更新日:2021年12月16日(木)
インフレ見通しを軌道修正してタカ派転換、テーパリングの終了時期前倒しを公言し、早期利上げも既定路線へと事前織り込みがある程度浸透した状態で臨んだ2021年最後のFOMC。
資産購入終了時期を来年3月に前倒し、これは想定どおり。2022年のうちに0.25%の利上げを3回、との見通しは想定より若干タカ派的との見方と、想定の範囲内との見方が交錯するような反応となり、小幅にドル高となって株価と金は小幅に急落。しかし、その後はパウエル議長会見を経て巻き戻しの展開へ。
パウエル議長は会見で「米国経済はもはや量的緩和を必要としていない」と明言し、「最大雇用に向けて急速に進展」していることを強調。そしてインフレへの警戒感を明確にし、インフレ対策前倒しに舵を切るFRBのインフレ・ファイターとしての姿勢を好感したような展開となって、ドル安と株高が進行。
なお、2022年にドットチャートどおりに3回の利上げなら、FF金利は現状の0.00-0.25%から、2022年末には0.75-1.00%。
この間、失業率の予想中央値では、2021年末の4.3%から2022年末には3.5%へと低下見通し。
PCEインフレは2021年末の5.3%から2022年末には2.6%へ。コアPCEも4.4%から2.7%へ。
失業率はともかく、供給問題や半導体不足や原材料不足、原油価格上昇、住宅価格も上昇し始め、需要もさらに強まることも想定される2022年、3回の利上げでインフレ鈍化が想定どおりに進行するのかどうか。スタグフレーション懸念やコロナ動向、さらには米中対立なども踏まえて不透明感を払拭し切れるかどうかにも不安も。
そんな状況とインフレヘッジも含め、金も下げ渋る状況となっています。
15日のNY金相場は-7.8ドル、0.44%の続落で12月2日(1762.7)以来、2週間ぶりの安値。FOMC前の様子見状態となった時間外は1770ドルを挟んでの小幅揉み合い推移、NY市場では米10年債利回りの上昇を受けて1760ドル台前半へと軟調推移。NY引け後のFOMC結果を受けては小幅に急落の反応、10月12日(1750.5)以来2ヵ月ぶり安値となる1750ドル台前半まで下げて切り返し。想定以上のタカ派という印象から、想定の範囲内といった思惑も交錯、早めのインフレ対策を好感する向きもあり、ドル高の流れが巻き戻されると株高の流れとともにNY金も反発の流れが加速して1780ドル台を回復。日足レベルでは1770ドルの節目割れに伴う下値目安1730ドル台までの下落余地も、1750ドル付近までで下値トライを終えた可能性。1760ドルが当面の下値サポートとなり、1790ドルまでのレンジでいったん保ち合い形成にも。
NYプラチナは-16.7ドル、1.83%安で5日続落。5日続落は11月後半以来、1ヵ月ぶりで今年3度め。水準としては今年安値を更新し昨年11月12日(884.0)以来、1年1ヵ月ぶりの安値。時間外は920ドルの節目手前で上値を押さえられて軟調推移、ロンドン時間に900ドルで下げ渋ってNY朝には910ドル台へと反発も戻り売り。900ドルの大台を割れると短期下値目安890ドル台の今年安値トライへ、一時890ドルも割れて安値でも今年安値を更新し、昨年11月13日安値(880.0)以来1年1ヵ月ぶり安値となる886ドルまで下落して反発。FOMC後の反落ではこれを下回らず、その後の反発局面では金にも追随する形となって910ドル台を回復。保ち合い崩れからの下値目安到達とともにイベント通過となって巻き戻し、目先の下値サポート候補は890ドルか、900ドルの大台ラインか、という状況にも。
ドル円は30銭のドル高円安、0.26%高で3日続伸。11月25日(115.35)以来、3週間ぶりの高値。前日終値水準113円70銭台を中心に小動きとなって東京時間をやり過ごし、FOMCでのタカ派傾斜を見越して欧州時間から徐々に上値を切り上げて113円90銭を試す展開へ。インフレ高止まりへの警戒感を強調し、想定どおり、あるいはそれ以上にタカ派傾斜を強めたFOMC後には114円20銭台まで急騰。パウエルFRB議長会見を経て114円近辺まで失速も、ほぼ114円台を維持して今朝の東京市場では114円20銭台再トライにも。意外と伸び悩んだ感もありながら、半月ぶりに20日移動平均線(113.84)も上抜け、113円70銭の節目超えに伴う短期上値目標114円台半ばまで、もう少しの上昇余地も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/15終値とチャート
16日の国内金価格は+49円、0.69%の反発で11月30日(7153)以来、半月ぶりの高値。FOMC後のNY金の売りは限定的にとどまり、反発の勢いのほうがむしろ想定外となったことにサポートされて国内金価格も7090円台の節目割れを回避、逆に確率的にはかなり低いと想定していた7130円台の抵抗水準を突破。NY金の反発基調が続くようなら一段高の展開も想定され、当面の上値目標としては11月高値(7483)から12月安値(7036)までの半値戻し(7260)、7250円近辺まで。
プラチナ価格は+9円、0.24%高となって3日ぶりの反発。FOMC後のNYプラチナの動向からは下値トライ一服となって巻き戻しの展開へ、となっても良さそうな状況ながら、いかんせん反発力の弱さが。9日移動平均線(3751)を上抜けることもできず、弱気のパーフェクトオーダーが崩れることもなく、下押し圧力は払拭し切れず。短期下値目安3670円程度まで若干の下値余地を残しながら、徐々に下げ渋って足場を固めるような展開にも。
※参考:金プラチナ国内価格12/16とチャート
2021年12月16日(木)時点の相場
国内金:7,148 円 12/16(木) ▲49(0.69%)
国内プラチナ:3,703 円 12/16(木) ▲9(0.24%)
NY金:1,764.5 ドル 12/15(水) ▼7.8(0.44%)
NYプラチナ:894.2 ドル 12/15(水) ▼16.7(1.83%)
ドル円:114.05 円 12/15(水) ▲0.30(0.26%)
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