更新日:2018年9月22日(土)
20日までオーストリアで行われたEU首脳会議では、EU加盟国側がメイ英首相の離脱方針案(チェッカーズ案:7月に英首相別邸「チェッカーズ」で閣議合意された案。EU離脱後もモノに関しては単一市場に残りEU規制に従うことなどを方針とする案※この案自体も英国内では一枚岩ではない様子)を拒絶。
英国領北アイルランドと陸続きのEU加盟国アイルランドとの国境問題絡みの調整が難航しており、EU側は北アイルランドをEU域内関税同盟に残すか、アイルランド島と英国本土の間のアイリッシュ海に実質的な国境を設定するなどの案を主張するのに対し、メイ英首相は北アイルランドだけを他の英国領と別扱いにする案など受け入れられないと怒り心頭の様子。
メイ英首相は「EU離脱は、悪い合意ならない方がまし」であり、「英国とEUは袋小路に陥っている」と平行線状態にあることを嘆き、英国は「合意なき離脱に向けた準備を続ける」とキレ気味の発言も。
10月もしくは11月合意に向けて楽観と悲観的な見方が二転三転してきましたが、どうも一筋縄ではいかない様子がうかがわれます。
21日のロンドン市場ではメイ英首相発言を受けてポンドが急反落。20日には4カ月ぶり高値水準まで買われ続けてきたポンド円はこの日、2円超の大幅反落となり、ユーロも連れ安の展開に。相対的なドル買いによってドルインデックスは93ポイント台半ばで下げ止まって反発へ、この煽りでNY金は反落。
この日マークイットなどから発表された9月のユーロ圏製造業PMI速報値は8月の54.6から53.3へと低下し、2年ぶり低水準となっています。
ドイツの製造業PMIが55.9から53.7へと急低下し、2年1カ月ぶり低水準となったことによって押し下げられた格好となり、年初からの減速基調は9月も止まらず。
ユーロ圏製造業の生産指数は54.7から52.8へと低下し、2016年5月以来2年4カ月ぶりの低水準。新規受注は53.0から51.4に低下して25カ月ぶりの低水準。
ドイツの新規輸出受注は2015年7月以来、3年2カ月ぶりに節目の50割れ。
工場では受注残の減少により追加スタッフ雇用にも抵抗感があり、労働者数は1年半で最低レベルの増加。
ただし、サービス業PMIはドイツもユーロ圏も予想を上回り、8月からも上昇。製造業も節目の50超は2013年7月から5年3カ月連続となり、加速基調は維持。
「ユーロ圏の産業は引き続き、英国のEU離脱や貿易摩擦の深刻化がもたらす不確実性に苦戦」する状態から抜け出せない状況が続きます。
なお、米国の9月製造業PMI速報値は55.6となって4カ月ぶりの水準へと反発。ユーロ圏を上回る状態を維持してその差を拡大、急低下したドイツも逆転。米国がドイツを上回るのは2016年3月以来、2年半ぶり。
ここにもユーロ安ドル高への転換材料が・・・。
21日のNY金相場は-10ドル、0.83%安となって3日ぶりの反落。前日までの堅調な流れが続いた時間外には1週間ぶりに1215ドル台まで上昇。しかし、保ち合い上限を完全に突破することはできず、ロンドン時間にはポンド急落をきっかけに流れが反転。ドル買い戻しの流れを受けて戻り売り圧力再燃となったNY金はNY朝までに10日ぶり安値となる1196ドルまで20ドル弱の急落。ここでも保ち合い下限ではサポートされ、引けにかけては1200ドル台をなんとか回復。かれこれ1カ月経とうとしている保ち合い推移のなか、足下では上抜けトライに向けた流れも見られたものの、またしても50日移動平均線(1212.5)に上値を押さえられての失速。米国発通商問題、英EU離脱の合意問題、FOMCに月末月初の経済指標など多数の波乱要因を抱える状態で月末へ。保ち合い下方ブレイクなら二番底から1150ドルも意識される展開にも、上方ブレイクなら7月高値圏1260ドル台を目指す展開にも。
週間ベースではわずかに+0.2ドル(0.02%)、2週連続1ドル未満の上昇で実質横ばい推移、4週連続で週足終値は1200ドル台。
NYプラチナ相場は-4.6ドル、0.55%安となって5日ぶりの反落。時間外には1か月半ぶり高値となる840ドル手前まで上昇し、NY金の軟調推移にもしばらくは下げ渋る展開もNY市場に入ると耐えきれず、820ドル台前半まで15ドル強の急反落。ここまで急上昇が続いてきた反動もあり、上値目標850ドルに向けた流れは10ドルほど及ばず。830ドル台半ばが当面の抵抗水準となりやすく、調整局面継続も。再反発でこの水準を上抜けできればあらためて850ドル台へ、調整進行の場合の下値サポート候補としては1週間前まで抵抗線だった50日移動平均線(809.8)近辺。
週間ベースでは+31.0ドル(3.88%)の大幅続伸。2月12日からの週(+50.8ドル、5.28%)以来7カ月ぶりの上げ幅。
ドル円は10銭程のドル高円安となって0.1%の小幅続伸。東京市場から欧州序盤にかけては6日続伸となった日経平均の堅調推移などにも連れて円安株高のリスクオンで前日高値も上抜け、2カ月ぶり円安水準となる112円80銭台まで上昇。ポンド急落をきっかけに反転した流れではドル高よりも円高が勝るリスクオフ、売り買い交錯の展開にも徐々に上値を切り下げて112円台半ばへ。113円台を目前に失速し、長めの上ヒゲを残す足型となって反落警戒感も漂うものの流れとしてはまだ上方向優勢。次週、多数のイベントや指標でネガティブな流れが強まらなければ7月高値113円10銭台を試す可能性は十分想定され、今年高値113円30銭台までが当面の上値目標に。ポジティブ材料があれば昨年12月高値113円70銭台も視野に。
週間ベースでは+0.53円(0.47%)で続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/21終値とチャート
2018年9月22日(土)時点の相場
国内金:4,680 円 9/21(金) ▲30(0.65%)
国内プラチナ:3,231 円 9/21(金) ▲62(1.96%)
NY金:1,201.3 ドル 9/21(金) ▼10.0(0.83%)
NYプラチナ:829.6 ドル 9/21(金) ▼4.6(0.55%)
ドル円:112.60 円 9/21(金) ▲0.11(0.10%)
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