更新日:2018年2月1日(木)
イエレン議長最後のFOMCでは、予想どおりのFF金利維持も「インフレ率は今年上昇する」との見方を示し、ややタカ派的な印象に。
2010年10月の理事就任、2014年1月からは議長として計7年3カ月間、金融危機からの回復期に、そして金融政策正常化に向けて大きな役割を果たしたイエレン議長。
市場との対話を重視した政策推進により株価の大幅上昇にも貢献し、引退が惜しまれるところでもあります。彼女にとって唯一惜しまれるのは、「謎」とまで言い切った低インフレからの回復局面道半ばで身を引くことでしょうか。
しかし、パウエル議長が引き継ぐことで「謎」解消に向けてインフレ加速基調が続き、イエレン前議長があらためて評価される時期が訪れることになるのでしょう。
この日米労働省が発表した10-12月期の雇用コスト指数は前期比+0.6%となり、7-9月期の+0.7%からはやや減速。しかし、前年同期比では+2.7%。ちょうどリーマンショックの頃、2008年7-9月期(+3.0%)以来、9年1四半期ぶりの高水準となっています。
2016年以降の加速基調は続き、4四半期平均では+2.5%となり、これも2009年1-3月期(+2.7%)以来で8年3四半期ぶりの高水準。
賃金動向を示す雇用コスト指数が着実に加速基調にあり、平均賃金についても1月からは全米各地で最低賃金引き上げが相次いでいることからも、賃金上昇率は緩やかながらも上昇傾向を辿り、そしてインフレを押し上げ、いずれ2%に到達した頃にまた、イエレン議長のことを思い出すことにもなりそうです。
31日のNY金相場は0.58%高となって4日ぶりの反発。前日までの調整で23.6%戻し(1335.4)を達成し、20日移動平均線(1333.4)も意識されて下げ渋り、1340ドル台後半へと戻りを試す展開もNY引け後のFOMCにはやはり警戒感もあり乱高下、ややタカ派寄りの声明文にも3月利上げを織り込む形で1340ドル台後半を維持。米長期金利も2.70%台での高止まり、ドルも下げ渋る状態ながら金も下げ渋り、目先は1330ドル台から1360ドル台までの高値圏での保ち合いの様相も。どちらかといえば下方圧力のほうが強まりやすい状況は続き、1330ドル台を割り込むようなら調整再開で1300ドル近辺までが下値目安にも。
月間ベースでは+33.8ドル(2.58%)となって3カ月続伸。
NYプラチナ相場は0.25%の小幅高で4日ぶりの反発。金と同様に23.6%戻し(995.3)と20日移動平均線(997.8)にサポートされた形でいったん下げ止まり。1000ドルの大台ライン維持をかけた攻防は続き、週末の雇用統計通過後も大台維持できるようなら高値圏での保ち合い継続となって、いずれ高値再トライのチャンスも。大台を維持出来ず、990ドル台の節目を割り込めば調整幅拡大で下値目安は970ドル近辺まで。
月間では+70.1ドル(7.5%)の大幅反発。
ドル円は0.37%のドル高円安へと反発。東京市場では日経平均の軟調推移にも108円60銭近辺までで下げ渋り、徐々に反発の展開に。米1月のADP全国雇用者数が予想を大幅に上回り、シカゴPMIも高水準を維持する好結果となったことなども追い風に米長期金利上昇とともに109円40銭台まで上昇。FOMCでは小幅に乱高下の反応も今朝の東京市場にかけても109円30銭台から40銭台の水準を維持。この日、ドル円と米10年債利回りとの関係は90日相関係数で-0.6611、30日相関係数では-0.8858といずれも過去5年程度では最大の逆相関を示す状態。ドル円は先週末安値108円30銭と昨年4月安値108円10銭台、9月安値107円30銭台と合わせて逆三尊を形成する可能性を残して反発の兆しとなり、好結果が予想される週末の雇用統計をきっかけに金利上昇に追随する展開も予想され、逆相関状態は縮小方向へと向う可能性も。目先109円半ばまでの反発継続は見込まれ、雇用統計などをきっかけに一段高となれば38.2%戻しとなる110円後半も視野に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/31終値とチャート
1日の国内金価格は0.92%の大幅高となって5日ぶりの反発。トランプ大統領の初めての一般教書演説とイエレン議長最後のFOMCを通過後に反発に転じたことで調整局面一服となり、4980円台を目安に進行してきた流れも少し手前で折り返し。NY金の下げ渋りとドル円反発の兆しで高値圏を維持する形での保ち合い形成の様相に。5010円が当面の下値サポート水準となり、5110円までが上値抵抗水準に。21日移動平均線(5078)をデッドクロスした9日移動平均線(5069)も横ばい推移となって揉み合う5070円近辺が目先の抵抗水準にも。あらためて5110円を割り込むようだと下落基調再開で目標水準は4960円台辺りまで。
プラチナ価格は0.86%高となって4日ぶりの反発。下方向への節目を3710円から3730円へと切り上げる形で折り返し、高値圏維持に向けての動きに。ただし下方圧力がやや優勢という状態は続いているものと思われ、目先の抵抗線候補となる9日移動平均線(3780)は超えておきたいところ。3730円の節目割れの場合には調整再開で下値目安は3640円近辺まで。
※参考:金プラチナ国内価格2/1とチャート
2018年2月1日(木)時点の相場
国内金:5,057 円 2/1(木) ▲46(0.92%)
国内プラチナ:3,762 円 2/1(木) ▲32(0.86%)
NY金:1,339.0 ドル 1/31(水) ▲3.6(0.27%)
NYプラチナ:1,004.3 ドル 1/31(水) ▲2.5(0.25%)
ドル円:109.18 円 1/31(水) ▲0.41(0.37%)
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