更新日:2015年5月15日(金)
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が14日発表したGold Demand Trends Q1 2015 によると、2015年第1四半期の世界の金需要は1,079.3トン。前年同期(1,089.9トン)比-10.6トン(-0.97%)と小幅に減少。
目的別需要
宝飾品:600.8トン(前年同期比-3.1%)
工業関連:80.4トン(-1.8%)
投資関連:278.8トン(+4%)
公的機関・中央銀行:119.4トン(-0.3%)
投資関連の内訳として、現物投資が253.1トン(-10.1%)、ETF関連が前年同期の-13.5トン(売り越し)から+25.7トン(買い越し)へ。
平均価格が前年同期の1,293.1ドルから1,218.5ドルへと6%低下したことで投資需要が増加、世界的にも景気低迷からの回復途上であることから宝飾需要は減少しました。
国別の金消費需要(宝飾品と現物投資の合計)
1位 中国:272.9トン(前年同期比-7.1%)↑
2位 インド:191.7トン(+14.7%)↓
3位 ドイツ:33.8トン(+18.4%)↑
4位 米国:32.3トン(-1.5%)↓
5位 タイ:22.7トン(-17.6%)↑
6位 サウジアラビア:22.3トン(+4.2%)↑
7位 UAE:19.8トン(-6.6%)↑
8位 インドネシア:18.3トン(+4.2%)↑
9位 ベトナム:18.3トン(-7.5%)↓
10位 イラン:18.2トン(-41.1%)↑
世界合計:853.8トン(-5.3%)
※矢印は2014年トータルの金消費需要ランキングからの順位変動
世界全体では前年比小幅減少、インドとドイツは大幅増。
インドでは宝飾品が150.8トン、消費需要の80%近くを占め、前年比でも+22%。投資需要は-6%と相変わらず宝飾品需要の強さが際立ちます。ドイツの投資需要32.2トン(+20%)、占有率95%超とは対照的。インドネシアでは宝飾品、投資目的ともに伸びており、比較的経済状況の良い新興国の代表格となりつつあります。
中国でも宝飾品需要が10%減少し、投資需要が3%増加。中国のおばちゃんたちの「爆買い」はなかったようです。
トップ10常連のトルコとロシアはいずれも40%超の大幅減となり、11-13位へと後退。自国通貨安に伴う金価格の上昇も影響したもようです。
しかし、同様に自国通貨安(ユーロ安)となったドイツでは逆に投資需要が伸びています。ドイツ人は、インフレ懸念に備え始めているのかもしれません。
中央銀行保有量
*:2014年末時点からの変更点(カッコ内は外貨準備に占める割合)
1:米国 8,133.5(74%*)
2:ドイツ 3,383.4*(68%)
3:IMF 2,814.0(-)
4:イタリア 2,451.8(67%)
5:フランス 2,435.4(65%*)
6:ロシア 1,238.3←1,208.2(13%)*
7:中国 1,054.1(1%)
8:スイス 1,040.0(7%*)
9:日本 765.2(2%)
10:オランダ 612.5(57%*)
11:インド 557.7(6%*)
12:トルコ 513.0*←529.1(16%)
13:ECB 504.8←503.2(26%)*
14:台湾 423.6(4%)
15:ポルトガル 382.5(69*←75%)
16:ベネズエラ 367.6(69%)
17:サウジアラビア 322.9(2%)
18:英国 310.3(10%*)
19:レバノン 286.8(21%*)
20:スペイン 281.6(19*←22%)
順位に変動はなし。目立った変更点は、ロシア中銀が30トンの買い越し、トルコ中銀は16トンの売り越し。
供給量
供給量は1,089.2トン。前年同期(1,093.3トン)比-4.1トン(-0.38%)の小幅減。需給バランスでは+9.9トンの小幅供給過多(前年同期は+3.4トン)。
供給量の内訳は、鉱山産出量が734.2トン(+1.2%)、リサイクルが355.1トン(-3.3%)。
14日のNY金相場は0.57%の上昇で3日続伸。新規失業保険申請件数の好結果と4月の卸売物価指数下振れとで一瞬の乱高下をはさんで上昇。終値でも2月13日以来3カ月ぶり高値水準となる1220ドル台半ばへ。短期目標水準1230ドル台にもあとわずか。今年最高値1307.8ドルから最安値1141.6ドルまでの半値戻しとなる1224.7ドルをわずかに超えた後、今朝時点では1220ドル近辺へと若干調整気味。半値戻しの水準を維持できれば、中期的にはさらに上値をうかがう展開も。
プラチナ相場も1.01%の大幅高で3日続伸。いったん流れが止められやすい1150-60ドル近辺の水準をわずかに超え、方向感もニュートラルから徐々に好転しつつあり、短期目標水準1180ドル台のへの到達確率もアップ。ただしその手前では、今年最高値1290.3ドルと最安値1086.7ドルの38.2%戻しライン1164.5ドルとの攻防が待ち受ける状況。
ドル円は前日比ほぼ変わらずの横ばい推移。4月30日以来半月ぶりの安値水準となる118円90銭前後まで売られる場面もあったものの、その都度119円台へと買い戻される底堅さも。前日の小売に続き、物価でも4月の指標が低迷したこともあり、ドル買い圧力は弱まる展開へ。チャートの足型は十字線となり、反発の可能性も示唆。118円80銭から120円20銭までのレンジ相場継続へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/14終値とチャート
15日の国内金価格は0.58%の上昇で3日続伸。目標水準4980円台をクリアし、1カ月ぶりに5000円の大台に到達し、90日移動平均線上抜けも1カ月ぶり。5000円は今年高値5298円から3月安値4816円までの38.2%戻しラインにも相当し、さらに上値を伸ばすか、反落かの分岐点となりやすい水準。
週間ベースでは+127円(+2.6%)の続伸。
プラチナも0.93%高で3日続伸。4720円近辺の抵抗水準を難なく上抜けて連日の大幅上昇となり、4800円近辺の目標水準まであと一息。この目標水準は、今年高値5193円から安値4576円までの38.2%戻し(4812円)の水準に相当し、中期トレンド好転に向けては到達必須の水準。
週間ベースでは+97円(+2.08%)の反発。
※参考:金プラチナ国内価格5/15とチャート
2015年5月15日(金)時点の相場
国内金:5,006 円 5/15(金) ▲29(0.58%)
国内プラチナ:4,768 円 5/15(金) ▲44(0.93%)
NY金:1,225.2 ドル 5/14(木) ▲7.0(0.57%)
NYプラチナ:1,162.4 ドル 5/14(木) ▲11.6(1.01%)
ドル円:119.15 円 5/14(木) ▲0.02(0.02%)
Copyright(C) Let's GOLD