更新日：2025年8月23日(土)
ジャクソンホールでのパウエル議長講演では、「金融政策はやや引き締め的」である現状を踏まえ、「リスクバランスの変化により政策調整が必要になる可能性」を指摘。ただ「労働市場の安定により慎重な対応が可能」である、とゆるやかな利下げ再開の可能性を示唆。これを受けてドル売りが急速に進行。
事前にややタカ派傾斜し過ぎていた面もあり、適度な巻き戻しが急速に進行したような格好にも。
トランプ大統領の圧力には決して屈せず、中央銀行の独立性を真摯に貫き通すパウエルFRB議長も、現状を冷静に分析した結果で適度なハト派スタンスに。
前回7月FOMCでFF金利据え置きに反対し、利下げを支持したボウマン副議長、ウォラー理事以外では、今週ジャクソンホール前日までの時点でトランプ大統領寄りの発言は聞かれず、むしろ慎重姿勢を優勢する声が多数。
シカゴ連銀グールズビー総裁は「サービスインフレ上昇を理由に利下げに慎重」姿勢。
クリーブランド連銀はマック総裁は「利下げは差し迫ってはいない」発言。
ボストン連銀コリンズ総裁は「来月の利下げに前向き」な姿勢を示唆したものの、
アトランタ連銀ボスティック総裁は「年内1回の利下げ」との見方とともに「不確実性」への警戒感も示唆。
カンザスシティ連銀シュミッド総裁は「物価懸念が雇用リスクを上回る」現状に「利下げを急がない」スタンス。
サンフランシスコ連銀デイリー総裁も「9月0.5％利下げには否定」的。
概ね、今後の指標も踏まえて慎重に、まずは9月に0.25％利下げから。というニュアンスはジャクソンホールでのパウエル発言に一致。
22日のNY金は+36.9ドル、1.09％の反発。終値ベースで過去最高値となった8月8日（3491.3）以来、2週間ぶりの高値。時間外は3380ドル台から3370ドル近辺へと小幅に軟調推移、NY朝には3360ドル台前半の安値をつけた後、ジャクソンホールでのパウエルFRB議長講演を受けて3400ドル台へと急騰で反応。3420ドル台の高値では上値上げ渋り、NY午後には3410ドル台半ばへと収束。3390ドルの節目突破に伴う短期上値目標3410ドル超へと水準を切り上げ、9月0.25％利下げを織り込んで一服。利下げ見通しに変動がなければ3380ドルから3420ドルまでが目先の主要レンジに。今後さらに上方向にへと振れた場合に意識されるのは3450ドル近辺、下方向へ3380ドルを割り込めば3350ドル近辺までが短期下値目安に。
週間ベースでは+35.9ドル、1.06％の反発。
NYプラチナは+4.2ドル、0.31％高で3日続伸。7月30日（1374.9）以来、3週間ぶりの高値。1350ドル台から軟調推移となった時間外は1330ドルの安値をつけて折り返し。パウエル発言を受けて急騰したNY金に追随する形でNY朝には1340ドルから1360ドル台へと急騰。高値では1380ドル台半ばまで上昇して失速、NY午後には1360ドル台で下げ渋り。20日移動平均線（1349.8）上抜けは維持したものの、1370ドルの節目超えにはいったん失敗。引き続き1310ドルから1370ドルまでを主要レンジに保ち合い継続へ、上抜け再トライに成功なら1450ドル近辺を目指す流れへ。1310ドル割れの場合には1200ドル近辺を目安に調整再開へ。
週間ベースでは+17.9ドル、1.33％高で3週続伸。
ドル円は-143銭、0.96％の反落で7月23日（146.50）以来、1ヵ月ぶりの安値。東京朝の148円20銭台から午後には148円70銭台まで上昇。これが高値となり、148円半ばから70銭近辺までの保ち合いで欧州時間を通過、NY朝にはパウエル議長講演を受けて148円60銭近辺から147円近辺へ、1.50円超の急落。安値では146円50銭台まで下落してNY終盤の反発局面では147円ラインに抵抗感も。148円の節目超えに伴う短期上値目標151円台を目指す可能性もあった前日の流れは巻き戻され、今度は147円の節目をわずかながら割り込んだことから下値トライの流れへ。147円台へと早期回復できなければ143円半ば辺りを目指す展開へ。
週間ベースでは-24銭、0.16％の小幅続落。52週移動平均線（148.77）が当面のレジスタンスに。
※参考：金プラチナ相場とドル円 NY市場8/22終値とチャート
2025年8月23日(土)時点の相場
国内金：17,404 円 8/22(金) ▲65(0.37％)
国内プラチナ：6,990 円 8/22(金) ▲122(1.78％)
NY金：3,418.5 ﾄﾞﾙ 8/22(金) ▲36.9(1.09％)
NYプラチナ：1,363.1 ﾄﾞﾙ 8/22(金) ▲4.2(0.31％)
ドル円：146.94 円 8/22(金) ▼1.43(0.96％)