安に。
ドル円は20銭ほどのドル安円高となって3日続落。111円10銭台での膠着状態が欧州時間まで続いた後、米3月CPIをきっかけに小幅乱高下を経てNY時間は軟調推移。およそ2週間ぶり安値圏となる110円80銭台まで下落すると、FOMC議事要旨ではそれほどハト派的でもないことが確認され、米長期金利の下げ止まりとともに反発。111円ラインが上値抵抗線へと切り替わり始めた様子にもなったものの、今朝の東京市場では日経平均の下げ渋りにも連れて111円台を回復。しかし依然として上値も重く、下値警戒感も続く状態。90日移動平均線(110.66)にサポートされない場合には110円前後までが当面の下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/10終値とチャート
11日の国内金価格は+4円、0.08%の小幅高で3日続伸。3月27日(5006)以来、2週間ぶり高値圏での堅調推移も、今年高値5091円から3月末安値4912円までの半値戻し(5002)に到達したところでやや失速気味。61.8%戻し(5023)を達成できれば節目超えとなって上値トライ再開で全値戻し、さらに高値更新で5100円の大台トライへと向かう可能性も。下値サポート候補としては38.2%戻しと21日移動平均線が重なる4980円近辺。
プラチナ価格は+56円、1.66%の大幅高で3日ぶりの反発。急騰後の急反落の兆しからの巻き戻しとなり、地合いの強さを感じさせるような展開にも。中期的に見た場合の重要水準3400円ラインをはさんでの攻防状態ともなっており、今後の主要レンジの行方を左右する分岐点にも。NYプラチナの高値保ち合いの動向次第となり、上方ブレイクへの追随で今年高値更新となれば、3500円の大台到達が次の上値目標水準に。下方ブレイクへの追随で3370円台を割れた場合には、3400円超への主要レンジ上方シフトに失敗する形となり、3300円付近まで水準を切り下げる展開にも。
※参考:金プラチナ国内価格4/11とチャート
- 2019年4月11日(木)時点の相場
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国内金 : 5,005 円 4/11(木) ▲4(0.08%) 国内プラチナ : 3,431 円 4/11(木) ▲56(1.66%) NY金 : 1,313.9 ドル 4/10(水) ▲5.6(0.43%) NYプラチナ : 908.9 ドル 4/10(水) ▲9.6(1.07%) ドル円 : 110.95 円 4/10(水) ▼0.19(0.17%)
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