更新日:2018年11月17日(土)
FRBが発表した10月の鉱工業生産指数は前月比+0.1%。市場予想の+0.2%を下回り、2カ月連続の低下、5カ月ぶりの低水準となりました。製造業の好調に対し、鉱業や公益事業で伸びが低迷したようです。
鉱工業生産指数は、昨年10月にはリーマンショック以降で最高となる+1.5%を記録し、今年5月には2年2カ月ぶり低水準となる-0.8%となっていました。
その結果、6カ月平均では0.5%となった今年3月が近年のピークとなり、2010年9月以来、7年半ぶりの高水準となっていました。10月には+0.2%まで低下し、1年ぶりの低水準となっています。トレンドとしては、減速局面へと向かっている可能性もありそうです。
設備稼働率は8-9月には78.5%となって2015年1月(78.8)以来3年7カ月ぶりの高水準となり、10月は78.4%とわずかに低下。設備稼働率は鉱工業生産指数の動向に追随する傾向があるため、鉱工業生産指数が減速局面入りすることになれば、設備稼働率も低下基調へと切り替わることになります。
今年9月に就任したクラリダFRB副議長はこの日、米国経済は過去10年間に比べて速いペースで成長しているとしながらも、「世界的な減速を示唆する証拠はある」と世界経済の下振れリスクへの警戒感も示しました。
ダラス連銀のカプラン総裁(今年、来年までFOMC投票権はなし)も、「欧州と中国の成長減速で米経済が影響を受ける可能性」があるとの懸念を表明しました。
FRB関係者の相次ぐ警戒発言を受けて、米10年債利回りは3.20%台で頭打ちとなった後の下落局面が加速、ドルインデックスも97ポイント台の高水準からの反落基調が急加速。NY金は3日続伸をサポートされる形となりました。
また、12月利上げに向けて否定的な発言は誰もしていないにも関わらず、その織り込み度合いは70%台から65%へと低下しています。
16日のNY金相場は+8ドル、0.66%高で3日続伸。1210ドル台半ばでの小幅揉み合い状態が続いた時間外から、NY朝にはクラリダFRB副議長発言などを受けて1220ドル台半ばへと10ドルほどの急騰。抵抗線となる可能性もあった90日移動平均線(1214.1)を上抜け、下押し圧力も緩和。サポートラインに切り替われば短期的な流れも好転へ。米長期金利低下とドル安の流れがもう一段続くようなら堅調な展開へ。ただしここから1240ドルまでの水準は10月後半以降の高値保ち合い水準となり、上値も重くなりやすいところ。90日線が上向き始め、1240ドルの節目を突破できれば1280ドル近辺を目指すような流れにも。
週間ベースでは+14.4ドル(1.19%)で3週ぶりの反発。
NYプラチナ相場は+1.3ドル、0.15%の小幅続伸。NY朝には金に追随しての上昇も上げ幅は5ドル強と控えめ、10月高値水準でもある850ドルの節目が抵抗水準となって上値を押さえられる状態にも。中期的には8月以降、徐々に下値を切り上げる上昇トレンドは継続しているものの、短期的には880ドルの高値でピークアウトした後の下押し圧力が残る状態。短期トレンド好転に向けては830ドルの節目を割れないことが重要で850ドル台の抵抗水準候補を上抜ける必要。
週間ベースでは-9.4ドル(1.1%)で続落。
ドル円は70銭超のドル安円高となって4日続落。上ヒゲ十字線を残した月曜高値114円20銭が短期的なピークとなり、ゆっくりと進行していた調整局面が急加速。日経平均の下落にも連れて113円台半ばから前半へと軟調推移となった東京、欧州序盤には113円20銭台までで下げ渋っていたものの、NY時間にかけてはクラリダ発言などを受けて金利低下とともにドル安円高の流れが急進、112円60銭台まで70銭ほどの急落に。しかし、トランプ米大統領の対中国追加関税への否定的な発言にもサポートされ、米株急反発とともに113円手前まで戻す場面も。113円ラインがサポートからレジスタンスへと切り替わった可能性もあり、下押し圧力が強まり始めた様子も。11月安値112円50銭台の節目水準を割り込むようだと一段安の展開も予想され、下値目安は10月安値111円30銭台辺りまで。
週間ベースでは-1.00円(0.88%)で3週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/16終値とチャート
2018年11月17日(土)時点の相場
国内金:4,756 円 11/16(金) ▲16(0.34%)
国内プラチナ:3,298 円 11/16(金) ▲28(0.86%)
NY金:1,223.0 ドル 11/16(金) ▲8.0(0.66%)
NYプラチナ:846.6 ドル 11/16(金) ▲1.3(0.15%)
ドル円:112.82 円 11/16(金) ▼0.75(0.66%)
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