更新日:2016年5月7日(土)
米4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が予想の前月比+20万人を大きく下回る+16万人にとどまり、失業率も予想の4.9%に対して5.0%と前月から変わらなかったことで追加利上げ観測後退へとの思惑からドル売り金買いの反応となりました。
しかし、注目の賃金上昇率は前月比では+0.31%とほぼ予想通り、前年同月比では+2.4%程度の予想に対して+2.49%の上振れ。昨年後半から前年比+2.5%前後の水準で推移していた状態から2-3月には2.3%台へと落ち込み、鈍化傾向への逆戻りが懸念されていましたが、再び2.5%前後の水準へと上向きの兆しとなり、上昇トレンドを維持した形です。
その他の指標では、労働参加率が前月の63%から62.8%へと後退したものの、長期失業者の割合は前月の27.6%から25.7%へと低下、2009年3月以来7年ぶりの水準へと大幅改善。U6失業率も9.8%から9.7%へと改善、これも2008年5月以来ほぼ8年ぶり低水準となった3月と並ぶ低水準。
この結果に対し、NY連銀ダドリー総裁が「経済見通しには大きく影響しない」と発言したように、それほど悲観すべきような内容でもなかったように見えます。さらに同総裁が「今年2回の利上げは妥当」と発言したことでドル売りの流れは対円、ユーロなどでも巻き戻され、ドルインデックスは長い下ヒゲを残して反発、4日続伸となりました。
しかし、初期反応で急騰した金相場の戻りは限定的となっています。「年2回」を織り込み始めたのか、そうでなければ週明けにもう一段の調整が入ることにもなりそうです。
6日のNY金相場は1.71%の大幅高で4日ぶりの反発。米4月雇用統計での非農業部門雇用者数下振れを受けて1280ドル付近から1290ドル台へと急騰、1300ドルの大台一歩手前となる1297ドルまで上値を伸ばした後、今朝にかけては1290ドル割れへと上げ幅を縮小。1270-1300ドルへと主要レンジを切り上げるとともに、大台ライン付近での上値の重さを再確認し、買いポジション拡大に伴う急反落リスクへの警戒感も高まる状況。1270ドル以上を維持できれば大台トライのチャンスもいずれ訪れることに、維持できなければ1250ドル前後までの急落も。
週間ベースでは+3.5ドル(0.27%)と小幅続伸。
NYプラチナ相場は2%の大幅続伸。雇用統計後の急騰で上昇トレンド継続も1090ドルの抵抗水準は超えられず、1050-1090のレンジ内推移も継続。ほぼ1年ぶりに90日移動平均線が200日移動平均線をゴールデンクロスし、中長期的な地合いも改善。しかし、短期的には過熱感も高まる状態。2桁も珍しい90日移動平均上方乖離率は4月末から10%を超え、2日時点で16.01%まで拡大、少し縮小後再び14.82%へと拡大。上方向に15%前後まで拡大するのは2012年10月以来3年7カ月ぶり。当然このレベルでの推移は長続きすることはなく、乖離率縮小の為には急落か、移動平均線が上昇するのを待ち続けるしかない。目先はレンジ下限となる1050ドル付近をどこまで維持できるか。抜けると1030ドル付近へ。
週間ベースでは+6.7ドル(0.62%)の小幅高となり、6週続伸。6週続伸は2012年1-2月以来4年3カ月ぶり。
ドル円は0.13%の小幅ドル安円高となり5日ぶりの反落。雇用統計発表直後には107円付近から106円40銭台まで急落。しかし106円台前半のサポート水準を割り込まなかったことで反発へ。NY連銀ダドリー総裁発言などにも支えられて107円台へと持ち直し。106円台前半から108円までのレンジ状態継続へ。
週間では+0.73円(0.68%)で小幅反発。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/6終値とチャート
2016年5月7日(土)時点の相場
国内金:4,717 円 5/6(金) ▼8(0.17%)
国内プラチナ:3,896 円 5/6(金) ▼8(0.20%)
NY金:1,294.0 ドル 5/6(金) ▲21.7(1.71%)
NYプラチナ:1,085.1 ドル 5/6(金) ▲21.3(2.00%)
ドル円:107.12 円 5/6(金) ▼0.14(0.13%)
Copyright(C) Let's GOLD