更新日:2021年4月22日(木)
米国経済指標の予想以上の好結果が続く状況なども背景に、金融政策正常化に向けて雇用のさらなる改善とインフレ上昇懸念が強まる昨今、この3-4月のNY連銀やミシガン大などの調査結果ではインフレ期待も3%台へと上昇の勢いが強まる傾向にあります。
債券市場で日々算出される期待インフレ率(BEI)では、3月末に2.37%まで上昇し、2013年4月29日(2.37)以来、7年11ヵ月ぶり高水準となり、4月に入ってからは上昇一服ながら、2.3%台での高止まり状態が続きます。
しかし、FRBが独自に算出するインフレ期待値では、それほどの上昇は見込まれてはいないようです。
共通インフレ期待指数(CIE:Index of Common Inflation Expectations)は、FRBが実験的に公表している研究データで、動的因子モデルを使用して21の様々なインフレ期待指標の構成を要約し、四半期毎に算出されるインフレ期待モデル。
この指数、CIEでは3月時点で2.01%。2014年12月(2.01)以来、6年3ヵ月ぶりの高水準となっています。最近では、昨年3月に過去最低となる1.93%まで低下し、9月以降は3四半期連続の上昇。
過去の推移を見ると、インフレ期待は1999年から2012年までは2.1%近辺で比較的安定推移、2012年から2016年にかけて低下基調、その後は2%割れの低水準での推移が続いています。
水準こそ違うものの、上下動の推移はミシガン大の5-10年インフレ期待値の推移と類似しています。
また、長期平均では2.06%となり、現状はこれを大きく下回る水準での推移が続きます。FRBがインフレ加速への警戒感をあまり示さない理由の一つとなっているのかもしれません。
この日、カナダ中央銀行が世界に先駆けてパンデミック対応に伴う金融緩和の規模縮小をスタート。利上げの目処も2022年へと前倒しとしたことで、今後は米FRBのテーパリング観測へも影響しそうです。
ただしFRBの金融政策正常化、利上げスタート時期の前倒し観測については、このインフレ期待値が長期平均を超えて、2.1%辺りまで上昇する必要性もありそうです。
21日のNY金相場は+14.7ドル、0.83%の続伸で2月24日(1797.9)以来、ほぼ2ヵ月ぶりの高値。時間外には1776ドルの安値から、前日NY市場で上げ渋った1780ドルをあっさりと上抜けて1780ドル台後半へと10ドル程の上昇。欧州時間には米10年債利回り上昇とともにドル高の流れとなって1780ドル割れ、しかしNY市場で流れが反転すると1798ドルまで20ドル程の急騰。1780ドルの節目超えに伴う短期上値目標1800ドルの大台近辺に到達し、90日移動平均線(1799.9)にいったん上値を押さえられた形に。目先は一服感からも1770ドルの下値サポートまでのレンジで保ち合い形成の展開にも。1770ドル割れの場合には4月前半までの保ち合い圏1740ドル近辺が短期下値目安に。上方向には1800ドルの大台超えへと水準を切り上げることになれば、いずれ年初来下落幅の半値戻し(1817.9)から1820ドル近辺が意識されるような展開にも。
NYプラチナは+18.4ドル、1.54%高で3日ぶりの反発。4月8日(1235.4)以来、2週間ぶりの高値。金に連動する形で時間外には1180ドル台から1200ドルへと反発も欧州時間には元の水準へと押し戻され、NY市場では1220ドル台まで40ドル弱の急反発。上ヒゲ十字線後の反落をわずか1日で切り返し、その陰線実体部をカバーする形の陽線、包み線を形成して今度は反発基調を示唆。日々、方向感が入れ替わる微妙な状態を示しながらも、流れはゆるやかに上方向へと傾斜。1210ドルの節目上抜けに伴い、もう一段上値を試しに行く可能性。短期上値目標は4月高値圏1240ドル近辺まで。下方向には1190ドルがサポート、割れると流れは逆転、3月末安値1160ドル辺りまでが下値目安に。
ドル円は前日からほぼ変わらず、108円付近での横ばい推移。リスク回避優勢となった前日の流れを受けて東京朝には108円割れでの推移が続いたものの、107円80銭台では底堅く、東京午後以降は下値を107円90銭台に切り上げての保ち合い推移。欧州朝にかけての反発局面でつけた高値も108円30銭手前まで、その後は徐々に上値も切り下げてNY朝には108円20銭近辺まで、材料不足もありNY市場では108円00銭台での小幅揉み合い推移の展開に。日足レベルでは短期下値目安108円近辺に到達後の一服状態が続き、一方的に下げたことによる過熱感の解消に向けては自律反発よりも日柄調整の様相にも。目先、下方向には年初安値から3月末高値までの38.2%戻し(107.77)近辺が意識され、上方向には5日移動平均線(108.37)が重石に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/21終値とチャート
22日の国内金価格は+55円、0.82%の続伸。90日移動平均線(6697)超えを維持したまま、9日移動平均線(6703)も半年ぶりに90日線をゴールデンクロス。4月2日を起点に上下双方向にレンジを拡大してきた逆三角保ち合いを2回連続での上抜けトライとなり、気がつけば上放れとなる可能性も。短期的には保ち合い崩れとなり、もう一段上値を伸ばす可能性は高まり、上値目標は6810円近辺まで。6700円の大台ラインが目先の下値サポートとなり、割れると逆三角保ち合い継続へ、6640円近辺までが下値目安に。
プラチナ価格は+96円、2.14%の反発。前日の下げ幅をカバーして折返し、4月9日(4677)以来2週間ぶりの高値。9日移動平均線(4528)と21日移動平均線(4559)をまとめて上抜け。これらのラインとは抜きつ抜かれつの揉み合い状態での上下動を繰り返し、概ね横ばい推移の状態にも。それでも短期的にはもう一段上値を伸ばしやすい状況にもなり、目先のターゲットは3月高値4630円台。下方向には4490円が比較的重要なサポート、割れると下値トライ再開へ、3月末安値圏4410円台辺りが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格4/22とチャート
2021年4月22日(木)時点の相場
国内金:6,776 円 4/22(木) ▲55(0.82%)
国内プラチナ:4,589 円 4/22(木) ▲96(2.14%)
NY金:1,793.1 ドル 4/21(水) ▲14.7(0.83%)
NYプラチナ:1,214.7 ドル 4/21(水) ▲18.4(1.54%)
ドル円:108.07 円 4/21(水) ▼0.01(0.01%)
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