更新日:2019年8月2日(金)
世界の主要国の大半が好不況の節目50割れとなってきた製造業PMI。7月に50以上となったのは米国(50.4)やインド(52.5)などごくわずか。
そのなかでも、世界の景気減速を牽引するユーロ圏の7月製造業PMIは46.5。欧州圏外主要国ではトルコの46.7をも下回り、6年7カ月ぶり低水準。
<ユーロ圏製造業PMIランキング-2019年7月>
1位:ギリシャ:54.6:3カ月ぶり高水準へと反発。
2位:オランダ:50.7:6年ぶり低水準となった6月から変わらず。
3位:フランス:49.7:4カ月ぶり低水準で節目50割れ。
4位:アイルランド:48.7:6年3カ月ぶり低水準。
5位:イタリア:48.5:2カ月ぶり高水準へと反発、10カ月連続50割れ。
6位:スペイン:48.2:2カ月ぶり高水準へと反発、2カ月連続50割れ。
7位:オーストリア:47.0:4年9カ月ぶり低水準。8カ月続落で4カ月連続50割れ。
8位:ドイツ:43.2:7年ぶり低水準。7カ月連続50割れ。
景気拡大基調を示す節目50超はギリシャとオランダのみ。オランダは節目割れ目前でなんとか踏ん張る状態。
反発したのは、かつて債務危機に瀕した南欧3カ国、うちイタリア、スペインともに低水準での小反発。
貿易戦争やブレグジットをはじめとする地政学的リスクの高まり、そして自動車産業の不振や国内外での経済成長鈍化に対する懸念などが需要を圧迫し、見通しも悪化させる状態となっています。
危機感を感じるECBは利下げも示唆してはいますが、IHSマークイットによれば、金融政策によってこれらの「逆風に対処できることは限られている」ことこそが問題である、としています。
貿易戦争の震源地、トランプ米大統領はこの日、現時点で制裁関税の対象となっていない中国からの輸入品3000億ドル相当に10%の関税を課すことを発表しました。
貿易戦争エスカレートの影響により、ユーロ圏製造業PMIの回復見通しも一向に改善しない状態が続きます。
1日のNY金相場は-5.4ドル、0.38%の続落。FOMC後のパウエルFRB議長会見を受けて1420ドル付近まで水準を切り下げた後も軟調推移の展開となり、ロンドン時間にはユーロ安ドル高の流れも重石となって1420ドル割れ、NY朝には一時1週間ぶり安値で高値保ち合い下限となる1410ドル付近まで下押し。しかし、米7月ISM製造業景況指数が51.2と市場予想を下回り、2年11カ月ぶり低水準となったことをきっかけにドル安と長期金利低下の流れが強まり、NY金は1420ドル台へと反発。
NY引け後にはトランプ大統領が中国からの輸入品3000億ドル相当に10%の関税を9月1日から課すことを発表。対中関税第4弾としては以前から予告はされていたものの、米中協議の進展が思わしくないこと、FOMCでの利下げが期待外れだったことなども影響してか、やや強引に突然の発動予告。市場は不意を突かれた格好となり、金利低下とドル安、株安が急速に進行。米10年債利回りは2016年11月以来、2年9カ月ぶり低水準となる1.90%割れ、ダウは連日1%超の下落となって1カ月ぶり安値圏へ、NY金は6年3カ月ぶり高値水準となる1458ドルまで上昇、時間外では一時1460ドルを超える場面も。
高値保ち合い下限(1410)を試して急反発となったNY金は高値トライ状態(1450ドル台)で週末へ。日足ベースでは現状維持でも1440ドルの保ち合い上限を突破することになり、次の上値目標は1460ドル前後、も既に到達済。
NYプラチナは-27.6ドル、3.14%の大幅反落。フラッグ状態の保ち合い下限、870ドルを前日NY引け後に下抜けたことで調整局面入り濃厚となった流れがそのまま継続。NY朝までは金の軟調推移にも連れる形でコンスタントに水準を切り下げ、一時845ドルまで下げて90日移動平均線(847.3)にサポートされた格好。NY引け後の対中関税第4弾発表では金に追随することなく、自律反発で860ドル付近まで。保ち合い下限割れに伴う下値目安、5月末安値から7月高値までの半値戻し(839.7)となる830ドル台までもう少しの下落余地。
ドル円は140銭弱のドル安円高で大幅反落。下げ幅は今年最大、ロシアゲート疑惑で急落した2017年5月17日(-2.31円、2.04%)以来、2年2カ月半ぶりの大幅安。東京時間朝にはFOMC後のドル高の勢いで一時2カ月ぶり高値となる109円30銭台まで上昇。しかし頭打ちの状態が続くと欧州時間から徐々に軟調気味の展開に。109円を割れると下落基調がやや強まり、ISM製造業景況指数が低調となると108円半ばから前半へと一段安。108円割れの攻防では下げ渋る状態となったものの、トランプ大統領の対中関税発言により急落、2週間ぶり安値となる107円20銭台まで下落。今朝の東京市場では日経平均の400円超の大幅安にも連れる形で一時107円割れを試す場面も。雇用統計前にやや行き過ぎの感もあるものの、賃金の伸び悩みに雇用も低調となれば再度下値を試しに行く展開にも。107円を完全に割り込むようだと年初のフラッシュ・クラッシュでつけた安値104円台が意識される可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/1終値とチャート
2日の国内金価格は+37円、0.7%の反発。近年最高値圏で形成する斜行三角保ち合いは、タカ派的利下げによって下方ブレイクへ、そして調整局面入りかに思われた流れはトランプ関税によって切り返し。崩れぞうで崩れない保ち合いの形状は、徐々に三角保ち合いから上下2本の平行線で挟まれるチャネル形状へ?と移行しつつあるようにも。目先は雇用統計次第、サプライズがあればレンジブレイクの可能性も。5280円に切り上げたサポート水準を割れると大幅調整へ、5160円近辺までが下値目安にも。5340円超へと高値更新なら次の目標水準は5440円辺りまで。
週間ベースでは+27円、0.51%の反発。
プラチナ価格は-56円、1.74%の大幅安で3日続落。3日間合計で-126円、3.83%の急落局面を形成し、下値目安3170円近辺に到達。今年安値から7月高値までの38.2%戻し(3168)も達成し、いったん下げ止まるのに都合の良い水準にも。行き過ぎの場合には50%戻し(3130)辺りではサポートされやすく、反発方向には3200円の大台ライン回復が当面のポイントにも。
週間ベースでは-79円、2.44%の反落。
※参考:金プラチナ国内価格8/2とチャート
2019年8月2日(金)時点の相場
国内金:5,318 円 8/2(金) ▲37(0.70%)
国内プラチナ:3,164 円 8/2(金) ▼56(1.74%)
NY金:1,432.4 ドル 8/1(木) ▼5.4(0.38%)
NYプラチナ:851.3 ドル 8/1(木) ▼27.6(3.14%)
ドル円:107.36 円 8/1(木) ▼1.37(1.26%)
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