更新日:2019年8月20日(火)
CFTC(全米先物取引委員会)が毎週公表している建玉情報によれば、投機筋の円買いと円売りポジションとの差は8月6日時点で昨年6月以来、1年2カ月ぶりに買い越し転換。翌週、13日には買い越し幅をさらに急拡大し、24742枚。2016年11月以来、2年9カ月ぶりの円買い越し幅。
圧倒的に円売りが優勢となりやすいこのポジションで円が買い越しとなるのは珍しく、最近では円の買い越しは短期間で終わるケースも多いようです。
今回も、買い越しに転じたことにより、いずれ再び売り転換へと大きく巻き戻される可能性と、逆に米国の利下げフェーズも意識されて数カ月から1年程度の買い越し継続の可能性もありそうです。
単純比較はできませんが、2016年と同程度まで買い越しが進行した場合、ドル円は100円近辺を試しに行く可能性もありそうです。
円と同様に安全資産とみなされる金も同様に、2016年後半以来の買い越し量となってきています。
昨年8月には16年ぶりに売り転換となる場面もありましたが、NY金価格はこのタイミングが起点となって1年間の急騰局面を形成することになりました。
足下、8月6日時点では4週連続で買い越し幅を拡大し、前週比+3万8157枚の29万2545枚となり、2016年9月以来、2年11カ月ぶりの買い越し水準。そして翌週、13日には若干買い越し幅を縮小。
近年最大水準付近まで買い越し幅が拡大したことで、価格水準的にもいったんピークアウトの可能性も警戒される状況にもなってきました。
円買い余地ありと見て相対的にドル安優勢の流れとなれは、金の買い越しもさらに進行する可能性もありそうですが、やはりFRBの金融政策動向次第、ということにもなりそうです。
「100ベーシスの利下げを」とエスカレートするトランプ大統領は量的緩和も要求し、FRBへの圧力を緩める気配は全く見られません。
これに対して(コメントすることは考えられませんが)パウエルFRB議長はジャクソンホールでの講演で何らかの、おそらく追加利下げを示唆する発言が聞かれることになるかもしれません。
ただし、7月FOMCで利下げに反対票を投じたボストン連銀のローゼングレン総裁はこの日、米経済は非常に順調であり、国内見通しが暗くならない限り「利下げをすべきではない」との主旨の発言も。
円買い・金買いが続くか否か、その動向を左右するFOMC内でも意見は分かれたままのようです。
週明け19日のNY金相場は-12.0ドル、0.79%の続落で8月9日(1508.5)以来、10日ぶりの安値水準。週末終値1523.6ドルがこの日の高値となって軟調推移、金曜日の高値1538.6ドルを直近ピークとして調整局面が続く形となり、この日のNY引け後には1510ドル割れ。リスク回避の巻戻しの流れで金利と株価の反発、ドル高基調に押され、高値保ち合いレンジの上限1530ドル台から下限となる1500ドルの大台ライン付近までを2日間かけて推移。目先は大台ラインにいったんはサポートされる可能性もあるものの、流れとしては調整局面入りの様相。大台割れなら5月安値から8月高値までの23.6%戻しとなる1480ドル付近までが短期調整目安に。
NYプラチナは+5.3ドル、0.62%の続伸。8月13日(859.7)以来、1週間ぶりの水準を回復。850ドル台前半での揉み合い推移から、欧州時間には金の軟調推移にも連れて840ドル台半ばへと下げた後、NY市場では860ドルまでの急反発。しかしこれも維持できず、下にも上にも行って来いとなって引け後には850ドル台前半へと巻戻し。水平状態の20日移動平均線(862.9)に上値を押さえられ、下値はこれも水平状態の90日移動平均線(844.7)にサポートされる形となり、短期トレンドは横ばい。目先は840ドルから870ドル台までのレンジ内推移継続か。
ドル円は20銭のドル高円安となって3日続伸。リスク回避の巻戻しの流れが続き、欧州時間には米10年債利回りも反発の勢いを強めて1.6%付近へと一段高、これに連れる形でドル円も106円40銭台から60銭台へと小幅に急騰。NY市場にかけては106円半ばでの揉み合い推移の展開に。106円70銭の抵抗線に上値を押さえられる形にもなり、この3日間の小幅続伸でも4日前の下落分をカバーし切れず、13日終値106円60銭台を超えられなかったことで反落警戒感も高まる状態にも。値幅的には4月につけた今年高値112円40銭から8月安値105円00銭台までの23.6%戻し(106.78)ラインにも上値を押さえられる状態。パウエルFRB議長がトランプ牽制にも負けずタカ派姿勢を見せるようなら節目突破で次の目安は38.2%戻しとなる107円80銭台へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/19終値とチャート
20日の国内金価格は-32円、0.58%の続落で8月13日(5472)以来、1週間ぶりの安値水準に。2週間ぶりに9日移動平均線(5486)も割り込んで短期的には強気相場一服の状態となり、NY金とともに調整局面入りの様相にも。目先、5460円台の節目でサポートされて高値保ち合い形成へ、との可能性はやや低めか。節目を割れれば5400円の大台ライン付近までが下値目安に。NY金と国内金価格の90日相関係数は19日時点で0.96863と過去最大水準でさらに上昇、相関性は最大限に強まる状態。
プラチナ価格は+11円、0.35%の続伸。8月ここまでの抵抗線となってきた9日移動平均線(3123)を押し上げて、わずかに上抜け。短期的には地合い好転方向も、少し上の水準で90日移動平均線(3167)はまだ低下基調が継続。目先、3140円の節目を上抜けできれば90日線超えも視野に、さらに一段高への可能性も開け、7月末の高値保ち合い下限付近、3230円近辺までが上値目標に。
※参考:金プラチナ国内価格8/20とチャート
2019年8月20日(火)時点の相場
国内金:5,478 円 8/20(火) ▼32(0.58%)
国内プラチナ:3,128 円 8/20(火) ▲11(0.35%)
NY金:1,511.6 ドル 8/19(月) ▼12.0(0.79%)
NYプラチナ:856.8 ドル 8/19(月) ▲5.3(0.62%)
ドル円:106.58 円 8/19(月) ▲0.20(0.19%)
Copyright(C) Let's GOLD