金プラチナ短期相場観
2019年世界のプラチナ需給と2020年見通し
更新日:2020年3月6日(金)
WPIC(World Platinum Investment Council)の4半期レポートによれば、2019年通年での世界のプラチナ鉱山産出量は190.5トン。前年比わずかに+0.1トン、2017年と同じで3年間はほぼ横ばい推移。
2020年には南アフリカの産出量が4年ぶり低水準となり、世界全体でも188トンで4年ぶり低水準との見込み。
リサイクルは2019年に61.4トンで2014年(63.3)以来、5年ぶりの高水準。2020年には64.5トン、少なくとも2013年以降では最大となる見込み。
鉱山産出と在庫調整、リサイクルを合わせた総供給量としては2019年は252.7トンとなり、2013年以降では最大。2020年見通しでは252.5トンと微減。
2019年総需要は250.7トン。前年比+10.9%で3年ぶり高水準。2020年は248.8トンで小幅減の見込み。
需給バランスでは2019年は2.0トンの供給過多。余剰は2018年の+24.6トンからは大幅減も3年連続。2020年見通しは+3.7トンの小幅増。
需要内訳では、全体の35.9%を占める自動車触媒需要は2019年に89.9トンとなり、前年比-6.8%で2013年以降で最低。2020年は93.7トンへと小幅増加見込み。
シェア26%の宝飾品需要は2019年に65.2トン。これも前年比-6.7%となって2013年以降で最低。2020年は64.4トンでさらに減少見込み。
産業用は2019年に全体の23.4%を占める58.8トン。前年比-1.0%ながら7年間で2番目の高水準。2020年には71.0トンへ、8年間で最大へと大幅増の見込み。ガラス業界での大幅増が予想され、全体シェアも28.6%となって宝飾需要を上回る見込み。
投資需要は2019年に36.9トン、シェア14.7%で過去8年で最大。現物需要は6.7トンで前年比-23.2%も、ETF在庫の増減量は30.6トンの増加で8年間で最大。価格上昇が大きく影響。2020年には19.7トンヘと半減見込み。
<地域別の自動車触媒需要>
西欧のピークは2016年の53トン。シェアは49.3%、世界全体のほぼ半分に達していました。その後は年々減少し、2019年には35.3トン。シェアも39.3%となり、いずれも過去最低。
中国は2019年に6.2トン。シェアも6.9%で過去最大。
2020年見通しでは、欧州でのディーゼルハイブリッド車と中国の大型車での需要増が見込まれているようで、93.7トンへの増加が見込まれています。
また、供給不足が続くパラジウムの代替としてのプラチナ需要がスタートする可能性も指摘され、水素を使う燃料電池車でのプラチナ需要なども含め、将来的な需要増への可能性は膨らみますが、いずれにしても年前半の景気落ち込みが確実視される状況では、現実化に向けた進展は難しいかもしれません。
<地域別の宝飾品需要>
中国は2013年の61.9トン、シェア67.6%がピークとなり、年々減少。2019年には29.4トンで2013年の半分以下、シェアも45.1%まで低下。2020年にはさらに減少が見込まれます。
日本は10トン台での安定推移が続き、北米と西欧ではいずれも2013年の6トン台から2019年の8トン台まで、わずかに増加傾向、インドも4トン台から6トン台へと増加。
コロナショックに伴う景気減速が見込まれる現状では、2020年は見通しよりもさらに低下することも予想されます。
第2四半期まで影響が及ぶことは確実な状況にもなり、年前半で終息し、年後半には急速な景気回復となれば、プラチナの宝飾品需要も見通しに近づくレベルかもしれません。
5日のNY金相場は+25ドル、1.52%の大幅反発。7年ぶり高値となった2月24日(1676.6)以来、2週間ぶり高値。時間外は1640ドル付近で膠着状態が続き、欧州時間からコンスタントに水準を切り上げる展開となってNY朝には1650ドル超え、午後には1660ドル超え、NY引け後には一時1675ドルまで上昇。米国ではカリフォルニア州でも新型肺炎で初の死者が出て非常事態宣言、クルーズ船での感染も確認されるなど新型コロナウイルスの感染拡大懸念は高まる一方。前日1173ドルの急騰となったダウはこの日969ドルの急落。1000ドル単位の上下動が続く荒っぽい展開、米10年債利回りは再び1.0%を割れて0.9%割れを試す勢い。為替ではユーロドルが8ヵ月ぶり高値となり、ドル安・株安で債券買いで利回り低下となって金価格も押し上げられた格好。高値再トライの様相となり、雇用統計の結果次第、とも限らず、コロナ動向にも左右され、1680ドル超へと高値更新トライの展開となれば、いよいよ1700ドルの大台も意識され、上値目標は2011年の過去最高値から2015年の1045ドルの安値までの76.4%戻しとなる1716.4ドル付近。
NYプラチナは-9.5ドル、1.09%の反落。株安の流れに連れて軟調推移の展開、前日終値付近870ドル台半ばがこの日の高値となり、NY午前につけた安値は850ドル台半ば。NY引けにかけては反発し、860ドルから引け後には870ドルを試す場面も。850ドル台から880ドルまでの小幅保ち合いを形成する形となり、上方向に抜け出すことができれば200日移動平均線(900.9)も推移する900ドルの大台ライン近辺までが上値目標に。安値更新トライへと向かうようなら840ドル前後までが下値目安に。
金との価格差は3日の775.1ドルを上回って過去最大を更新、800ドルを超えて802.3ドル。
ドル円は1円40銭、1.3%のドル安円高となって大幅反落。東京朝に前日高値を超えたところで失速、反落すると大きく水準を切り下げるパターンは2日前と同様。株安と長期金利低下の流れにも連れてドル安円高が進行。欧州時間に節目の107円を割れたところでは下げ渋る展開にもなったものの、NY時間の米株一段安に引っ張られる形で106円付近まで下落。短期下値目安106円半ばから前半にしっかり到達し、長期三角保ち合い下限ライン付近にも位置し、いったん下げ止まるには程良い水準だが。著名投資家ジェフリー・ガントラック氏が3月18日のFOMCで0.50%の追加利下げを予想すると報じられ、CMEフェドウォッチでも0.50%の追加利下げを96.2%まで急速に織り込んできたこともドル売り材料に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/5終値とチャート
6日の国内金価格は+61円、0.99%の反発。今年高値6397円から3月2日の6017円までの急落幅の半値戻し(6207)でいったん上値を押さえられた後、これをしっかり上抜けたことで上値再トライの展開へ。当面の上値目標は61.8%戻し(6252)から6260円台辺りまで。6180円が当面の下値サポートとなり、割れると6100円近辺までが下値目安に。
週間ベースでは-67円、1.06%の続落。
プラチナ価格は-41円、1.24%の大幅続落。チャート形状はデッド・キャット・バウンスの様相となり、再び下値警戒感が高まる状況にも。今のところはNYプラチナに下げ渋りの様子も見られ、急騰・急反落を繰り返す米株も順番からは反発の日、となれば下げ渋って3260円から3320円までの安値保ち合いレンジを維持する可能性も。安値再更新なら3200円近辺までが意識され、切り返して保ち合い上限突破となれば3380円台までが上値目標に。金との価格差は4日の2884円から急拡大、2976円へと過去最大を更新。
週間ベースでは-211円、6.07%の大幅続落。
※参考:金プラチナ国内価格3/6とチャート
- 2020年3月6日(金)時点の相場
-
国内金 : 6,243 円 3/6(金) ▲61(0.99%) 国内プラチナ : 3,267 円 3/6(金) ▼41(1.24%) NY金 : 1,668.0 ドル 3/5(木) ▲25.0(1.52%) NYプラチナ : 865.7 ドル 3/5(木) ▼9.5(1.09%) ドル円 : 106.14 円 3/5(木) ▼1.40(1.30%)
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