更新日:2015年4月30日(木)
FOMCの声明では、労働市場と景気判断を引き下げたものの、景気減速は一時的な要因とし、「労働市場の一段の改善とインフレ目標2%に向けての上昇傾向の合理的確信」が利上げへの判断基準であるという、従来からの基本スタンスを継続しました。
受け止め方には若干の相違もあり、経済指標次第という大前提を踏まえ、時期に関する言及がなくなったことも合わせると6月の可能性がほぼ消滅し、9月以降の可能性が非常に高まったと解釈することが可能です。一方では、時期に関する言及がなくなったことは、逆に6月利上げを否定するものではない、という(ややうがった)見方も可能。
声明発表直後にドルが買い戻され、金が売られたことからは、後者の見方が優勢だったと解釈することができます。
しかし、その前に1-3月期GDPが予想を大きく下回ったことでドル売りが進み、金もやや買われていたことの反動という一面もありそうです。今朝時点でもドル買いの流れは続かず、金も小康状態となっています。
時期に関する言及については、市場の解釈が偏り過ぎることを避けるために、FRBがあえて外したとも考えらます。あるいは、その時期を見通すこと自体がFRBも困難となってきた可能性も考えられます。
景気減速感の高まりとともに、利上げ時期の不透明感も高まってきているようです。
利上げ時期の不透明感とともにドル買いの流れの巻き戻しも進行しています。
対円では9日ぶりのドル安水準まで売られたに過ぎませんが、対ユーロでは8週間ぶりのドル安ユーロ高水準まで売られ、ドルインデックスでは9週間ぶりの安値水準まで下落しています。
4-6月期GDPの動向を占う4月以降の経済指標の動向、雇用指標の改善傾向、賃金上昇率の動向、原油の下げ止まりでインフレ率が上昇へと向かうのか等、ひとつひとつの指標が確実に改善傾向へと向かっていることを確認できない限り、この不透明感は払拭できないことになります。
29日のNY金相場は0.32%の小幅反落。米1-3月期GDP速報値の下振れを受けて10ドルほど急騰も一時的となり、1210ドル近辺に収束。引け後のFOMC声明文に対してはタカ派寄りと受け止めたのか1200ドルまで小幅に急落。その後は1200ドルから1210ドルの小幅レンジでの推移に。1200ドル近辺でのレンジ状態に戻ってきた形で方向感はニュートラルからわずかに上向き。1220ドル近辺が当面の上値メド。
プラチナ相場は0.25%の小幅高となり3日続伸。上値メドとなっていた1160ドル到達後の小動き状態が継続。予想外にハト派色が強まらなかったことで金に連れ高のパターンとはならず、1160ドル近辺でのレンジ状態に。
ドル円相場は0.13%の小反発。米GDP下振れ後には118円60銭近辺までドル売り進行後、FOMCの結果に119円台へと急反発。狭い範囲での乱高下となってドル売り圧力もそれほど続かず。日銀の追加緩和見送りの影響が予想以上に大きく、円高圧力が高まるようなことがあれば、改めて下値トライへ。目標水準116円台後半へと向かい始める可能性は継続中。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/29終値とチャート
30日の国内金価格は0.26%の小幅続伸。今回のFOMCではトレンドが発生せず、4900円台前半でのレンジ傾向が再び強まる状態に。本日の日銀の結果ではサプライズは予想されないものの、わずかに円高リスクも残る状況。
月間ベースでは+28円(+0.57%)の小幅反発となり、3カ月ぶりの上昇。
プラチナは1.01%の大幅続伸。90日移動平均線が水平状態からやや下向きとなり、9-21日移動平均線は方向感が定まらない状態にあり、長期的には緩やかな下落基調のなか、短期的には上下に振れる展開となっていることを示す状況。現時点では下方向に振れ過ぎたところからの戻り基調。
月間ベースでは+86円(+1.86%)となり、4カ月ぶりの反発。長期的にもいったんは下げ止まった可能性を示す状況。
※参考:金プラチナ国内価格4/30とチャート
2015年4月30日(木)時点の相場
国内金:4,932 円 4/30(木) ▲13(0.26%)
国内プラチナ:4,722 円 4/30(木) ▲47(1.01%)
NY金:1,210.0 ドル 4/29(水) ▼3.9(0.32%)
NYプラチナ:1,161.5 ドル 4/29(水) ▲2.9(0.25%)
ドル円:119.01 円 4/29(水) ▲0.15(0.13%)
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