更新日:2017年9月20日(水)
ドイツの欧州経済センター(ZEW)が発表した9月のドイツ景況感指数は市場予想を上回り、2016年以降は上昇傾向が続く状況です。
この指数には、期待指数と現況指数とがあり、長期推移で過去の推移も含めて見比べると、両者には大きな違いがあります。
期待指数は、2000年代に入るとピーク水準は切り下がり続け、現状水準は好不況の節目となる0ラインを上回る好調期にはあるものの、その水準はそれほど高くはなく、過去全体の平均値23.8を下回るレベルでの推移が丸2年間続いています。
一方の現況指数は9月に87.9となり、6月の88.0以降の4カ月は86以上、過去平均の-9.6を大きく上回り、過去最大水準での推移が続きます。
現状が好調となればなるほど将来への期待感は低下し、逆に現状が悪化し、ある程度底打ち・反発の兆しが見られると将来への期待値は高まる傾向にあるようです。
過去全体の両者の相関係数は-0.244と弱めの逆相関を示し、実際に現況指数と期待指数とは比較的逆方向への動きが目立ちます。
過去、現況指数がピーク水準となる85以上となった時、2007年5月から7月までの期間では、期待指数は24ポイントがピークとなって10.4まで下落傾向となり、その後マイナス圏へと急落局面を迎えました。
2011年2月から7月までの期間では、期待指数は15ポイント台から-15ポイント台まで下落し、その後さらに-50台まで水準を切り下げました。
いずれのケースでも期待指数が先行して低下すると現況指数も追随し、大きく低下する局面を迎えていました。
現在、現況指数が85以上のピーク水準を迎えて4カ月、この間、期待指数は20ポイント弱の水準での保ち合い傾向となっています。
今後、期待指数が反落局面を迎えるようなら、ピーク水準にある現況指数もいずれ急落局面を迎えるパターンが繰り返される可能性も否定はできません。
今週末のドイツ総選挙での波乱は予想されず、メルケル政権の長期安定政権継続が予想され、ユーロ高による悪影響も今のところは見られず、現状いたって好調なドイツ経済も、日米と同様に賃金上昇率は低迷し、内需低迷が若干の懸念材料といった程度でしょうか。
しかし、今後ECBによるテーパリング、引き締めフェーズへの転換も見込まれ、いずれ現況指数のピークアウトも予想されます。
既に期待指数が低水準で伸び悩みとなっている状態が気になるところです。
19日のNY金相場はわずかに0.2ドル安となって3日続落。8日続伸のNYダウに牽引される米株高と反発局面が続く米長期金利が金の重石となっての調整局面も1310ドル台でいったん下げ止まりの様相に。ここからはFOMCの結果次第であらためて下値トライか反発か。資産縮小開始は既定路線、低インフレ懸念により、利上げ見通しがこれまでより若干引き下げられることはあったとしても強気に傾く可能性はかなり小。下方向には1300ドルの大台ラインがサポートラインとして作用しそうで、万が一割り込んだ場合には1280ドル辺りまでの急落も。上方向には1330ドル前後までが反発の目安に。
NYプラチナ相場は1.03%の大幅安となって2015年11月以来、1年10カ月ぶりとなる8日続落。8月1日(949.5)以来、7週間ぶりの安値水準となり、9月8日までの上昇幅の半値戻し(959.0)を突破。次の目安となる61.8%戻し(943.0)も既に視野に入る940ドル台後半までを一時的には試す展開となり、FOMC後の展開で金が軟調推移となった場合にはそれ以上の下げ幅となる可能性もあり、7月半ばの保ち合い水準でもある76.4%戻し(923.3)辺りまでが意識される展開にも。
ドル円はわずかに0.03%のドル高円安で3日続伸。日経平均が年初来高値を更新し、2年ぶり高値圏となる20300円近辺まで上昇した場面では連れ高となって111円80銭台まで上昇したのがこの日の高値に。FOMCを控えたタイミングでは111円台後半はまだ上値が重く、111円20銭台まで反落。NY市場では米10年債利回り上昇と米株高の流れで反発も、またも111円80銭台で頭打ち。FOMCの結果が予想外にタカ派的なら112円台後半までをめどに急騰の展開も、ややハト派なら111円前後がサポート水準に。ハト派色が強まるようだと110円前後までが次の下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/19終値とチャート
20日の国内金価格は0.24%の反発。5020円から今年高値5045円までの高値小幅保ち合いを維持しての下げ渋り状態。そうこうしている間に過熱感も解消し、方向感としては下向き優勢のなかでもきっかけ次第で上値トライ再開への可能性もそれなりに。今回のFOMCでは大幅変動へのきっかけとなる可能性は低そうだが、ハト派トーンが強ければ上値を試す展開へ。今年高値更新へと抜け出せば2015年6月高値5100円台が次の目標水準に、逆の展開で保ち合い下抜けなら4960円近辺までが短期調整目安に。
プラチナ価格は0.78%の大幅続落。調整局面継続で短期下値目安3690円前後をクリアしてやや下げ過ぎ、8月21日(3677)以来1カ月ぶりの安値水準となり、6月以降の上げ幅の半値戻し(3674)付近に到達。8月後半の保ち合い下限付近にも位置し、イベントが無ければいったん落ち着きやすいところ。金との価格差も1355円へと急拡大し、連日の過去最大更新。3760円までが当面の上限となり、もう一段の調整進行なら3640円近辺が次の目安に。
※参考:金プラチナ国内価格9/20とチャート
2017年9月20日(水)時点の相場
国内金:5,032 円 9/20(水) ▲12(0.24%)
国内プラチナ:3,677 円 9/20(水) ▼29(0.78%)
NY金:1,310.6 ドル 9/19(火) ▼0.2(0.02%)
NYプラチナ:951.2 ドル 9/19(火) ▼9.9(1.03%)
ドル円:111.60 円 9/19(火) ▲0.04(0.03%)
Copyright(C) Let's GOLD