更新日:2020年2月22日(土)
製造業PMIの推移で見る日米欧の景気情勢には、変化の兆しが見られます。
ユーロ圏の2月製造業PMI速報値は49.1。節目の50割れは13ヵ月連続となったものの、市場予想の47.4を大幅に上回って1月の47.9からも上昇し、1年ぶりの高水準。
フランスが49.7と予想外の50割れとなって半年ぶり低水準へと落ち込んだのに対し、ドイツは14ヵ月連続50割れも47.8となって市場予想と前月を大幅に上回る想定外の好結果で13ヵ月ぶりの高水準。
ドイツの製造業は生産、新規受注、雇用がいずれも縮小傾向が続くものの、その勢いは緩和しており、安定化に近づく状況となってきているようです。
新型コロナウイルスの影響で需要減速の兆しも見られ、生産の停滞にもかかわらず、ユーロ圏のサービス業を含めた総合PMIは2月速報値で51.6となり、3ヵ月連続の上昇で半年ぶりの高水準。
今後の見通しについても、1月からは若干低下したものの、2019年と比較すると大きく楽観方向へと傾斜しているようです。
なお、リセッション入りも警戒される日本の2月速報は47.6。10ヵ月連続節目50割れとなり、2012年12月以来7年2カ月ぶりの低水準へと落ち込んでいます。
そして10年以上節目50を割れたことがない米国の製造業PMIは2月速報では50.8。市場予想を下回って半年ぶり低水準。これはともかく、サービス業PMIが49.4、結果、総合PMIも49.6。いずれも2013年10月以来、6年4カ月ぶり低水準、節目50割れへと落ち込んでしまいました。
サービス業の新規受注が10年超ぶりの低水準となったことが大きく足を引っ張ったようです。その背景には新型コロナウイルスの影響が指摘されています。
ダントツの勢いで低迷が続いたドイツが足を引っ張ってユーロ圏の景気悪化が続き、日本もこれに追随、米国だけは減速傾向となるなかでも景気拡大ペースを維持しての推移。
そんな構図となった2019年から、年が明けて2020年はドイツが急回復の兆しとなってユーロ圏景気を下支え。伸び悩むフランスが2月には景気縮小エリアへと後退するなど一朝一夕にユーロ圏の回復も進まない可能性も示しながら、ドイツの製造業PMIは17ヵ月ぶりに日本を逆転。ユーロ圏も12ヵ月ぶりに日本を上回って節目の50も視野に。
そして、世界経済の牽引役となる米国では、年が明けて新型肺炎リスクも予想以上に影響拡大の可能性も示唆、製造業とサービス業の景況感の強弱関係は逆転し、総合PMIではユーロ圏との位置関係も逆転。
2020年は明らかに昨年までとは異なる展開へと、動き始めているようです。
21日のNY金相場は+28.3ドル、1.75%高となって7日続伸。7日続伸は1月7日以来、1ヵ月半ぶり。上げ幅としては今年最大、米中対立が激化していた昨年8月23日(+29.1ドル、1.93%)以来、半年ぶりの急騰。2013年2月12日(1649.6)以来、7年ぶり高値水準に。
欧米主要株価指数が過去最高値圏から続落となり、ドルインデックスが2年10カ月ぶり高値から反落、ドル高の巻き戻しが急速に進行し、低下基調が続く米10年債利回りが1.5%を割り込んで約半年ぶり低水準となった流れに呼応する形で堅調推移となったNY金。短期上値目標1620ドル台到達による一服感も束の間、時間外から水準を切り上げる流れは止まらず、NY市場ではマークイット発表の2月PMIが予想外の低調となって1640ドル超え、一時1650ドル台へと一段高。新型肺炎感染拡大懸念は続き、押し目待ちに押し目なし状態となる一方でオシレータ系指標の逆行は続き、過熱感も増す状況。さらに上値を試すにはそれなりの調整も必要に。11月安値からこの日の高値までの23.6%戻し(1603.5)辺りまでは調整目安の範囲にも。
週間ベースでは+62.4ドル、3.93%の続伸。昨年6月17日からの週(+55.6ドル、4.14%)以来、8ヵ月ぶりの急騰。
NYプラチナは-2.9ドル、0.3%の小幅続落。前日の急落からの一服状態となって時間外は980ドル台での小幅揉み合い推移、NY朝には金に追随しての反発も990ドルで頭打ち、逆に株安の流れに追随する形にもなって980ドル割れへと小反落。急騰、急反落となった後、970ドル台では下げ渋る格好にもなり、ここから960ドルまでは比較的堅めのサポート水準となる可能性も。しかし、ゆるやかに低下する20日移動平均線(979.0)を下回って短期的な流れも下方向へと傾斜。960ドルの重要な節目を割れると一段安の展開で910ドル台までが下値目安に。
週間では+7.3ドル、0.75%の反発。
ドル円は約50銭のドル安円高となって5日ぶりの反落。東京朝には前日高値112円20銭で上値を押さえられて調整へ。欧州時間にはユーロの買い戻し主導でドル安の流れが強まり、111円40銭台まで下落。しかし、格好の押し目となって買い戻されるとNY時間にかけて一時112円を回復。すると米2月の製造業、サービス業ともにPMIが予想外の低調となったことを受けて株安、金利低下の流れとともに再び111円40銭台まで急降下。長期三角保ち合い上方ブレイクに向けて、1月安値から前日高値までの23.6%戻し(111.13)辺りまでの調整では留めて置きたいところ。短期的には112円10銭台の節目を上抜けることができれば113円付近まで上値を切り上げる展開にも。
週間では+1.79円、1.63%高で3週続伸。2018年7月9日からの週(+1.91円、1.73%)以来、1年7ヵ月ぶりの急騰。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/21終値とチャート
2020年2月22日(土)時点の相場
国内金:6,355 円 2/21(金) ▲92(1.47%)
国内プラチナ:3,830 円 2/21(金) ▼50(1.29%)
NY金:1,648.8 ドル 2/21(金) ▲28.3(1.75%)
NYプラチナ:976.1 ドル 2/21(金) ▼2.9(0.30%)
ドル円:111.58 円 2/21(金) ▼0.49(0.44%)
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