更新日:2016年4月2日(土)
米3月の雇用統計での賃金上昇率は、前月比では+0.2%程度の予想に対して+0.28%の増加となり、好結果との判断材料となった模様。しかし、前年同月比では+2.25%の増加。2.50%前後で推移していた1月までからは一段水準を切り下げた2月の2.26%とほぼ同水準となり、賃金上昇率加速の兆しは腰折れ状態。この水準が続くようなら2.50%前後までの上昇が一時的だったことになります。このあたりがイエレン議長の「雇用には改善の余地」があるとの発言を裏付ける材料の一つとなっているようです。
その他の指標では、失業率が5.0%へと前月から0.1%上昇したものの、労働参加率が63%へと4カ月連続で上昇している好材料の裏返し。長期失業者の割合も27.6%へと0.1ポイント改善、U6失業率は前月から0.1ポイント後退して9.8%と改善が進まない状況。
全体的には好調を維持しながらも、イマイチな部分が残る状況は変わらず、「改善の余地」あり、というところ。
この日発表の指標で、注目されたのは、むしろISM製造業景況指数。好感されたのもこちらのほうで、半年ぶりに好不況の分かれ目となる50を上回り、予想以上の反発を見せたことで米株を押し上げ、金の上値を押さえる材料となったようです。
内訳でも、新規受注が前月の51.5から58.3へ、価格も38.5から51.5へと急騰し、生産も52.8から55.3など全般に渡って回復傾向となっています。
ただし、雇用指数だけは48.5から48.1へと小幅低下。1月の45.9からは回復した状態ながらも、節目の50手前での低迷が続きます。
ここでも、まだ「雇用には改善の余地」があるようです。
1日のNY金相場は0.97%の反落。総じて好結果となった雇用統計に急落の反応、ISM製造業景況指数も予想以上の急回復を示したことで一段安。1210ドル割れまで売られたところからはドル安進行とともに1220ドル台まで買い戻し。日足では上値が切り下がる流れが続くなか、安値では1200ドルの大台手前で切り返し、終値ベースでは1220ドルラインをキープする底堅さも。1240ドルの節目を超えれば流れ好転へ、しかし現状では1220ドルのサポートラインを維持できなかった場合の1200ドル割れへの警戒感のほうがやや勝る状況か。
週間ベースでは+0.6ドル(0.05%)、4週間ぶりの小反発。
NYプラチナ相場は2.36%の大幅反落。金に連れての急落後、ドル売りに乗じた買い戻し局面では金に追随できず、950ドル台まで下げた後の反発も限定的。高値圏での乱高下状態の保ち合い継続で上値は980ドルへと切り下げ、下値は940ドルが重要なサポートライン。イエレン発言以降、以前にも増してドル高への警戒感も高まる状況にあり、資源国通貨などの対ドル買い戻し基調も継続、南アランドが12月上旬以来ほぼ4カ月ぶりとなる14ランド台へと買い戻されていることなどもサポート要因に。
週間ベースでは+1.2ドル(0.13%)と小反発。
ドル円は0.86%の大幅反落。雇用統計にISM製造業景況指数と注目された指標がいずれも好結果となったことに対しては素直にドル買い反応も上値はいずれも限定的に。早期追加利上げ観測が高まる状況にはなく、ドル高への警戒感も依然強く、112円台半ばではドル売り円買い圧力が強まる展開で約2週間ぶりとなる111円台半ばへ。日経平均が暴落状態となった東京市場では112円台をなんとか維持していた状態から、重要イベント通過後に材料出尽くしの売りに押された格好。年初来高値更新が続く米株や回復基調にある欧州株に対して大きく出遅れる日本株の売り圧力も強まる状況にあり、円買い圧力も強まる展開にも警戒感が高まるところ。111円台前半を割りこむようだとさらなる円高進行で110円割れを試す展開も予想される。
週間ベースでは-1.54円(1.36%)の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/1終値とチャート
2016年4月2日(土)時点の相場
国内金:4,763 円 4/1(金) ▲21(0.44%)
国内プラチナ:3,778 円 4/1(金) ▲39(1.04%)
NY金:1,222.2 ドル 4/1(金) ▼12.0(0.97%)
NYプラチナ:953.6 ドル 4/1(金) ▼23.0(2.36%)
ドル円:111.60 円 4/1(金) ▼0.97(0.86%)
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