更新日:2016年11月2日(水)
10月のISM製造業景況指数は市場予想の51.7をわずかに上回る51.9となり、9月の51.5からも上昇。8月に49.4の節目割れへと急反落した後の動向が注目されていましたが、反発傾向が続いたことで、まずは無難な結果となりました。
9月まで3カ月連続で節目の50割れとなっていた雇用指数も10月には52.9へと急反発し、2015年6月以来1年4カ月ぶりの水準を回復し、その他の指標もゆるやかながらも回復傾向を維持する状況となっています。
同じ日に発表されたマークイットの製造業PMIも、10月確報値は53.4(速報値53.2から上方修正)となり、2015年10月(54.1)以来1年ぶりの水準を回復した状態です。
米国の製造業景況感は、一部地区連銀エリアでの低迷も残るものの、概ね2015年末から2016年前半にかけての低迷期を抜け出し始め、回復基調が加速し始めた状況のようです。
製造業の景況感回復は、米国だけでなく世界的にも加速し始めている状況です。
マークイットの製造業PMIの10月分では、インドも9月の52.1からは2.3ポイントの急拡大で54.4。2014年12月(54.5)以来22カ月ぶりの高水準。
英国は2カ月急騰で2年3カ月ぶりの高水準となった9月の55.4からは若干減速したものの54.3の高水準を維持。
ロシアは3カ月連続の節目50超となり、2012年10月(52.9)以来4年ぶりの高水準となる52.4まで上昇。
日本も9カ月ぶりの水準となる51.4。3月から8月まで節目の50割れと低迷していた状態から2カ月連続の節目超え。
ユーロ圏は確報値未発表、速報値では53.3と2年半ぶりの高水準となっており、好調維持が予想されます。
さらに、中国も予想外の大幅上振れで51.2へと上昇し、2年3カ月ぶりの高水準。財新発表値でも国家統計局発表分でも同数値となり、中国でも回復基調本格化の兆しとなってきました。
マーケットの反応としては、世界的な製造業景況感底入れの兆しを、現状では好感することなく(できず?)スルー。
目前に迫った米大統領選挙への警戒感のほうが大きく勝った様子です。
一部の世論調査ではトランプ氏の支持率がクリントン氏を上回ったことなども伝えられ、トランプリスク再燃となってきました。
実際の選挙では、州単位の選挙人獲得競争となるため、世論調査結果はほとんどあてにはならず、クリントン氏優勢の状況には変わらないものの、今年はEU離脱を決定した英国民投票という前例があるだけに、重苦しいムードも払拭しきれないようです。
結果判明までは、それなりの警戒感は続くことになり、トランプリスクがさらに強まる場面も有り得そうです。
しかし、最終的にはトランプリスクは杞憂に終わり、リスク回避の巻き戻し、という展開も予想されます。
その時になってようやく、製造業の世界的な回復基調も支援材料となるのかもしれません。
1日のNY金相場は1.17%の大幅反発。ロンドン時間から進行したユーロ高ドル安に牽引されたドル全面安の流れに加え、NY市場にかけてはトランプリスク再燃でリスク回避の流れが加速。NYダウは一時200ドル安で7月以来4カ月ぶり安値水準まで下げて18000ドル割れ、VIX指数も終値では6月末以来4カ月ぶりの高水準となる18ポイント台へと急騰。この流れを受けてNY金も一時1292ドル台まで上昇。1260ドルを下限とした保ち合いのなか、短期上値目標1280ドル台に終値ベースでも到達し、ゆるやかな上昇基調では上限と見られた1290ドル付近にもワンタッチ。1週間後の米大統領選までは市場全体が不安定な状態となりやすく、上下に振られる展開も予想されるところ。
NYプラチナ相場も1.97%の大幅反発。前日の小動きで十字線に近い足型を残し、調整の急反落という展開も予想されたものの逆方向へとさらに急進。10月末から同じような動きを繰り返し、10月3日(1009.1)以来1カ月ぶりの水準を回復。1000ドルの大台ラインがいったん意識された状態も、不安定な状況が続くようなら一時的には大台突破の可能性も十分想定され、8月以降の急落局面の38.2%戻しとなる1031ドル付近までが上値目安候補に。急騰続きの状態からの調整売りの急反落への警戒感も続く。
ドル円は0.63%のドル安円高。ドル高警戒感からの調整もあり、ドルインデックスは99ポイント付近から3日間で97ポイント台まで急反落。トランプリスク再燃で上値が一段と重くなったドル円も106円台を目指す流れは大きく巻き戻され、以前の104円前後の保ち合い水準まで押し戻された状態。105円前半が当面の抵抗線となった可能性もあり、方向感喪失気味。9月末から続いていた右肩上がりのサポートラインを割り込んでおり、下値警戒感も高まる状況。103円台半ばのサポート水準割れの場合には下押し圧力もさらに強まり、再び101円付近を目指すような流れとなる可能性も。トランプリスクがくすぶる状況のなかでは、ドル高方向への再トライに向けてはかなりのサプライズ指標などの材料が必要に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/1終値とチャート
2日の国内金価格0.17%の小反発。トランプリスク再燃も極端な流れとはならず、円高とNY金の上昇とのバランス均衡状態により、4600円付近での小動き状態が継続。9月27日(4613)以来の水準に達しており、急落前の保ち合い水準でもある4600円台前半のレンジを中心に、上下に振られながらも横ばい推移傾向の動きとなることも予想される。
プラチナ価格は0.2%の小幅高となり、2月以来8カ月ぶりで今年2度めの7営業日続伸。RSIは過熱感急騰目前の状態にあり、NYプラチナとともに急反落への警戒感も続く状況。過熱感をさらに強めながら9月末の保ち合い水準3600円前後までさらに上値を伸ばす可能性も残るが、3450円程度までの急反落にも警戒。
※参考:金プラチナ国内価格11/2とチャート
2016年11月2日(水)時点の相場
国内金:4,610 円 11/2(水) ▲8(0.17%)
国内プラチナ:3,554 円 11/2(水) ▲7(0.20%)
NY金:1,288.0 ドル 11/1(火) ▲14.9(1.17%)
NYプラチナ:997.9 ドル 11/1(火) ▲19.3(1.97%)
ドル円:104.15 円 11/1(火) ▼0.66(0.63%)
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