更新日:2016年8月11日(木)
米労働省が発表した6月の月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、求人件数は562.4万件。市場予想の567万件程度を下回ったものの、5月の551.4万件(550万件から上方修正)からは11万件の増加。過去最大となった4月の584.5万件を少し下回る水準で、今年1月以降の半年間550万件超の高水準を維持し、6カ月平均でも5カ月連続の増加。
求人件数が高水準を維持し、前月から増加したことで求人率も前月の3.7%から3.8%へと上昇。2009年の1.6%まで低下した状態から、回復の目安とされる3%を既に大きく上回る水準。
その一方で、解雇率は1.1%へと低下し、2014年11月以来、1年7カ月ぶりの低水準へと改善。2009年には2%まで悪化していた状態から、回復目安とされる1.4%を既に下回る水準でのさらなる改善が進む状況。
その他、採用率は3.5%から3.6%へと4カ月ぶりに改善し、回復目安とされる3.8%までもう少しの状況。退職率は3カ月連続2%の横ばい推移。4カ月前には回復の目安となる2.1%に到達し、0.1ポイント後退した状態。
月次求人労働異動調査は好調を維持し、6月には一段と改善し、米労働市場の回復傾向を象徴する状態。
しかし、このところのドル安円高傾向を維持する状況には変化は見られません。
先日発表された 米4-6月期の非農業部門労働生産性の下振れの影響も大きいようです。前期比年率で+0.4%予想に対して-0.5%と大きく下回り、しかも3四半期連続のマイナスと、労働生産性は低下の一途。
労働市場の回復がいくら進行しても、生産性が低下し続ける状態では、景気の勢いを相殺してしまうことになります。そんな警戒感が年内利上げの織り込みを遅らせ、ドル高への勢いを失速させる要因の一つとなっているようです。
10日のNY金相場は0.39%の続伸。前日から続くドル売り金買いの流れでNY市場朝には一時1360ドル台まで上昇、前日比20ドル弱の急騰となれば相応の利益確定売りにも押されて急失速。反発意欲も強いが調整幅も拡大、夏場にしばしば見かけられる荒々しい値動きの一端が垣間見られた様子。短期的には7月末から下限を切り上げ、8月に入ってからは上旬も切り下げ、三角保ち合いを形成し始めた状態。上方ブレイクなら高値更新で堅調推移の展開へ、下方ブレイクなら7月以降のダブルトップのネックライン付近までの下落も想定される。
NYプラチナ相場は2%の大幅高となって3日続伸。今週から始まった南アフリカの国営電力会社エスコムのストライキによるプラチナ鉱山操業への影響、ひいては需給への影響懸念が燻ぶる状況となり、ボラティリティ拡大の背景に。上昇基調が加速したNY朝には一時1200ドルの大台寸前まで急騰、昨年2月17日以来およそ1年半ぶりの高値水準となり、終値でも1年5カ月ぶりの高値水準に到達。やや不安定な状態での高値保ち合いからの上抜けとなり、上値目安1190ドル前後もクリア。金との価格差は昨年末12月31日(168.5)以来、7カ月ぶりとなる168.8ドルまで急縮小。
ドル円は0.59%の続落。ドル安円高傾向は続き、NY市場では一時101円割れ。しかし、保ち合い下限となる100円台後半では底堅さもまだ見られる状態。わずかずつながら安値を切り上げる日々も続いており、7月上旬以降は三角保ち合いを形成、お盆休みウィーク中の動き出しも。下方ブレイクでの100円割れ再トライが警戒される。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/10終値とチャート
2016年8月11日(木)時点の相場
国内金:4,710 円 8/10(水) ▼4(0.08%)
国内プラチナ:4,035 円 8/10(水) +-0(0.00%)
NY金:1,351.9 ドル 8/10(水) ▲5.2(0.39%)
NYプラチナ:1,183.1 ドル 8/10(水) ▲23.2(2.00%)
ドル円:101.28 円 8/10(水) ▼0.60(0.59%)
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