更新日:2018年9月27日(木)
トランプ米大統領にとっては残念な、しかし市場参加者のほぼ全てが織り込み済みだった利上げは確実に実行され、FF金利は2.00-2.25%となって主要先進国での最高金利を更新。利上げフェーズを単独で牽引する状態となっています。
ただし、今回のFOMCでのFF金利見通しは12月に今年4回目の利上げ、来年には3回の利上げ、2020年には1回の利上げで最高到達水準は3.25-3.50%と前回6月FOMCから変わらず。中立金利を示す長期見通し中央値は6月FOMCでの2.875%から今回は3.00%へと引き上げられました。来年には中立金利に到達し、若干のオーバーランを見込んでも2019年か2020年には利上げ打ち止めの可能性も示唆、との受け止め方もできます。
GDP見通しが2018年は2.8%から3.1%へと引き上げられ、2019年も2.4%から2.5%となったことに伴い、声明文では、経済活動は「堅調な速度(at a solid rate)で拡大」から「力強い速度(at a strong rate)で拡大」へと表現が変わり、パウエル議長会見でも経済の強さを強調。さらに声明文から「金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的」という表現が削除されたことで引き締めを連想する向きもあったものとも思われるものの、パウエル議長は「金融政策が変わるものではない」し、「「緩和的」との文言削除は金融政策が予想通り推移していることを示している」だけであり、「金融政策は依然として緩和的」とフォロー。
見通し引き下げが続いていた失業率は2019年と2020年には3.5%まで低下し、中立水準4.5%を大きく下回ることが見込まれているのも6月からは変わらず。2021年には3.7%となっており、今後2-3年で労働市場の引き締まり局面も底打ちする可能性を示唆する形となっています。
コアPCEインフレは2%から2.1%の水準で6月から変わらず、インフレが加速し過ぎることなく、「インフレは低く、安定」した状態が続くことが見込まれています。
対照的なインフレ目標2%近辺で安定推移し、それ以上に加速しない状態を予測しながらもFF金利は最大2年先まで利上げ継続を予測、若干の矛盾も感じるところですが、金融政策がまだ「緩和的」レベルにあるから利上げは続ける、ということでしょうか。
パウエル議長会見では、「2-3年先の予測はかなり不確実」であるとも言及されています。
26日のNY金相場は3日ぶりの反落で0.5%安。約2週間ぶりの1200ドル割れで9月4日(1199.1)以来3週間ぶりの安値水準。FOMC前には小幅に水準を切り下げて1200ドルをはさんでの揉み合い状態、NY引け後のFOMC結果とパウエル議長会見を受けて1200ドル台半ばから1190ドル台半ばまで10ドルほどのレンジで乱高下。今回の利上げは既に織り込み済であり、今後の利上げ見通しについても前回6月会合から変わらず、結果的には元の水準1200ドル近辺に落ち着いた状態に。引き続きブレイクすれば大幅変動の可能性を抱えながら1190ドル台半ばから1210ドル台半ばまでを主要レンジとする保ち合い推移が継続。
NYプラチナ相場は4日ぶりの反発となって6.2ドルの上昇。この日、トルコのエルドアン大統領が「トルコ中銀は独立している」と大人の発言、これを受けてトルコリラが急上昇したことで南アランドも連れ高となり、その後ラマポーザ南ア大統領も「ランドは過小評価されている」などと発言したことで南アランドが一段高となったことも好感し、時間外からNY朝までは820ドル台後半での堅調推移。しかしその後のFOMC前後には金に連動する形での乱高下、NY引け後の時間外には820ドル台前半へと水準を切り下げ。830ドル台半ばで上値を押さえられ、下値は820ドルラインがサポートになりつつある様子も。上方向再トライなら850ドル台までが目標水準に、下方向へと動き出した場合には800ドル前後までが下値目安に。
ドル円は25銭ほどのドル安円高となって5日ぶりの反落。FOMC前から何度か113円台を試すも定着できず、FOMC後のパウエル議長会見では一時113円10銭台まで上昇して反落。上値目標113円30銭台の今年高値更新トライには及ばなかったものの、113円台前半にはなんとか手が届いた状態での一服。米10年債利回りが急反落したことにも連れて今朝の東京市場にかけては112円60銭台まで下落しており、ゆるやかなドル高円安の流れに変化の兆しも。米10年債利回りの低下がもう少し進行するようなら連れ安の展開も。ある程度の調整局面形成でも111円80銭台が当面のサポート水準にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/26終値とチャート
27日の国内金価格は-33円、0.71%の反落。ややハト派的、ともとれるFOMC結果を受けて円安の流れが巻き戻された形にもなり、1週間ぶりの安値水準となって節目の4650円割れ。9日移動平均線(4646)も下抜けて調整局面形成へと向かう可能性が若干高まる状況に。ただし、東京市場午前の時間帯にはNY金もドル円も下げ渋る状態にあり、浅めの調整で終える可能性も。月末月初の米指標などをきっかけに下押しが進行した場合でも目先の下値目安は4600円の大台前後辺りまでか。上方向には4670円台が抵抗水準となり、これを上抜けた場合には4750円近辺までが次の上値目標に。
プラチナ価格は-8円、0.25%の反落。下落基調がゆるやかとなってきた90日移動平均線(3208)ともみ合う展開となりつつあり、下げ渋りの様相も。上昇基調の9日移動平均線(3153)に今後サポートされる可能性もあり、3230円台の節目を超えることができれば上値トライ再開となって今年の下落幅の38.2%戻し(3267)突破、3270円台辺りまでが次の上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格9/27とチャート
2018年9月27日(木)時点の相場
国内金:4,641 円 9/27(木) ▼33(0.71%)
国内プラチナ:3,205 円 9/27(木) ▼8(0.25%)
NY金:1,199.1 ドル 9/26(水) ▼6.0(0.50%)
NYプラチナ:829.1 ドル 9/26(水) ▲6.2(0.75%)
ドル円:112.69 円 9/26(水) ▼0.26(0.23%)
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