更新日:2014年8月27日(水)
地政学リスクを背景に比較的底堅い動きが続いてきた金相場は、足元ではやや軟調推移が続いた後、再び方向感を模索するような動きとなってきました。
ウクライナ情勢をめぐっては、首脳会談による事態終息への期待と、そう簡単には収まらないだろうとの見通しも交錯し、ロシア軍兵士のウクライナ国境越え?など新たな火種となりかねない情報も錯綜、長期化懸念は続きます。
パレスチナ自治区ガザではイスラエルとハマスとの無期限停戦が伝えられる一方で、近隣の紛争状態の首謀者「イスラム国」に対して「正義の鉄槌を下す」と息巻く米オバマ大統領。こちらも長期化懸念が根強く残ります。
そんな地政学リスク動向に振り回される金相場とは対照的に、米株は堅調推移が続きます。NYダウはザラ場で史上最高値更新、S&P500は終値で史上最高値更新の2,000ポイント超え、NASDAQも年初来高値更新。もはや地政学リスクは無視したかのような状況に。
それに近い状況となりつつあるのが米ドル。主要通貨に対するドル高傾向が鮮明となり、特に対円、対ユーロではその動きが加速しそうな様子も。
逆に軟調推移が続くのがユーロ。特に対ドルでは5月初旬の1ユーロ=1.40ドル近辺から現在の1.31ドル台へとほぼ一方的な下落が続きます。ウクライナ情勢の悪影響を大きく受け、それがなくともECBの緩和政策によるユーロ安が進み、逆の意味で地政学リスクを無視したかのように下落が続きます。
ユーロドルが今年高値をつけた5月8日から現在までの騰落率を比較すると、
ユーロドル:-4.86%、ドル円:+2.35%、NYダウ:+3.36%、NASDAQ:+12.81%、NY金:-0.19%、VIX指数:-13.40%など、それぞれの特徴がよく表れています。
26日のNY金相場は0.49%の反発。ベラルーシの首都ミンスクで行われた5者協議が始まると、ウクライナ紛争終結に向けた進展の可能性を見越してか、この日の高値1,290ドル近辺から下落し始め、米8月の消費者信頼感指数の好結果などを受けて加速。しかし、ウクライナに対して親ロシア派との対話による紛争解決を訴えるプーチン大統領と、ロシアに対して親ロシア派への武器供給停止を要請するポロシェンコ大統領との間の溝は埋まらず、平行線状態の様子。結局、下値も限定的となり1,280ドル近辺へ。一度は下抜けた重要な節目水準を回復し、揉み合い傾向の兆しもあるものの、流れはやや下方向優勢で1,250ドル近辺までの下落余地も。
プラチナ相場はわずかに1.2ドル、0.08%の上昇で10日ぶりの反発。ほとんど横ばい推移の状態が3日間継続し、1,400ドル近辺までの下落余地に対して何度か1,410ドル台前半を試した状態。RSIも23を下回り、ようやく売られ過ぎ圏となり、徐々に反発への可能性も高まる展開へ。
ドル円はほとんど横ばいもわずかに1銭上昇し、7営業日続伸。前日の水準からやや下押し傾向となり、103円90銭付近での推移が続いた状態から、米8月消費者信頼感指数やリッチモンド連銀製造業指数が市場予想を上回ったことなどをきっかけに104円台を回復。次のきっかけ待ちで104円60銭近辺までの上値余地。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/26終値とチャート
27日の国内金価格は0.39%の反発。4,570円台から4,610円までのレンジを形成し始めた様子も、短期トレンドはゆるやかに下方向。4,520円台近辺を目指す可能性は継続。上方向、4,610円のレジスタンスを超えると形成逆転へ。
プラチナは前日比1円の下落。到達済の下値メド5,070円台で達成感からの横ばい推移。新たに、もう一段の下値を試す可能性を抱え、下方向へ動き出した場合のメドは5,000円近辺。売られ過ぎ傾向からの反発に転じて5,100円の節目を超えると5,150円程度までの上昇余地。
※参考:金プラチナ国内価格8/27とチャート
2014年8月27日(水)時点の相場
国内金:4,596 円 8/27(水) ▲18(0.39%)
国内プラチナ:5,071 円 8/27(水) ▼1(0.02%)
NY金:1,285.2 ドル 8/26(火) ▲6.3(0.49%)
NYプラチナ:1,419.6 ドル 8/26(火) ▲1.2(0.08%)
ドル円:104.06 円 8/26(火) ▲0.00(0.00%)
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