更新日:2015年8月12日(水)
中国人民銀行は対ドル為替レートの基準値を前日から約2%切り下げた翌日の今朝も1.6%切り下げました。日欧通貨安競争に割って入る形で米ドル独歩高を促進し、アジアを中心に新興国通貨安を誘引、リスク回避的な流れも引き起こし、株価も急落。中国と同じ管理フロート制のベトナムでは、自国通貨ドンの取引バンドを拡大させて対応しているようです。
人民元安誘導が続くようなら、ドル高進行による米国経済への悪影響も懸念され、前倒し観測が高まる利上げにも影響しそうです。何より、意図的な為替介入を認めない米国は黙ってはいないでしょうし、何らかのけん制発言も聞かれそうです。
人民元を切り下げた11日に下落した相場・指標をチェックしておきます。(括弧内は年初来騰落状況)
NYダウ:1.21%下落(2.36%下落)
ドイツDAX:2.86%下落(15.18%上昇)
日経平均:0.42%下落(18.74%上昇)
NY原油:4.18%下落(19.13%下落)
日本円:0.40%安(4.5%安)
豪ドル:3.0%安(13.47%安)
中国人民元:1.86%安(1.91%安)
ブラジルレアル:1.18%安(30.76%安)
南アランド:0.99%安(10.55%安)
ロシアルーブル:1.93%安(10.67%安)
インドネシアルピア:0.38%安(9.81%安)
インドルピー:0.88%安(2.06%安)
マレーシアリンギ:1.41%安(14.9%安)
タイバーツ:0.40%安(7.84%安)
※為替は1ドルあたりの各国通貨額で比較
アジア通貨の下落が懸念されていますが、今のところはそれほど極端な下落とはなっていないようです。ただし、新興国のなかで突出して安定しているインドルピーもここに来てやや大幅安の反応とはなっています。
ブラジルレアルは国内事情によるところが大きく、ロシアルーブルは原油安による影響も大きく、その原油も含め、貿易国としての中国の影響もそれなりに受けているものと思われます。
貿易相手国として中国の存在感が高い豪ドルが最も強いインパクトを受けています。
11日のNY金相場は0.33%上昇し4日続伸。中国の人民元切り下げ発表時には1090ドル台前半へと10ドルほど急落で反応も、その後は底堅く欧州時間には一時1120ドル目前まで上昇する場面も。ドル高懸念や中国経済減速懸念も高まるマイナズ材料と不透明感によるリスク回避的なプラス材料との両面あるなかでは、底値反発の流れが優勢となった形。1130ドル近辺までもう一段の上昇が見込まれる。
プラチナ相場も4日続伸で0.25%の小幅高。一時的には約1カ月ぶりとなる1000ドルの大台にタッチし、終値でも節目の990ドル超えをなんとか維持。これで反発の流れがもう一段進む可能性は高まり、目標水準1010ドル台を目指す展開へ。ただし、今朝の時間外では既に990ドル割れ水準へと押し戻され、戻り売り圧力との攻防が続く状況も示唆。反発力の弱さが懸念材料。人民元切り下げに伴うリスク回避的な株安などもマイナス材料に。
ドル円は0.4%のドル高円安で続伸。人民元切り下げを受けてのドル高の流れでは、リスク回避的ムードもやや漂いながらもコンスタントにドル高円安基調が進行。やや意識し過ぎと見ていた125円の壁を超えた状態での推移がNY時間以降継続しており、125円台定着となれば、いよいよ高値更新トライ、126円台後半の目標水準へのトライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/11終値とチャート
12日の国内金価格は0.89%の続伸。金高円安の相乗効果も続き堅調推移。単なる偶然ではなく、長期間の底値揉み合い状態からの上方ブレイクによる上昇圧力の強さによるところが大きい。多少の調整をはさみながらも4820円台あたりまでの上昇余地は見込まれる状況。
プラチナは6営業日続伸でも0.87%のしっかり上昇。6日続伸は今年最長、昨年3月31日から4月7日までの6日続伸以来。この時の6日続伸では合計6.78%の上昇。今回ここまでの上昇率4.85%はプラチナにしては控えめの部類。目標水準4350円台付近を目指す流れが継続する可能性は高まったものの、NYプラチナの中途半端なレンジブレイク状態が気になるところ。
※参考:金プラチナ国内価格8/12とチャート
2015年8月12日(水)時点の相場
国内金:4,778 円 8/12(水) ▲42(0.89%)
国内プラチナ:4,279 円 8/12(水) ▲37(0.87%)
NY金:1,107.7 ドル 8/11(火) ▲3.6(0.33%)
NYプラチナ:992.3 ドル 8/11(火) ▲2.5(0.25%)
ドル円:125.12 円 8/11(火) ▲0.50(0.40%)
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