更新日:2019年8月21日(水)
米10年債利回りが2%付近で下げ止まったのが5月末。2%前後を主要レンジとして保ち合い推移が2カ月続いた後、7月末FOMCではある程度予想された0.25%の利下げを決定。ただし、パウエルFRB議長は「予防的利下げ」として、景気サイクル半ばでの調整に過ぎないとの主張。決して利下げサイクルのスタートではないことを強調しました。
これにより、さらなる追加利下げ予想は急低下、利下げはいったん打ち止めとの予想が急上昇。それぞれほぼ50%、50%の五分五分に。
しかし、この状態は1日と持たず、翌8月1日にはかぶせるようにトランプ大統領の対中制裁関税第4弾の発表。
これを受けて市場予想も急転、米10年債利回りは急降下。8月前半には米10年債利回りが3年ぶり低水準となる1.5%台まで急低下したことにも連動するように、少なくとも9月FOMCでは0.25%以上の追加利下げを100%織り込み、焦点は0.25%か0.50%利下げかという状態に。
0.25%利下げの予想は70%から100%の間で乱高下、0.50%の大幅利下げ予想は0%から30%までのレンジで乱高下。
相次ぐトランプ政権の利下げ圧力発言や、逆イールドによるリセッション懸念などもあり、それぞれの思惑が交錯する状態が続いてはいますが、20日時点では0.50%利下げ予想が8月2日以降では初めて0%に低下、据え置き予想も8月2日以降では初めて0%を脱して1.9%へ。
サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はこの日、「米国経済はリセッションに向かってはいないようだ」との見解を示し、7月の利下げについても低インフレへの対応と政策調整とし、自身が利下げを支持する理由としても「景気拡大の継続」を望むから、であり「景気の下振れ」を予想するものではないとの発言。
7月に続いて追加利下げ自体に反対するメンバーも残り、悲観的な見方からの利下げフェーズを想定するような発言も聞かれない現状では、トランプ大統領が期待するような大幅利下げの可能性は極めて低いと思われます。
少なくとも9月FOMCに向けては、0.50%利下げ予想が0%となったCMEフェドウォッチが、現状を的確に示しているようにも見えます。
20日のNY金相場は+4.1ドル、0.27%高で3日ぶりの反発。時間外には前日安値1503.3ドルをわずかに下回りながらもほぼ同水準(1503.0)で折返し、1500ドルの大台ラインにサポートされる形となって欧州時間には反発基調で1510ドル台半ばを回復。コンテ首相が辞任を表明したイタリアの政局不安によって一時ユーロ売りが強まる場面もあったものの、米国ではポンペオ国務長官の「ファーウェイ以外の中国企業も国家安全保障への脅威」発言を受けて株安ドル安に振れるなど為替は乱高下。前日には1.6%台を回復していた米10年債利回りが1.55%台へと再反落となったこともあり、金はNY引け後にかけても1510ドル台半ばを維持。1500ドルの大台ラインでの足場固めも少し進行した様子もあり、ここから1530ドル台までが目先の主要レンジに。下限割れなら1480ドル、上限突破なら1560ドルが次の目安に。
NYプラチナは-4.0ドル、0.47%安で3日ぶりの反落。時間外での反発局面では20日移動平均線(862.4)にも届かず860ドル手前で失速、NY市場では850ドル割れも前日安値を下回らず、840ドル台後半までと下値も限定的。引け後にかけて小康状態となってきた850ドル近辺の水準は、過去に何度もサポートや抵抗線となってきた居心地の良い水準。この水準にサポートされて20日線を超え、870ドル台の上限トライへと反発局面形成か、850ドルが抵抗水準に切り替わって下落トレンド継続か、分岐点にも。
ドル円は30銭強のドル安円高となって4日ぶりの反落。五十日で買われた東京時間朝に106円70銭近辺まで上昇したのがこの日の高値となって軟調推移。前日までの3日続伸でもその前日の下げ幅を取り戻せなかったことも反落要因に。再び低下基調となった米10年債利回りに追随する展開となり、NY市場では一時1.55%割れとなったタイミングではドル円も106円10銭台の安値をつけ、1.55%台で下げ渋った米10年債利回りにサポートされる形で106円30銭台へと反発。短期トレンドはドル高方向へと流れが変わりつつある状態も、米長期金利との連動性が高まり、パウエルFRB議長講演待ちにも。トランプ批判に屈せず、強気見通しとタカ派発言となれば、106円70銭超へと安値保ち合いを上抜け、7月高値圏109円付近を目標に反発局面形成の流れにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/20終値とチャート
21日の国内金価格は+26円、0.47%高となって3日ぶりの反発。5460円台の節目手前で折り返し、わずかに下抜けた9日移動平均線(5497)も再度上抜け、ほぼ調整局面入りの状態のまま耐える展開に。NY金の1500ドルラインが予想以上に底堅く、国内金価格の高止まりをサポート。ただし流れとしては依然ほぼ調整局面入りの状態にあり、5470円台に切り上げたサポートを割れると5月末から8月高値までの23.6%戻し(5380)付近までが下値目安に。
プラチナ価格は-18円、0.58%安で3日ぶりの反落。ようやく上抜けたと思った9日移動平均線(3121)が実はまだ抵抗線だった、という展開となって上値を切り下げ続ける下落トレンドも継続。切り下げた上限3130円を超えることができれば反発局面形成で、3190円程度までが上値目安に。3070円の下限を割れるようだと7月安値3020円台までが次の下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格8/21とチャート
2019年8月21日(水)時点の相場
国内金:5,504 円 8/21(水) ▲26(0.47%)
国内プラチナ:3,110 円 8/21(水) ▼18(0.58%)
NY金:1,515.7 ドル 8/20(火) ▲4.1(0.27%)
NYプラチナ:852.8 ドル 8/20(火) ▼4.0(0.47%)
ドル円:106.26 円 8/20(火) ▼0.32(0.30%)
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