更新日：2016年12月23日(金)
米商務省が発表した11月の個人消費支出物価指数（PCEデフレーター）は前年同月比+1.4％となり、市場予想の+1.5％を下回りました。10月時点で+1.4％に達し、2014年10月（+1.5％）以来2年ぶりの高水準に達し、11月にはさらに上昇が見込まれていたにも関わらず、予想外の伸び悩み。
変動の大きい食品とエネルギーを除いた、コアPCEデフレーターの11月は前年同月比+1.6％。これも市場予想+1.7％を下回る低調な結果。こちらは10月分が+1.7％から+1.8％へと上方修正されたことで、2014年7月（+1.8％）以来2年3カ月ぶりの高水準に達していた状態からの急失速です。
先日のFOMCで示されたPCEインフレの2016年末予想は1.5％、コアPCEは1.7％。十分到達可能な範囲と思われ、コアPCEについては既に到達済となっていましたが、直後に発表された11月分で早速この数値を下回ってしまいました。FOMCのインフレ見通しは早くも下振れリスクが懸念されそうな状況となってきました。
一部しか織り込んでいなかったはずのFOMC予想にも届かず、トランプ期待によるインフレ上昇への思惑も、11月時点では織り込まれていないことになります。
なお、11月の個人消費支出も前月比+0.2％にとどまり、市場予想の+0.3％を下回り、予想外に低調な結果となっています。第3四半期のGDP確報値は予想を上回る好結果となりましたが、第4四半期に向けてはややマイナス材料となっています。
プラス材料としては、11月耐久財受注が全般に予想を上回る好結果となり、GDP算出に用いられる、航空機を除く非国防資本財の出荷（コア出荷）も11月は前月比+0.2％となり、市場予想の+0.1％を上回りました。ただし、10月分が-0.1％から-0.3％へと下方修正されており、第4四半期の材料としては微妙な状況。
また、注目度はあまり高くないものの、11月のシカゴ連銀全米活動指数も-0.27となり、予想を下回る低調な結果となっています。ゼロ以上なら過去の平均以上の成長を示すこの指標は、8月から4カ月連続でのマイナス圏推移。3カ月平均では2015年2月以降、22カ月連続マイナス圏推移となっており、低迷状態が続いています。
強弱入り交じる結果となったこの日発表の米経済指標に、トランプ期待はあまり反映されていないようです。
22日のNY金相場は0.22％安となり小幅に3日続落。サイレントなイブを迎えようとしている今年のクリスマス市場、金市場も膠着化。この日の値幅6.9ドルは9月20日の5.9ドルに続いて今年2番めの小動き。米7-9月期GDP確報値の上振れで1130ドル割れ、11月PCEデフレーター下振れで1130ドル台半ばへと反発した場面が最大の値動き。1カ月半に渡って続いた下押し圧力もほぼ消化し切った形で鍋底状態を形成中。1120ドル台から1140ドル台までの小幅保合いから抜け出すタイミングを模索し始める状態に。
NYプラチナ相場は0.77％の続落。920ドル前後の保合い下放れをきっかけに下落トレンドがスタートした可能性。ただし、12月14日高値948.5ドルと15日の急落時の安値888.7ドルを起点とした三角保合いの下限付近で踏みとどまった状態とみることも可能。ここで反発できれば保合い継続へ、反発し切れずに890ドルの節目も下抜けた場合にはトレンド加速、下値目安850ドル近辺をトライしに行く展開が予想される。
ドル円は前日からほぼ変わらずで117円50銭台での横ばい推移。為替市場も静かにクリスマス・モード。強弱入り交じる結果となった米経済指標にも117円80銭台から117円20銭台までの振幅にとどまり、この日の値幅0.6円は年間平均1.2円のちょうど半分の小動き。ほぼ完全逆相関状態が続くNY金とは対照的に急騰トレンドが続いたこの1カ月半の勢いも、ほぼ終息。高値圏での小さなフラッグを形成し、再加速か、急反落かを待つ状態に。上方向なら119円台、下方向なら115円台までの変動は、連休明け、年内にも達成可能な範囲。
※参考：金プラチナ相場とドル円 NY市場12/22終値とチャート
2016年12月23日(金)時点の相場
国内金：4,575 円 12/22(木) ▼14(0.31％)
国内プラチナ：3,691 円 12/22(木) ▼21(0.57％)
NY金：1,130.7 ﾄﾞﾙ 12/22(木) ▼2.5(0.22％)
NYプラチナ：907.4 ﾄﾞﾙ 12/22(木) ▼7.0(0.77％)
ドル円：117.52 円 12/22(木) ▼0.04(0.03％)