更新日:2018年6月2日(土)
トランプ米大統領は「米朝首脳会談は当初の予定どおり、6月12日シンガポールにて開催」することを発表。
その7時間ほど前には、「8時半に発表される雇用統計の数字が楽しみだ」ともツイート。
後に、クドロー国家経済会議(NEC)委員長は「強い米雇用統計を示唆する意図はなかった」とフォローしながらも「トランプ米大統領は昨晩、雇用統計の結果を知った」とも発言。
フライング・トランプ・ツイートにより、雇用統計好結果への期待感が高まり、ドル高の勢いが強まりました。
楽しみにしていたその5月雇用統計では、雇用者数の伸びも市場予想を大きく上回る前月比+22.3万人となり、失業率は実に18年ぶりの低水準となる3.8%まで低下しました。
3月FOMCの経済予想で示された2018年末失業率予想中央値の3.8%に早くも到達。ただし2019年末には3.6%へとさらなる低下も予想されており、予想の範囲内とも言えます。
その他、U6失業率も7.6%となり、2001年5月(7.5)以来17年ぶりの低水準へと改善し、長期失業者の割合も19.4%と、2008年7月(18.9)以来9年10カ月ぶりの低水準となっています。
その一方で労働参加率は3カ月連続の低下で62.7%となり、回復目安とされた66.1%を大きく下回る水準での低迷が続きます。
最も注目される賃金上昇率は、平均時給が4月の26.84ドルから5月は26.92ドルとなり、前月比+0.30%、前年同月比では+2.71%。いずれも市場予想を0.1%づつ上回る好結果となりました。
ただし、最近のピーク、昨年9月の前年比+2.83%には及ばず、近年では5番目の高水準にとどまり、ここ2年間は目安とされる3%手前の水準での保ち合い状態が続いています。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はこの日、「賃金の伸びは上向いてはいるものの、失業率の低下を踏まえると、より力強い伸びを予想していた(のに期待はずれ!)」と発言し、「賃金の伸びは依然として低水準」であることを危惧しています。
同総裁は2週間前にも「失業率が示す以上に労働市場にスラックが存在」する可能性を指摘し、以前から「賃金と物価が上昇し始めるまで利上げすべきではない」と主張する超ハト派ではあります。
なおCMEフェドウォッチでは、12月に今年合計4回目の利上げ確率は26%台から35%台へと急上昇しています。ただし1カ月ほど前には50%を超えることもありました。
1日のNY金相場は0.41%の反落。トランプ・ツイートもあり、雇用統計発表前からドル高の流れが強まって1300ドル割れ、発表後には一時1290ドル台前半まで下落。1290ドル台後半へと戻した後、米5月ISM製造業景況指数も予想を上回る好結果となったもののサプライズとなるほどでもなくドル高一服とともに1300ドルを回復。しかし、上値も重くこれも一時的となって1300ドル割れ。NY引け後には米朝会談開催発表もあり、軟調な流れで終了。1300ドルをはさんでの小幅保ち合いは20日移動平均線(1303.2)が抵抗線となって上値を押さえられる状態が継続。これを上抜けて1310ドル超へと抜け出すことができれば上昇局面形成へと流れが変わり、1340ドル近辺が次の上値目標に。1290ドル割れへと下抜けの場合には1270ドル前後まで一段安の展開にも。
週間ベースでは-4.4ドル(0.34%)と小幅反落。
NYプラチナ相場は3日ぶりの反落で0.37%安。時間外には保ち合い上限付近、910ドル台前半まで上昇して失速、雇用統計直後には900ドルの保ち合い下限まで急反落。大台ラインでサポートされると再び910ドル近辺まで反発し、小幅保ち合いレンジ内での上下動で方向感も喪失気味となって十字線を形成。引き続き910ドル台を突破できれば960ドルが上値目標。ただし目先はやや材料不足の感も。大台割れなら850ドル前後までが次の下値目安に。
週間ベースでは+5.4ドル(0.6%)で続伸。
ドル円は0.66%のドル高円安へと反発。米10年債利回りの反発基調にも支えられ、抵抗水準ともなりつつあった109円ラインを東京市場で上抜けるとこれがサポートとなって欧州時間には堅調推移。米5月雇用統計への期待感が煽られて徐々に水準を切り上げると発表前には109円台半ば。既に伸びしろの大半を消化してしまった状態となり、結果発表後の上値は109円70銭台までと限定的に。最終的に雇用統計発表前の水準109円台半ばまで戻してもみ合い状態で週末に。日足レベルではちょうど20日移動平均線に上値を押さえられる形となり、反発局面一服となる可能性も示唆。目先、109円台前半を中心に保ち合い推移も予想され、短期的には110円近辺まで上値を伸ばす可能性と下方向には109円ラインと108円半ばがサポート水準。これを割れると107円半ばまでが下値目安に。
週間では+0.15円(0.14%)の小幅反発。長めの下ヒゲ十字線を形成。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/1終値とチャート
2018年6月2日(土)時点の相場
国内金:4,872 円 6/1(金) ▼5(0.10%)
国内プラチナ:3,408 円 6/1(金) ▲10(0.29%)
NY金:1,299.3 ドル 6/1(金) ▼0.8(0.06%)
NYプラチナ:906.7 ドル 6/1(金) ▼3.4(0.37%)
ドル円:109.53 円 6/1(金) ▲0.72(0.66%)
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