更新日:2017年11月9日(木)
今朝の東京市場でも日経平均は400円超の大幅高となり、2万3000円台を超えてきました。8日のNY市場でも米主要3指標が揃って最高値更新となり、日経平均を押し上げる状態が続きます。
これを支える大きな要因の一つとして、インフレ期待が高まらず、米長期金利が低下していることも挙げられます。
一時上昇傾向となっていた米10年債利回りは再び軟調推移となり、短期と長期の利回り水準の差を示すイールドカーブはフラット化が進行しています。
長期債の利回りが上昇し、短期との差が拡大するスティープ化となれば、物価上昇見込みが強まり将来的な景気拡大への思惑が強まる傾向を示すのに対し、長期と短期の差が縮小するフラット化は、FRBの利上げに伴い短期金利が上昇し、しかし将来的な物価上昇見込みは強まらず、程よく落ち着いた状態を示すことにもなります。
しかし、その反面いずれスティープ化するだろうとの思惑や、先行き不透明感にもつながります。
クリーブランド連銀が毎月公表しているインフレ期待モデルでは、10月時点での1年先のインフレ予想値は1.95%となり、3年先は1.8%、30年先は2.2%となっています。
2年前、利上げスタート前の2015年10月時点では、短期が1.3%で長期が2.1%台と将来の利上げフェーズを予想して、予想インフレのイールドカーブはスティープ化していました。
その後、ゆるやかながらも利上げフェーズがスタートし、今年1月時点では短期は2.1%まで上昇し、長期は2.2%台。しかし3年先は1.8%台となり、長期的にはそこそこ物価は上昇するだろうけれど、数年先はそれほど加速しないだろう、というややいびつなイールドカーブとなっています。
この傾向は10月まで続いていますが、短期の予想インフレ率が低下傾向となり、フラット化しています。
インフレ期待が数年先でも、長期的にも上昇の兆しが見られないことが、株高の流れを助長し、金価格のサポート材料ともなっています。
8日のNY金相場は0.62%の反発。米税制改革法案の先行き不透明感を背景に買い優勢の展開となり、NY市場では一時1288ドルまで上昇。終値でも1280ドル台を維持し、3週間ぶりの水準を回復。日々上下動を繰り返し、微妙に下値も上値も切り上げる形となり、上値抵抗線となっていた20日移動平均線(1281.9)もわずかに上抜け。このまま1280ドル台後半へと堅調に推移できれば上昇トレンド加速の可能性、9月高値から10月安値までの半値戻し(1312.6)近辺が当面の上値目標水準に。下方向には1270ドル半ばを下回るようだと反落リスクが高まり、1250ドル前後までが下値目安に。
NYプラチナ相場は1.36%の大幅反発。日々乱高下の展開から再び20日移動平均線(929.4)を上抜けて10月16日(942.1)以来の水準を回復。下値をゆるやかに切り上げる形も上値は940ドルを超えられない状態が1週間以上継続。今朝の時間外では930ドル台前半へと軟調気味に推移し、乱高下状態の保ち合い継続の様相も。存在感が増しつつある940ドルの抵抗線を突破できれば上昇トレンド形成へと向かい、上値目標は9月高値から10月安値の61.8%戻し(980.7)付近。920ドル台を割り込んでしまうと下値トライ再開の流れで今年安値更新へ。
ドル円は0.11%のドル安円高となって小反落。米上院の法人減税1年先送り検討報道を受けて東京市場では一時113円60銭台まで下落、戻り売り優勢の展開となってNY市場では113円40銭近辺まで一段安。しかし米上院が9日に税制改革法案を公表することを表明し、ムニューシン米財務長官も年内の税制改革成立が目標と再表明したことなどを好感し、米長期金利上昇とともに反発へ。20日移動平均線(113.35)にサポートされる形で陰線ながらも長い下ヒゲを残す足型に。今朝の東京市場では日経平均の大幅高にも連れて114円の攻防へ。下値警戒感も残るものの114円をはさんでの小幅保ち合いを維持する形となり、引き続き114円半ば以上へと上値を伸ばすようなら115円再トライへ、113円前半へと再反落なら調整局面拡大で112円前後までが意識される展開へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/8終値とチャート
9日の国内金価格は0.5%の反発で9月26日(5029)以来、1カ月半ぶりの高値水準に。長期化する高値圏での保ち合い上抜けトライに成功?した可能性も。ただし、NY金が明確に上昇トレンドへと移行し訳でもなく、今朝の東京市場で為替が急速に円安方向へと傾斜したことにより押し上げられた格好で、一時的な上抜けに終わってしまう可能性も警戒されるところ。NY金の上昇トレンドが加速へと向かうか、ドル高円安の流れが急速に進行し始めてNY金は保ち合い維持なら国内価格の高値更新トライも本格化へ。その場合の上値目標水準は最大5100円台後半も。逆に5000円の大台割れなら大幅反落で下値目安は8月初旬までの保ち合い圏となる4820円台辺りまで。
プラチナ価格は0.91%の反発。1週間ぶりの水準となり、保ち合い上抜けの兆しも金と同様、一時的にとどまる可能性も。上昇トレンド加速に向けては11月高値となっている3670円上抜けが待たれる状況か。その場合の上値目標は今年高値ではなく、9月高値圏となる3800円近辺まで。逆に3620円を下回ると今年安値更新トライへと向う可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格11/9とチャート
2017年11月9日(木)時点の相場
国内金:5,028 円 11/9(木) ▲25(0.50%)
国内プラチナ:3,655 円 11/9(木) ▲33(0.91%)
NY金:1,283.7 ドル 11/8(水) ▲7.9(0.62%)
NYプラチナ:937.9 ドル 11/8(水) ▲12.6(1.36%)
ドル円:113.87 円 11/8(水) ▼0.13(0.11%)
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