金プラチナ短期相場観
雇用統計は適度に好調維持、140円と0.75%利上げ予想も維持
更新日:2022年9月3日(土)
米8月雇用統計は適度に好調を維持、強過ぎない結果を好感する形で株高にドル安、NY金も買われる展開に。
さらなる大幅利上げをサポートするような事態を回避し、CMEフェドウォッチでも9月の0.75%利上げ予想は前日の75%から、雇用統計後には57%へと低下。それでも0.50%利上げ予想の43%を上回る状態を維持し、今後の米経済指標や13日のCPIの結果次第という状況ながらも基本的には0.75%優勢維持。
若干の乱高下をはさみながら、ドル円も24年ぶりの140円台を維持。
雇用者数の伸びは市場予想を若干上回り、7月分はわずかに下方修正、ただし6月分が10万人ほど下方修正。この結果、NFP総数としては前月時点でコロナ前の水準回復も取り消し、今回の8月分時点であらためて100%回復。2日前のADP雇用者数でも今回の8月分でコロナ前の100%回復を達成しており、いずれも労働市場の順調な回復を示す結果にも。
失業率が7月の3.5%から8月は3.7%へと上昇したものの、労働参加率が62.1%から62.4%へと上昇した影響もあり、一概に状況悪化とも言えない状況。
ただし、失業者数は7月の567万人から8月は601.4万人へと増加。前月比では34.4万人の増加となり、コロナ後では最大の増加数。
7月時点での失業者1人当たりの求人件数が1.98件台で過去最大水準となり、雇用情勢逼迫が強まっていた状況は、8月の求人件数がよほど増加しない限り緩和する可能性も。
また、平均時給の賃金上昇率も8月は前年比+5.20%となり、7月の+5.18%からはわずかに上昇も、ほぼ5.2%付近で3ヵ月連続横ばい推移の状態。3ヵ月移動平均でも前年比+5.2%近辺以上での推移が9ヵ月続く状態。それでも5月の+5.48%から3ヵ月連続の低下で8月は+5.20%とゆるやかな鈍化傾向に。
ただし、賃金上昇率の長期平均+2.87%を大きく上回る水準での推移は継続。
労働市場からのインフレ圧力は、やや緩和傾向となりつつあるものの、依然として歴史的高水準での推移は続いています。
2日のNY金相場は+13.3ドル、0.78%高で6日ぶりの反発。1ヵ月半ぶり安値で短期行き過ぎ警戒水準1700ドル近辺に到達してRSIが15.1まで低下した前日、NY市場で一時大台を割り込んだところが底値(の可能性)となって切り返し。時間外序盤に1710ドルの攻防を突破すると徐々に反発基調へ、ロンドン市場では1710ドル台後半へ。ロシア-ドイツ間の天然ガス・パイプライン、ノルドストリーム再開報道を受けてのユーロ高ドル安の流れにもサポートされた格好。NY朝には米8月雇用統計の強過ぎない結果に一段高、1720ドルを超えて高値では一時1730ドル付近まで上昇。しかしNY午後にはノルドストリーム再開不可報道を受けてのユーロドル急落にも連れて1720ドル近辺まで反落。3連休明けとなる次週、ECBの大幅利上げなどもサポート要因に反発基調継続となるかどうかはやや微妙な状況か。8月高値(1824.6)から9月安値(1699.1)までの23.6%戻し(1728.7)を達成した現状、38.2%戻し(1747.0)近辺までが次の反発継続目標に、確率は低下も再度1700ドルの大台割れなら7月安値(1678.4)近辺再トライリスクも。
週間ベースでは-27.2ドル、1.55%安で3週続落。
NYプラチナは+12.8ドル、1.59%高で6日ぶりの反発。2年2ヵ月ぶり安値で短期行き過ぎ警戒水準800ドル付近に到達してRSIが8.4まで低下した前日、NY市場で一時大台を割り込んだところが底値(の可能性)となって切り返し。アジア時間には810ドルが抵抗水準となっての揉み合い、ロンドン時間からのユーロ高基調とそれに連れたNY金の反発基調にも追随する形となってこれを突破するとNY朝には810ドル台後半、昼過ぎには820ドル台後半まで上昇。NY午後の反落基調に連れた場面では810ドル台半ばで下げ渋り。次週、反発基調継続に向けては8月高値(974.6)から9月安値(796.8)までの23.6%戻し(838.8)達成が必須条件、38.2%戻し(864.7)が努力目標。下方向へは再度大台割れの場合には780ドル程度までの一段安も。
週間ベースでは-37.0ドル、4.33%安で3週続落。
ドル円はわずかに3銭程のドル高円安、0.02%高で6日続伸。6日続伸は7月以来2ヵ月ぶりで今年5度め。1998年8月28日(141.80)以来、24年ぶりのドル高円安水準で上値トライ一服の様相にも。節目となりうる140円台到達後の利益確定売りから東京市場朝には139円80銭台まで下げたのがこの日の安値となり、その後は雇用統計への期待感からか140円台を回復すると午後には140円40銭台へと一段高、高止まり状態からのNY市場では雇用統計の結果を受けて乱高下。140円40銭台から139円90銭付近まで急落後には140円80銭近辺まで上昇も、3.2%割れへと急低下したままの米10年債利回りにも引っ張られる形で軟調推移。ただし安値では139円90銭で下げ渋る状態が続くとNY午後には140円台を回復。日足レベルでは上ヒゲ十字線となり、通常なら調整確率も高まる状況に。140円をあっさり割り込むようだと調整圧力も強まるような展開にも、8月安値(130.39)から9月高値(140.80)までの23.6%戻し(138.34)程度までが浅めの調整目安にも。
週間ベースでは+2.72円、1.98%高で3週続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/2終値とチャート
- 2022年9月3日(土)時点の相場
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国内金 : 8,348 円 9/2(金) ▼19(0.23%) 国内プラチナ : 4,052 円 9/2(金) ▼17(0.42%) NY金 : 1,722.6 ドル 9/2(金) ▲13.3(0.78%) NYプラチナ : 818.3 ドル 9/2(金) ▲12.8(1.59%) ドル円 : 140.23 円 9/2(金) ▲0.03(0.02%)
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