更新日:2019年6月20日(木)
ドットチャートの中央値は3月から変わらず2.375%。年内据え置きを示唆しているようにも見えますが、3月には利上げ予想が一人もいなかったのに対し、今回のFOMCでは0.25%の利下げ予想が1名、0.50%の利下げ予想が7名。全17名のFOMCメンバーのうち、約半数となる8名が利下げを予想し、市場に寄り添うハト派転換。
声明文では、「経済活動は堅調な伸び(rose at a solid rate)」を示していた3月から、今回6月には「経済活動は緩やかなペース(at a moderate rate)で上昇」へとトーンダウン。
3月に「鈍化(slowed)」した設備投資の伸びは、6月には「軟調(have been soft)」なまま。
経済活動の持続的拡大やインフレ率2%に向けての見通しについては「不確実性(uncertainties)が高まっている」ことを追加認識。
その結果、FF金利誘導目標レンジの調整に関しては「「忍耐強く(will be patient)」という3月までのスタンスをあらため、6月には景気見通しなどを注視して「適切に行動(will act as appropriate)」することを明示。
これまでは基本、「利上げ」路線でありながらもいったん据え置き、次の利上げ(もしくは利下げ)タイミングを見極めるために「忍耐強く」なる必要がある、という状態だったものが、明らかに「利下げ」を意識して必要に応じて「適切に行動」すべき、という姿勢に変化したことを示しているようです。
「4年の任期を全うするつもり」のパウエルFRB議長としては、今回FF金利据え置きを維持して政治的圧力には屈しない姿勢を見せながら、市場に対してはサプライズなしに催促に応える形で、さり気なく利下げを示唆した格好に。
この結果を受けて米10年債利回りは2年7カ月ぶり低水準となる2.02%台まで急低下。ドル安と株高を誘発し、金も急騰。CMEフェドウォッチでは7月利下げを100%織り込む状態となっています。
米中首脳会談の行方と追加関税の有無、6月雇用統計やISM製造業景況指数などの結果によっては、7月末のFOMCで「適切に行動」することになりそうです。
19日のNY金相場は-1.9ドル、0.14%の小反落。1340ドル台後半へと若干水準を切り下げての小幅保ち合い状態でFOMC待ち、NY引け後の結果発表を受けて1360ドルまで急騰の反応。パウエルFRB議長会見後には一時1366ドルまで上昇し、昨年最高値1369.4ドルをつけた4月11日以来、1年2カ月ぶりの高値水準。短期上値目標1360ドル台にもしっかり到達。ほぼ予想どおりとも言える結果にも、米10年債利回りの急低下に触発された形での一段高。2017年以降の最高値水準でもあり、過去何度も上値を押さえられた1360ドル台に到達したことで、いったんは事実確認からの調整局面入りも予想されるところ。ただし、東京時間朝時点では1360ドル台を維持しており、このまま今夜の米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数がNY連銀に続いて大幅下振れるなど、サプライズなネガティブ事象があれば、2016年年最高値1377.5ドルをトライしに行く可能性もなくはないか。
と、ふと気づけば日本時間朝10時過ぎ、NY金は1360ドル台を上抜けて急騰、1397.7ドルまで上昇。2013年9月以来、5年9カ月ぶり高値水準にワンタッチして1370ドル台へと反落中。
NYプラチナは+3.8ドル、0.47%の続伸。時間外に800ドルの大台回復後、一時的には800ドル割れも底堅く推移、FOMC後には株高・金高の流れに追随する形で810ドル台へと上昇。下げ止まりつつある20日移動平均線(804.2)をわずかに上回り、抵抗線からサポートへと切り替わる可能性も。810ドル台半ばの節目をしっかりと上抜けることができれば、5月の急落前のサポート水準850ドル付近までが次の上値目標に。また、ダブルボトムを形成しての反発局面入りの可能性もあり、ネックラインとなる830ドル付近を超えるとさらに40ドル程度の上昇で870ドル付近も視野に。
ドル円は30銭超のドル安円高となって3日続落。108円40銭をはさんでの揉み合い状態から、FOMC後には急落の反応で108円割れ。ただし、下値も107円90銭台では底堅く、程なく108円台を回復。FOMCの結果には、予想以上にハト派という向きが売りを主導し、想定の範囲内という向きが下値を支えた格好にも。今朝の東京市場では日経平均の続伸スタートにも米10年債利回りが2%割れへと一段と低下、ドル安円高圧力が強まり、再び108円割れへと軟調推移。このまま108円をしっかり割り込むことになれば、107円付近までの一段安も。円安方向には108円半ばが当面の抵抗水準となり、上抜けできれば109円台半ばまでの反発も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/19終値とチャート
20日の国内金価格は+20円、0.4%高で3日続伸。2月27日(5046)以来、ほぼ4カ月ぶりの高値水準に。ハト派転換したFOMCの結果を受けての金買いの勢いは東京市場朝の時間帯まで持続しており、国内金価格は過熱感を高めながらも短期上値目標5030円近辺を少しオーバーラン。水準的にはNY金も国内価格も想定上限に達した状況にもあるものの、この後欧州・NY時間にかけても現状の流れが続く可能性もあり、行き過ぎの展開となれば2月末の戻り高値5061円、そして今年高値5091円が意識されるような展開にも。
プラチナ価格は+7円、0.23%の続伸。プラチナ固有の弱さをFOMC結果に伴う株高・金高地合いが補う形でサポート、底値圏からの反発基調を後押し。9日移動平均線(3022)をわずかに上回り、21日移動平均線(3026)との揉み合い状態となり、弱気のパーフェクトオーダーからの脱却に向けての第一段階。金の一段高に連れてNYプラチナも底値保ち合い上抜けへと向かうことになれば、国内プラチナ価格にも3060円の節目超えのチャンスも。
※参考:金プラチナ国内価格6/20とチャート
2019年6月20日(木)時点の相場
国内金:5,046 円 6/20(木) ▲20(0.40%)
国内プラチナ:3,024 円 6/20(木) ▲7(0.23%)
NY金:1,348.8 ドル 6/19(水) ▼1.9(0.14%)
NYプラチナ:805.8 ドル 6/19(水) ▲3.8(0.47%)
ドル円:108.10 円 6/19(水) ▼0.36(0.33%)
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