金プラチナ短期相場観
失業保険申請件数も上げ渋り、依然コロナ前の最低水準
更新日:2023年3月24日(金)
18日までの週の新規失業保険申請件数は19.1万件となり、市場予想の19.7万件を下回ったことが好感されて一時的にはドル買いの流れが進行。しかし、FOMC後の流れ転換には至らず、逆に格好の戻り売りポイントを形成したような格好にも。
新規失業保険申請件数は4週移動平均では19.63万件。この水準は、4週移動平均のコロナ直前の最低水準19万件に相当。
1年前、2022年春にはこの水準を下回る16.6万件、4週移動平均では17.05万件まで減少してボトムアウトした後は増加に転換していました。しかし24万件を越えた夏場にピークアウトして再び減少傾向へ、その後は揉み合いを経て2022年末から2023年初旬にかけて再び減少。そして現状は19万件付近で下げ渋り、というよりは上げ渋り。
失業率が悪化しないのと同様に、失業保険申請件数も増加に転じそうで転じない、歴史的低水準での膠着状態が続きます。
なお、失業保険継続受給者数も同様で、最新では4週移動平均で168.4万人。2022年春-夏にかけて130万人台まで減少した後は増加に展じたものの、年末以降はコロナ直前の最低水準178万人を下回る160万人台での横ばい推移が継続中。
パウエルFRB議長も警戒する、「労働需要が供給を大幅に上回る」状態が続いて賃金上昇圧力も高止まり、「2%のインフレへの道は長くて険しい」状態も続きます。
そんな状況から、パウエルFRB議長は追加利上げと年内据え置きを示唆したにもかかわらず、金融不安への警戒感を重視する市場の思惑としては追加利上げを織り込まず、年後半の利下げスタートを織り込む状態が続きます。
FRBと市場の思惑との乖離と、燻ぶり続ける不透明感が金価格高騰の要因の一つとなっているようです。
23日のNY金は+46.3ドル、2.37%の大幅続伸で昨年3月10日(2000.4)以来、1年ぶりの高値。上げ幅としては今年の絶対値平均13.4ドルの3.5倍、先週17日(+50.5ドル、2.63%)、13日(+49.3ドル、2.64%)に次いで今年3番めの急騰となり、21日(-41.7ドル、2.1%)の急落分を帳消し。前日NY引け後、FOMC直後の急騰で1970ドル台へと水準を切り上げた状態からさらに一段高。時間外の1980ドルの攻防を経て、NY市場では失業保険申請件数の好結果を受けて一時1970ドル割れへと売られる場面もあったものの、逆にこれが押し目となって反発へ。イエレン米財務長官の「預金保護のための追加措置」発言を受けた米10年債利回り低下とドル安の流れにもサポートされ、NY午後には1980ドル台の節目を突破、これに伴う短期上値目標2000ドルにも到達。ただし大台維持には至らず、NY引け後には1990ドル付近へと失速。目先は大台再トライ余地も残しながらの高値保ち合いの様相にも。
NYプラチナは+5.9ドル、0.6%の続伸。時間外は990ドル近辺から1000ドルの大台再々トライ、しかし前日まで上ヒゲなどでは何度も超えてきた大台ラインの抵抗感は一段と強まる状態に。この日は大台目前、999ドル近辺で何度も上値を押さえられる展開。NY朝には一時980ドル割れの安値を試しながらも急反発で大台再トライ、それでも大台手前で跳ね返されてNY午後には990ドル近辺へと収束。突破できれば1030ドル近辺が上値目標も、跳ね返され続けて三角保合いの様相となり、徐々に下値警戒感も。970ドルを割り込むようなら940ドル近辺を目安に下値トライへ。
ドル円は57銭のドル安円高、0.43%の続落。FOMC後の急落局面は東京市場スタート後に再開、131円半ばから131円台前半の節目を割り込んで一段安。131円を割れると午後には130円40銭台まで下落。その後はいったん下げ渋って欧州時間には131円台を回復、NY市場では失業保険申請件数の好結果を受けて131円60銭台まで上昇。しかしこれも一時的となって反落、NY午後には再び131円割れ、NY終盤には130円30銭台まで下落。今朝の東京市場では一時130円10銭台まで下落する場面もあり、131円台前半の節目割れに伴う短期下値目安130円近辺にもほぼ到達。ただし下値警戒感は払拭し切れず、1月安値と3月高値の76.4%戻し(129.74)近辺までの下値トライも意識される状況にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/23終値とチャート
24日の国内金価格は+67円、0.74%の続伸。過熱感緩和の為の調整局面を終えて再び最高値更新トライへ、といわんばかりの堅調局面に。利上げ打ち止め観測と金融不安を背景とする微妙な不透明感が続き、NY金が2000ドル超へと一段高となれば国内金価格も高値再更新へと向かう可能性も。過去最高値再更新となれば9230円程度までが短期上値目標。引き続き9040円が当面の下値サポート。
週間ベースでは+152円、1.69%の続伸。
プラチナ価格は-12円、0.27%安で3日ぶりの反落。ゆるやかな上昇軌道の21日移動平均線(4504)を下抜けたことで、短期上昇トレンドのピークアウト後に下げ渋る状態が徐々に崩れ始めてきた様子も。4460円の節目割れなら反発局面は完全に腰折れ、4370円程度までを目安に下値トライへ。逆に4530円超へと切り返すことができれば4630円近辺を目標に上値トライへ。
週間ベースでは-42円、0.93%の反落。
※参考:金プラチナ国内価格3/23とチャート
- 2023年3月24日(金)時点の相場
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国内金 : 9,147 円 3/24(金) ▲67(0.74%) 国内プラチナ : 4,485 円 3/24(金) ▼12(0.27%) NY金 : 1,995.9 ドル 3/23(木) ▲46.3(2.37%) NYプラチナ : 992.9 ドル 3/23(木) ▲5.9(0.60%) ドル円 : 130.90 円 3/23(木) ▼0.57(0.43%)
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