更新日:2015年11月25日(水)
トルコ軍によるロシア軍機撃墜に伴う地政学リスクへの警戒感がやや高まる状況となっています。リスク回避の流れが急速に進むほどの状況には至らなかったものの、安全資産とされる円やスイスフラン、そして金もやや買われる展開となり、ドル高の調整局面にある新興国通貨のなかでは、ルーブルがやや売られ、トルコリラは0.9%の大幅安となっています。
シリア・アサド政権を支持するロシアと、クルド人勢力との対立問題を抱えるトルコという微妙な立場の違いはあるものの、同じイスラム国への空爆を行う国どうしの緊張感の高まりには、警戒感が高まります。
フランスのパリ同時テロ以来、中東・欧州近辺での緊張感は高まる状況にあり、今週に入ってあちこちで非常事態宣言も発令されています。
フランスでは「国家非常事態」の3カ月延長を決め、西アフリカのマリでも武装グループのホテル襲撃事件を受けて22日、10日間の非常事態を宣言し、3日間を服喪の日に。
クリミア半島では大規模停電が発生し、ウクライナの民族グループが送電線の支柱爆破との疑いもあり、ロシア政府が非常事態宣言。
さらに24日には、チュニジアでもバス爆破事件を受けて非常事態宣言発令見通しとも。
非常事態宣言まではいかないまでも、ベルギー政府はブリュッセルでのテロ警戒レベルを最高段階のレベル4に引き上げました。
今のところは市場への影響は限定的となってはいますが、いつまた次の事件、トラブルが発生しないとも限らないような状況への警戒は続きます。
「有事の金買い」は一時的に過ぎず、すぐに元の水準に戻る、というパターンが最近のトレンドにはなってはいますが、潮目が変わる可能性も高まりつつあるような状況下では、地政学リスクなどによる突発的な相場急変が、その後の流れに変化をもたらす「きっかけ」となる可能性は十分にあり得ます。
24日のNY金相場は3日ぶりの反発で0.66%高。地政学リスクの高まりで原油価格とともに上昇基調の展開。しかし、1080ドルの抵抗水準を超えるほどの反発力はまだ持ち合わせていない様子。1050ドル前後までの下値余地への警戒感を維持しながら1070ドル前後での保ち合い形成へ。保ち合い長期化により流れが変わる可能性も。
NYプラチナ相場は0.67%安で3日続落。7年ぶり安値水準での連日の安値更新となり、一時830ドル台半ばまで下げて840ドル近辺での揉み合い状態へ。下値目標水準830ドル付近にタッチした形で下押し圧力後退を待つ状況のようにも見えるものの、もう一度しっかりと830ドル前後まで下落する可能性も。上方向には860ドルが当面の抵抗線。
ドル円は小幅に4日続落で122円台半ばへ。前日の上ヒゲ陰線を受けての調整局面が進行。地政学リスクによる円買いも単発的となり、底堅さも見られる状況ながら上値が徐々に切り下がる展開で円高優勢地合いへ。1週間ぶりの水準まで下げたことで124円を目指した流れはいったん仕切り直し。調整フェーズがもう少し継続しそうな状況となり、目標水準は121円台前半。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/24終値とチャート
25日の国内金価格は0.22%の小幅反発。4530円台の下値目標水準に到達したことに伴う一服感の範疇。減速気味ながらもコンスタントな下げ基調が継続し、追加目標4500円前後までの下値余地を抱える状況。流れが変わる為には、きれいな抵抗線となっている9日移動平均線(4572円)をしっかりと上抜ける必要。
国内プラチナ価格は0.64%安で3日続落。2009年7月15日以来、6年4カ月ぶりの安値水準となり、直近の下値メド3570円台辺りにも到達。達成感は出やすいところながら減速感はイマイチ。円高優勢地合いにNYプラチナが反発に転じ切れていない状況からは、ジリ安の展開も見込まれる。目先の下値警戒水準としては3540円付近も。
※参考:金プラチナ国内価格11/25とチャート
2015年11月25日(水)時点の相場
国内金:4,536 円 11/25(水) ▲10(0.22%)
国内プラチナ:3,567 円 11/25(水) ▼23(0.64%)
NY金:1,073.8 ドル 11/24(火) ▲7.0(0.66%)
NYプラチナ:841.7 ドル 11/24(火) ▼5.7(0.67%)
ドル円:122.53 円 11/24(火) ▼0.30(0.24%)
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