更新日:2014年11月1日(土)
マーケット波乱のサイン出現翌日、早速大荒れ模様となりました。ただし、これまでのようなリスク回避の流れとは正反対の方向に。
マネタリーベースの年間増加ペースを(60-70兆円から)「80兆円」に拡大し、長期国債年間増加額「+30兆円」、長期国債買入れ平均残存期間「+3年」、ETF/J-REIT買入れペース「3倍」という日銀の追加緩和が発表されました。
2%の物価安定目標達成を目指し、マネタリーベースを2年で2倍に拡大し、長期国債買入れ平均残存期間を2倍にするとした昨年4月の量的質的緩和のリニューアル版として、規模はそれほどでもない内容ながら、マーケット戦略に優れた黒田日銀ならではの市場誘導作戦が功を奏したようです。
ハロウィンの日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産構成目標値発表前に、市場の意表をつく絶妙のタイミングでのポジティブ・サプライズに円売り・日本株買いの流れが急加速。
109円30銭台にあったドル円相場は13時30分過ぎから急騰を続けると、15時には111円台へ、22時過ぎには112円台へ、23時台には一時112円47銭まで上昇し、2007年12月31日以来6年10カ月ぶりの高値水準に。JPモルガンでは、ドル円の14年末見通しを従来の109円から115円へと引き上げました。
15,900円付近から急騰した日経平均は、前日比で一時870円超の大幅上昇。大引けでも755円高の16,400円台。今年最大の上げ幅となり年初来高値を更新、2007年11月以来7年ぶりの高値水準に。シカゴ日経平均先物は17,000円台に到達しています。
この流れは欧米市場のリスク資産も押し上げ、NYダウとS&Pは久々の過去最高値更新、NASDAQも2000年3月以来14年ぶりの高値更新。低迷が続いていたドイツDAXも2.33%、英FTSEも1.28%の上昇となっています。
物価目標2%の早期達成とデフレマインド払拭を目指す黒田日銀の強い意志を感じさせる奇策は、急速な円安進行に伴う急速なドル高をもたらすことになり、ドル高を懸念し始めた米当局からのけん制も気になるところです。
甘利経済再生相は「消費増税と金融緩和は切り離して考えるべき」とは言うものの、増税絶対賛成派の黒田総裁の追加緩和によって、10%への再増税決定を余儀なくされる状況に。
もしくは、シナリオどおりだった可能性も・・・。
31日のNY金相場は2.25%の大幅安となり、3日続落で2日連続2%超の下落。円安急加速によるドル高の流れで売り圧力が増大し、1,190ドルの重要な節目を下抜けると急落の展開で一時1,160ドルまで下落。2010年7月以来4年3カ月ぶりの安値水準へ。1,100ドル台半ばまで拡大した下値余地まであとわずか。ただし、ドル高に伴う急落の為、ドル高一服なら反発へ。
週間ベースでは-60.2ドル(-4.89%)の続落。月間では-40ドル(-3.3%)の続落。
プラチナ相場は0.86%の続落。金の急落に牽引される形で一時1,220ドルまで下落。レンジ下抜けに伴う下値目標1,200ドル前後へと向かう可能性もやや高まった状態。しかし、10月初旬の安値手前で踏みとどまり、金が反発に向かうなら追随の可能性も。
週間ベースでは-15.7ドル(-1.26%)で3週続落。月間では-63.3ドル(-4.87%)で4カ月続落。
ドル円相場は3.15円、2.89%の急騰で4日続伸。上げ幅としては2013年4月4日、日銀による量的質的緩和発動の日の3.29円(-3.54%)以来で、これに匹敵する値幅。上値目標110円台前半を、追加緩和発表後わずか30分でクリア。上値抵抗線として存在感が高まっていた110円ラインを大きく上抜けたことにより、さらなる上昇余地も発生。しかし、それも112円台後半まで。次の目標水準付近にもほぼ到達しており、目先はこれ以上の上値は限定的となる可能性大。通常なら反落必至。
週間ベースでは+4.22円(+3.9%)の大幅続伸。月間ベースでは+2.71円(+2.47%)で4カ月続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/31終値とチャート
2014年11月1日(土)時点の相場
国内金:4,517 円 10/31(金) ▼35(0.77%)
国内プラチナ:4,667 円 10/31(金) ▼25(0.53%)
NY金:1,171.6 ドル 10/31(金) ▼27.0(2.25%)
NYプラチナ:1,235.2 ドル 10/31(金) ▼10.7(0.86%)
ドル円:112.36 円 10/31(金) ▲3.15(2.89%)
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