更新日:2018年6月15日(金)
FOMCでは年内利上げペースの加速が示唆されたもののNY金は下げ渋り、この日のECB理事会では早期利上げ観測が後退したことでNY金は上昇しています。
ECB理事会では、9月までの国債等の買い入れを従来どおり月額300億ユーロとし、10-12月は月額150億ユーロに減額し、12月末で終了することを決定。
年内にQE政策を終了し、米国に次いで金融政策正常化に向けて動き出すことを決めました。
ただし、「保有債券の償還元本は必要な限り再投資する」こととし、「政策金利は少なくとも2019年夏まで据え置き」との見通しを示しました。
QE政策については早期終了を望むドイツなど北部勢と、景気減速と低インフレ懸念がくすぶることから延長への可能性も残したい南欧勢との折り合いをつける形となったようです。それでも想定の範囲内であり、むしろ年内終了に向けての予定を確定するのは7月会合?との見方もありました。
しかし、一部では早期利上げ観測もあったのに対してドラギ総裁は「利上げ時期は議論していない」とのことで、「再投資」と合わせてハト派イメージが強く、株高とユーロの急落を誘発した格好です。
ユーロドルは1.1830ドルから1.1850ドル近辺へと小幅に急伸したあと、一転して売られると1.1560ドル台まで、約290ベーシスポイントもの大幅急落となりました。
4月以降、急速に相関性が高まっていたNY金とユーロドルとの関係は、5月後半から金が下げ渋り、ユーロドルはやや売られ過ぎの感もあって反発していましたが、ここに来て再びユーロ安ドル高方向に振れ、利上げ先送りを好感して反発したNY金とは再び逆行の兆し。
相関性低下局面入りか、一時的にとどまるか、という状態となっています。
後者なら、売られ過ぎたユーロが買い戻される展開か、もしくは反発の兆しとなったNY金の反落か、という局面を迎えています。
14日のNY金相場は前日比+7ドル、0.54%高となって続伸。5月14日(1318.2)以来、1カ月ぶりの高値水準。前日のFOMCでは利上げペース加速が示唆されたものの、その後はゆるやかなドル安の流れが欧州時間まで続いたことでNY金は1300ドル台前半から後半へと堅調推移、ECB理事会では早期利上げ観測が後退したことを受けて1313ドルまで上昇。しかし、ユーロ急落に伴うドル高の流れで上値を押さえられ、NY引け後には1300ドル台半ばに収束。日足レベルでは1カ月続いた保ち合い上方ブレイクの兆しを示しながらも抵抗線となっている200日移動平均線(1309.0)を突破し切れず。今回もFRBの利上げ後に上昇するパターンが再現かとも思われた流れにはいったんストップがかけられた状態に。米中貿易問題などをきっかけに200日線を超えて1310ドル超へとしっかり抜け出すことができればパターン再現で上昇トレンド形成、目標水準は今年高値圏となる1340ドル前後へ。
NYプラチナ相場は8.4ドル、0.93%高での続伸、5月24日(912.6)以来3週間ぶりの高値水準。金と同様に保ち合い上抜けの兆しとなったものの、時間外には900ドル台半ばまで水準を切り下げて保ち合い回帰の動きに。910ドル台後半以上へと水準を切り上げることができれば上昇局面形成へと向かい、930ドルが次の抵抗水準、これも超えることができれば最大990ドル程度まで上昇余地拡大となる可能性も。
ドル円は50銭ほどの反発で110円60銭台へ。FOMC後の軟調推移で欧州序盤にかけては109円90銭台まで軟調に推移。ECB理事会後のユーロ急落を受けてのドル高の流れは、米新規失業保険申請件数や5月小売売上高が予想以上の好結果となったことで増幅されて堅調推移。前日高値こそ超えられなかったものの、110円台後半へと水準を切り上げたことでもう一段のドル高円安基調が進行する可能性も。目先の上値目標は5月高値111円40銭近辺まで。ただし引き続き米中貿易摩擦懸念などが足を引っ張り、下押し材料にも。サポートラインとなりつつある200日移動平均線(110.20)を割れ、110円も割り込むようだと109円前後までの下押しも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/14終値とチャート
15日の国内金価格は30円、0.61%高で続伸。5月15日(4963)以来、1カ月ぶりの高値水準に。NY金の下げ渋り状態が続いて小反発、円安も重なっての一段高で5000円の大台回復を目標とする上昇トレンドが進行。9日移動平均線(4917)が21日(4911)、90日移動平均線(4915)をまとめてゴールデンクロスしてトレンド加速をサポート。5月高値から4月高値、4980-4990円の水準が次の抵抗水準にも。NY金が保ち合い上抜けとなれば強力なサポートに。
週間では+58円(1.18%)、年初の週以来5カ月ぶりの大幅高となって続伸。
プラチナ価格も33円、0.96%高となって3日ぶりの大幅反発。2度めの保ち合い上抜けとなって5月23日(3467)以来3週間ぶりの高値圏。上値も下値も切り上げる形となってようやく上昇トレンドが進行し始めた様子も。ただしNYプラチナが保ち合いを抜け切れていないことが懸念材料。目先は3480円台が抵抗水準となる可能性も、これを超えると当面の最大目標は3670円台まで。
週間ベースでは+47円(1.38%)で3週ぶりの反発。
※参考:金プラチナ国内価格6/15とチャート
2018年6月15日(金)時点の相場
国内金:4,957 円 6/15(金) ▲30(0.61%)
国内プラチナ:3,453 円 6/15(金) ▲33(0.96%)
NY金:1,308.3 ドル 6/14(木) ▲7.0(0.54%)
NYプラチナ:910.9 ドル 6/14(木) ▲8.4(0.93%)
ドル円:110.66 円 6/14(木) ▲0.49(0.44%)
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