更新日:2020年2月5日(水)
米10年債利回りは2018年に3.2%まで上昇しましたが、それ以降は低下基調が続きます。昨年夏には1.5%割れまで低下後、秋に2%付近まで反発後、今年にかけて再び1.6%まで反落。足下では1.5%台まで下げて2月4日に1.6%。
市場が推測する期待インフレ率(BEI:Break Even Inflation rate)は、2018年の2.1%付近から低下傾向、2019年には1.5%まで下げて年末に1.8%へと反発、そして現在は1.6%台へと反落。
この結果、長期金利-期待インフレ率で示される、実質金利は1月末にマイナス圏入り。1月31日には-0.14%まで低下、2月3日も-0.10%、2月4日時点でも米10年債利回りは期待インフレ率の1.64%を上回らず、実質金利は-0.04%。ここ1週間余りは実質金利のマイナス圏推移が続きます。
この実質金利とNY金の推移は比較的連動性(逆相関)が強く、90日相関係数で比較すると、2月4日時点でのNY金と10年債利回りとの関係は-0.3829で逆相関はやや弱まっているのに対し、NY金と実質金利との関係は-0.80と逆相関関係が強い状態を示します。昨年秋には-0.97台まで逆相関が強まる時期もありました。
長期的な推移でも両者の逆相関は強く、2013年春にNY金が暴落した時に、実質金利はマイナス圏からプラス転換へと急上昇していました。
そして、昨年夏にNY金は2013年夏以降の高値圏、1400ドルの節目を突破して一段高となっていました。実質金利のほうは、2013年春のプラス転換以降は、何度かマイナス圏トライも0ラインにサポートされて切り返す展開が続きましたが、ここに来てようやく、マイナス圏トライに成功した可能性を示す状態にもなってきました。
足下でNY金は短期的な調整局面入りの様相にもなってきましたが、実質金利のマイナス圏入りが本格化、7年ぶりに常態化するようだと、NY金も歴史的高値圏へと水準を切り上げてきた状態を維持しやすくなりそうです。
4日のNY金相場は-26.9ドル、1.7%の大幅安で3日続落。下げ幅は今年最大で昨年11月5日(-27.4ドル、1.81%)以来、3カ月ぶりの大幅安。3日続落となるのも昨年11月12日以来、約3カ月ぶり。1月16日(1550.5)以来、3週間ぶり安値水準に。週明け時間外スタート直後につけた高値1598.5ドルを起点とする調整局面2日め。この日の時間外は1580ドル台前半での揉み合いスタート、欧州時間にかけて1570ドル台前半へと軟調推移、NY朝に1570ドルを割れると一段安となって1560ドル割れ。1月末安値1560ドル台でサポートされることなく、素通りしたことで調整幅拡大、NY午後には一時1550ドル台前半まで下落。新型肺炎の感染拡大は続くものの、中国人民銀行の連日の大規模資金供給もあり上海株も反転、リスク回避の巻き戻しの流れを後押しし、米株は続伸でダウは一時500ドル高、ナスダックは2%超の続伸で再び過去最高値更新。米12月の製造業受注指数も好結果となり、米10年債利回りも1週間ぶりに1.60%台を回復するなど、この日のNY市場はリスク選好の流れ。NY金は1月安値圏1540ドル台までもう少しの下げ余地も。
NYプラチナは-4.6ドル、0.47%の反落。時間外には株高の流れに連動するように堅調推移となり、970ドル付近から抵抗水準となる月末高値圏980ドル超へと上昇。欧州時間には980ドル台半ばでの揉み合いとなり、抵抗線に切り替わった感もある20日移動平均線(990.1)手前で失速。NY朝には金の急落に連れる形で戻り売り、980ドルを割れると急反落の展開となって一時960ドル付近まで20ドルの下落。ただし、保ち合い下限となる960ドルのサポートを維持して960ドル台後半へ。960ドルから980ドルまでの保ち合いレンジの上限と下限の固さを確認する形に。目先、上抜けできれば1000ドルの大台再トライへ、下抜けの場合には940ドル台までが下値目安に。
ドル円は80銭超、0.76%のドル高円安となって大幅続伸。東京時間朝につけた安値108円50銭台から、日経平均の反発と上海総合指数の反発も好感する形で米10年債利回り上昇とともにリスクオンの流れがコンスタントに継続。欧州時間に109円台を回復するとNY時間には一時109円50銭台まで上昇、1月22日(109.85)以来、2週間ぶりの高値水準に。サポート線から抵抗線に切り替る可能性もあった90日移動平均線(108.87)を超えて一段高となり、短期調整局面を終えた可能性も。短期的には目先の米経済指標の好結果などを材料に今年高値圏110円台を試しに行く可能性は高まり、中期的には昨年高値112円40銭台辺りまでを目指すような流れとなる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/4終値とチャート
5日の国内金価格は-44円、0.73%の続落で1月14日(5946)以来、3週間ぶりの安値水準。意外にも続落となるのも1月14日以来、3週間ぶり。この3週間は下落日の翌日には必ず反発、もしくは続伸というパターンを繰り返し、下値切り上げ気味の高値保ち合いを形成。しかし、いくつかの反落警戒サインが示唆していたとおりの下方ブレイク。年初の日、1月6日につけた今年安値5927円近辺、5920円前後までが目先の下値目安に。
プラチナ価格は+18円、0.49%の続伸。過去、比較的素通りしがちだった3700円から3800円までの真空地帯におそるおそる片足を踏み入れた状態にも。しかし、NYプラチナが反発しそうでし切れない状態でもあり、この価格帯を素通りできるような勢いは想定し難いところ。チャート形状的には3670円の下値サポートを維持しての保ち合い形成でエネルギーを溜め込むことで大幅反発への勢いも。目先、サポートを割れると今年安値3630円トライへ。
※参考:金プラチナ国内価格2/5とチャート
2020年2月5日(水)時点の相場
国内金:5,959 円 2/5(水) ▼44(0.73%)
国内プラチナ:3,703 円 2/5(水) ▲18(0.49%)
NY金:1,555.5 ドル 2/4(火) ▼26.9(1.70%)
NYプラチナ:966.1 ドル 2/4(火) ▼4.6(0.47%)
ドル円:109.51 円 2/4(火) ▲0.83(0.76%)
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