更新日:2016年6月1日(水)
シカゴ購買部協会が5月31日に発表した5月の景気指数(シカゴPMI)は50.5の予想に対して49.3。予想外の2カ月連続の低下で好不況の節目50を3カ月ぶりに割り込みました。同じ日にダラス連銀が発表した5月の製造業活動指数も事前予想の-8.0を大きく下回る-20.8。4月の-13.9からも大幅低下、2015年1月以降、1年5カ月間マイナス圏での推移が続きます。NY原油相場が2月から4カ月続伸となり、50ドル前後の水準まで回復してきた状況のなか、エネルギー産業が多いテキサス州の景気回復は遅れているようです。
これでNY連銀、フィラデルフィア連銀、リッチモンド連銀と合わせて5地区、さらにカンザスシティ連銀も同様の推移で合計6地区全てが5月にはマイナス圏(シカゴPMIは50以下)へと反落、軒並み失速状態となりました。
最近の推移を見ても、全体的に2015年以降は低迷傾向にあり、今年3-4月の反発は一時的である可能性も高い状況と言えそうです。
本日発表のISM製造業景況指数での予想下振れ、3カ月ぶりの節目50割れも警戒されるところです。
なお、各地区連銀の指標結果では、雇用指数はそれほど悪くはなく、NY連銀やフィラデルフィア連銀などでは上昇し、その他地区でも小幅低下程度にとどまっており、週末の雇用統計では元々低めの予想値をさらに大きく下回るような結果はあまり想定されません。
しかし、いずれにしても今週、市場の夏場の利上げ織り込み度合いがさらに大きく上昇するようなことはなさそうな状況です。
31日のNY金相場は0.3%の小反発で9営業日ぶりの上昇。30日時間外に一時1200ドルの大台割れ寸前まで下げて反発。3連休明けとなったNY市場では米4月個人消費支出が前月比+1.0%となり、市場予想の+0.7%を上回り2009年8月以来6年8カ月ぶりの大幅な伸びとなったことを受けて売られる場面も。しかし注目のインフレ指標はPCEデフレーター前年比+1.1%、PCEコア・デフレーター+1.6%といずれも予想通り。5月のシカゴ購買部協会景気指数、消費者信頼感指数、ダラス連銀製造業活動指数は軒並み低下。さらにOPEC総会を控えて産油国高官が原油相場の下支えに消極的な姿勢を見せたことから原油相場が50ドルから48ドル台へと急落。英国のEU離脱に関する世論調査で離脱支持優勢の結果が伝えられてポンドも急落。リスク回避の流れでNYダウが150ドル超の急落となったことなどを受けてNY金は1220ドルまで反発。1200ドルの大台ラインでいったんは下げ止まった状態で、このラインはそれなりの大きな材料がないと割れることはなさそうにも見える。週後半にかけても米経済指標結果に一喜一憂の展開へ。
月間ベースでは-73ドル(5.66%)の大幅反落。
NYプラチナ相場は0.18%の小幅続落。30日には一時4月11日(967.3)以来、1カ月半ぶりの安値水準となる967ドルまで下落。1週間前の小幅保ち合い下抜けによる行き過ぎの場合の下値目安970ドル付近までしっかりと水準を切り下げての小反発状態。今のところは970-980ドル台での保ち合い状態が続く状態となり、週後半に向けては現状水準を中心に上下に振られる展開も予想される。下方向には50%ラインの950ドル付近が次のサポートライン候補に。
月間ベースでは-98ドル(9.09%)の大幅安、4カ月ぶりの反落となり、4月の上げ幅101.8ドルの大半を帳消し。NYプラチナの月間安値1000ドルの大台割れ12カ月連続も濃厚。
ドル円は0.37%のドル安円高で3日ぶりの反落。東京市場での111円30銭台がこの日の高値となって前日の高値も超えられず、ドル高の流れは失速。PCEコア・デフレーターは前月から横ばい推移でインフレ上昇の兆しは見られず、夏場の利上げに向けた市場の織り込み度合いも上昇せず。逆に製造業の失速やリスク回避ムード再燃で110円台半ばの揉み合い状態へと押し戻された状態。4月末高値111円台後半、90日移動平均線、一目均衡表の雲の上限なども意識されて戻り売り圧力も高まりつつある様子も。それでも短期的なドル高優勢地合いは続き、週末にかけての指標結果次第で112円台前半までの上値トライ余地も。指標悪化が続き、109円台半ば以下へと下落するような場合には短期的な流れは逆流し、108円割れも想定される展開も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/31終値とチャート
1日の国内金価格は0.26%の小幅続伸。今年の上昇幅に対する61.8%戻しライン付近となる4600円の大台ラインが当面のサポートラインとなる可能性が高まりつつある状況に。雇用統計等で余程の想定外の好結果となり、6月利上げ観測急上昇でNY金が大幅急落するような展開にでもならない限りは、現状水準から4600円までの間での保ち合い傾向から、やや反発気味の展開が予想される。万が一4600円を割りこむような展開となった場合には、少なくとも4500円台半ば、場合によっては4500円割れへと大幅下落の展開へとつながるリスクもわずかに警戒。
プラチナ価格は前日から変わらず。3720円台で上昇軌道を描く90日移動平均線に支えられる形で下げ渋りの状態。多少の乱高下となった場合でも今年の上げ幅の38.2%戻しライン3715円付近まででは比較的サポートされやすい状況か。もし、そうならない場合には50%ラインとなる3642円付近が意識されることに。
※参考:金プラチナ国内価格6/1とチャート
2016年6月1日(水)時点の相場
国内金:4,640 円 6/1(水) ▲12(0.26%)
国内プラチナ:3,739 円 6/1(水) +-0(0.00%)
NY金:1,217.5 ドル 5/31(火) ▲3.7(0.30%)
NYプラチナ:980.4 ドル 5/31(火) ▼1.8(0.18%)
ドル円:110.71 円 5/31(火) ▼0.41(0.37%)
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