更新日:2016年12月8日(木)
米労働省が7日発表した10月の月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、求人件数は553.4万件。市場予想の550万件を上回ったものの、9月の563.1万件(548.6万件から上方修正)からは減少。6カ月平均では560.1万件となり、3カ月連続の減少で5カ月ぶりの水準に低下。
2015年7月の578.8万件、今年4月の584.5万件、7月の583.1万件の過去最高圏で構成するトリプルトップ候補の水準からの減少傾向も続きます。
今後、2015年11月の519.8万件、520万件程度までの減少にとどまるなら、過去最高値圏での保ち合い継続という状態に。この水準を割り込むようなことがあればトリプルトップのネックライン割れとなって減少傾向の勢いが増してしまう可能性も浮上することになります。
いずれにしても、過去最高水準を更新し続けてきた求人件数も失速状態が鮮明となってきました。
その他の指標では、求人率が前月から変わらず3.7%(回復率では150%)。退職率は5カ月連続2.1%で横ばい推移(回復率100%)。解雇率は1.0%で前月から変わらず(回復率166.7%)。これら3指標は回復目安となる水準を既に100%達成済。
採用率も3.5%で前月から変わらず、回復目安3.8%には届かない状態が継続。最悪期の2.8%からの改善度合いで見れば70%の回復率。
求人労働異動調査(JOLTS)の指標としては、全体的にリセッション前の好調時のレベルをほぼ回復、あるいはそれ以上の好調を示す状態となり、失速状態は鮮明、これ以上の改善は望めないのではないか、とも思われる指標も目立ちます。
数十年ぶりの水準まで回復している失業率や失業保険申請件数などと同様に、求人関連も今後は失速フェーズ入りしそうな状況となってきました。
その一方で回復が遅れている労働参加率や長期失業者の割合、回復余地を残すU6失業率や賃金上昇率などの動向が、米労働市場のたるみ解消状況として、今後注目されることになりそうです。そして、これらの指標の回復動向が、下落トレンド脱出の兆しが見られはじめた労働市場情勢指数(LMCI)の回復基調を支えることになりそうです。
米労働市場の回復とともにトランプ相場も継続し、株高の流れはとまらない状況となっていますが、ドル高の流れはやや頭打ちとなってきました。ドル円で見れば、求人件数などと同様にピーク水準に達したとは思えないものの、ドルインデックスは11月下旬に102ポイントの高値をつけた後、100ポイントまで下落基調が進行しています。ドル円もいったん調整局面入りに向けた失速状態となったきたのではないかとも思われます。
これに伴い、金相場は売り局面が続いた流れの失速状態が続きます。
7日のNY金相場は0.63%の反発。米10年債利回り低下とドル安の流れを受けてNY市場序盤には1180ドル台前半まで上昇。しかし揉み合い上限に当たるこの水準では上値も重く、この日大幅高での最高値更新となったNYダウやS&P500、年初来高値更新のドイツDAXなど株高の勢いにも押される形で1170ドル台半ばへと下落。それでも下落トレンドはいったん終息、短期的には底値保ち合い状態に。1180ドル超へと反発の兆しが見られるようなら1200ドル回復へと向う可能性も、1160ドル台前半以下へと下値を切り下げるようだと下落トレンド再開で次の目安は1140ドル近辺まで。
NYプラチナ相場は0.8%の反発。前日に続き、この日も直近の上値目標950ドルまで上昇して反落の展開。しかし、940ドル台で踏みとどまった終値は11月17日(945.1)以来、3週間ぶりの高値水準。11月半ば以降、強めの抵抗水準として存在感を示し続ける950ドルライン突破を諦めてはいない様子。目先は保ち合い形成の展開が優勢と思われるものの、11月高値から12月1日安値までの38.2%戻しを達成しており、上値トライが続けば次の目安としては980ドル付近も意識される展開へも。
ドル円は0.22%のドル安円高となって3日ぶりの反落。ロンドン市場序盤までに114円40銭まで上昇後は、原油安や米10年債利回り低下の流れとともに反落、NY市場では一時113円40銭付近まで下落して反発。しかし株高の流れにも追随し切れず、114円手前で失速。結局この日も保ち合い上限114円半ば付近から下限113円半ばまでの範囲での軟調推移。今朝も日本株高の流れには置いていかれる状況となり、反落への警戒感が高まるところ。113円半ばの節目をしっかり割れると112円台前半までの調整局面進行となる可能性。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/7終値とチャート
8日の国内金価格は0.17%の小幅続伸。保ち合いレンジ内へと戻した形ながら、ゆるやかに上値が切り下がる下落トレンドも維持。目先は4622円まで低下してきた90日移動平均線、4630円の節目までの範囲で上値を押さえられやすく、保ち合い推移の展開も予想されるところ。と同時に4510円程度までの下方リスクも残る状況か。いずれ保ち合い上限を突破できるようなら、流れは好転、大幅上昇へと向うような展開も想定可能。
プラチナ価格は0.57%の反発で9月13日(3720)以来、ほぼ3カ月ぶりの高値水準。想定以上の強気トレンド継続で過熱感を高めながら90日移動平均線超えを維持したままさらに上値を切り上げる展開に。200日移動平均線(3710)も目前に迫り、突破できればこれも9月13日以来3カ月ぶり。そうなると中長期トレンド好転の勢いを増すことになり、次の目安水準として7月高値から10月安値までの61.8%戻し、3800円付近も視野に。
※参考:金プラチナ国内価格12/8とチャート
2016年12月8日(木)時点の相場
国内金:4,595 円 12/8(木) ▲8(0.17%)
国内プラチナ:3,698 円 12/8(木) ▲21(0.57%)
NY金:1,177.5 ドル 12/7(水) ▲7.4(0.63%)
NYプラチナ:943.2 ドル 12/7(水) ▲7.5(0.80%)
ドル円:113.74 円 12/7(水) ▼0.26(0.22%)
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