更新日:2015年8月8日(土)
利上げに向けて労働市場の「あともう少しの改善」が必要とのメッセージが伝えられていた7月末のFOMC。今回の7月分雇用統計からは、その「あともう少しの改善」を確認するにはやや不十分な結果となったようです。
今回予想を下回った非農業部門雇用者数(NFP)の伸びは、3カ月平均で見ると5月分時点の+18.9万人から6月の+22.6万人、7月分時点では+23.5万人へと順調な上昇傾向を示し、今年の年間平均でも先月時点での+20.8万人から+21.1万人へと上昇。昨年と比較すればやや弱い状態ながらも、過去10年間ではその2014年に次ぎ2番めの高水準。節目の20万人を上回る状態も続いています。
失業率も適正水準目前の5.3%で横ばい、U6失業率は2008年7月以来7年ぶりの低水準となっていた先月の10.5%からさらに0.1ポイント改善し、10.4%に。
しかし、長期失業者の割合は先月の25.8%から26.9%へと悪化。労働参加率もリセッション後の最低水準62.6%で変わらず。
そして賃金上昇率も前年同月比+2.13%にとどまり、先月の+1.96%からは上昇したものの、2%前後の停滞水準から上放れの兆しは依然見られません。強いて言えば6カ月平均で見ると昨年から今年前半にかけて2.0%台だったのが5月以降は2.1%台へと小幅上昇傾向。
全般的には、最近の傾向からすると悪くはない結果と見ることもできそうですが、もうひとつパッとしない数字が並び、労働市場の「あともう少しの改善」を確認する為には、「あともう少しの時間」が必要と言えそうです。
7日のNY金相場は0.37%の続伸。雇用統計発表前の欧州時間には1080ドル台での推移から一時1090ドル台後半まで急騰するなど弱い結果を予想してか仕掛け的な買いも。微妙な結果を受けて1080ドル付近まで急落後はドル売りの流れを受けて1100ドル寸前まで急反発。終わって見れば1080ドルから1100ドルまでのレンジの下限と上限を確認し、レンジ半ばで落ち着き始めた状況に。戻り売り圧力との攻防も予想され、レンジ推移は延長戦へ。
週間ベースでは-0.8ドル(0.07%)の小幅安。2週連続で前週末比1%未満の小動き。
プラチナ相場も0.65%の続伸。4日連続940ドル台までの下値トライ後には4日ぶりとなる960ドル台へと反発基調。930ドル台を目指した下値トライの流れは940ドル台半ばまでにとどまり、いったん終了。950ドルをサポートラインとして戻りを試す展開へ。抵抗水準は990ドル、7月からの急落幅の23.6%ラインにあたる980ドルも。
週間ベースでは-22.8ドル(2.31%)の反落。
ドル円は0.42%の続落。雇用統計ではNFPが予想をやや下回り、過去2カ月分は上方修正、失業率、賃金なども悪くはない中途半端な結果に124円20銭台から125円ちょうどまでの範囲で乱高下。その後は株価下落と金利低下の流れにドル売り円買いが進行。原油の下落も足を引っ張った可能性。124円10銭の一目均衡表の転換線にサポートされる形で下げ止まった状態で、ドル高の勢いは削がれながらも次週以降の上値トライ再開へと望みをつなぐ。
週間ベースでは+0.3円(0.24%)の小幅続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/7終値とチャート
2015年8月8日(土)時点の相場
国内金:4,677 円 8/7(金) ▲18(0.39%)
国内プラチナ:4,102 円 8/7(金) ▲2(0.05%)
NY金:1,094.1 ドル 8/7(金) ▲4.0(0.37%)
NYプラチナ:962.2 ドル 8/7(金) ▲6.2(0.65%)
ドル円:124.21 円 8/7(金) ▼0.52(0.42%)
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