更新日:2022年1月8日(土)
非農業部門雇用者数の伸びが前月比+19.9万人にとどまり、市場予想の半分にも満たないネガティブ・サプライズとなった12月雇用統計。ただし、失業率は4.1%予想にたいして3.9%となってコロナ後初の4%割れへと改善傾向は止まらず。強弱混在の結果にやるせなさを抱え、事前の期待感の吐き出しどころを見失った様子の市場は小幅に乱高下。
印象として非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが極めて予想外に低調となったことが象徴的となった12月雇用統計。NFP以外にも低迷状態を示す指標も散見されます。
長期失業者の割合は31.7%となり、1年3ヵ月ぶり低水準となって改善傾向が継続。しかしながら、コロナショック直後には短期失業者急増によって長期失業者の割合が急減し、その後は短期失業者の職場復帰とともに長期失業者の割合が急増。2021年3月(43.2)にようやくピークをつけて減少に転じたものの、足下では2020年1-2月(20.2-19.1)の20%近辺には程遠い水準で停滞気味に。
失業率は好調で、広義の失業率、U6失業率も7.3%となって2020年2月(7.0)以来、1年10ヵ月ぶりの低水準となって急回復基調が継続。
ただし、黒人失業率は11月の6.5%から12月は7.1%へと反発。失業率が前月比-0.3%、U6失業率が-0.4%となったのに対して黒人のそれは+0.6%と急増。
労働参加率は61.9%で横ばい推移、2020年3月(62.6)以来の低水準ながら1年9ヵ月前の水準には遠く及ばない水準での伸び悩み。
高卒者の労働参加率は55.7%での横ばい推移となり、さらに下方乖離水準で停滞中。
人口に対する雇用率は11月の59.3%から12月は59.5%へと上昇。2020年3月(59.9)以来の高水準へと回復しながらも、2020年2月(61.2)以前の水準には開きがあり、回復スピードも2021年に減速しており、現状ペースなら60%回復も年後半か、という状況。
賃金上昇率は前年比+4.7%となって前月までの5%台からはやや減速しながらも、市場予想の+4.2%程度を大幅に上回り、高止まりで賃金インフレ状態も継続。
賃金インフレが物価インフレ押し上げ要因の一つにもなり、しかも消費者物価は賃金上昇率をさらに上回る高インフレ状態。
これが、米10年債利回り上昇と3月利上げの確率を高める要因にもなった様子で、期待はずれからのドル安の流れとは逆行状態にも。
7日のNY金相場は+8.2ドル、0.46%の反発。1790ドル付近での小幅揉み合い推移でNY朝、やや意表を突かれたような雇用統計の結果に小幅乱高下の反応。1795ドル付近まで急騰後にはこの日の安値1781.3ドルまで反落、その後は1790ドル付近での揉み合いを経てNY午後には1798.4ドルまで上昇。為替が小幅乱高下をはさんでドル安基調となったことにサポートされた反面、米10年債利回りがほぼ1年ぶり高水準となる1.76%台へと上昇したことで上値も重い状態に。結果的にこの日の変動値幅は17.1ドルにとどまり、昨年平均25.1ドルの7割にも満たない小動きに。1800ドルの節目割れに伴う下値目安1760ドルを目指した流れはいったん巻き戻され、90日移動平均線(1792.8)上抜けへと反発。しかし200日移動平均線(1799.4)には届かず、1800ドルの大台ラインがレジスタンスとなるようだとこのまま軟調な展開にも。1780ドル台の下値サポートを維持できなくなれば1770ドル前後までは下値拡大へ。
週間ベースでは-31.2ドル、1.71%安となって5週ぶりの反落。
NYプラチナは-4.2ドル、0.44%の続落。時間外は960ドル台での小幅保ち合い、ロンドン市場では一時960ドル割れから970ドル台へとわずかに振れ幅拡大後、NY市場では戻り売り。雇用統計後の小幅乱高下を挟みながら970ドルから一時950ドル割れへと20ドル余りの急反落、NY午後には950ドル台後半へと収束し、20日移動平均線(951.0)と950ドルの下値サポートをしっかりキープ。ただし、この日の変動値幅は24.5ドルとなり、昨年平均34.1ドルの7割強にとどまり、上値の重さも。980ドルから970ドルの抵抗感が払拭できなければ徐々に下押し圧力が強まる展開にも。強めのサポートとなりつつある950ドルの節目を割れるようだと下値トライ再開、920ドル前後までが下値目安に。
週間ベースでは-9.7ドル、1.0%の続落。
ドル円は29銭のドル安円高、0.25%安で3日続落。東京朝に一時116円05銭付近まで上昇してこの日の高値をつけ、欧州時間にかけては116円ラインにかすりもせずに小幅揉み合い推移となったのが、その後の反落基調を示唆していた感も。NY朝には115円80銭近辺での保ち合い状態となり、ハシゴを外された格好となった雇用統計後には115円90銭台から70銭割れへと小幅乱高下の後、米長期金利上昇には追随できず、ドル安の流れが強まって115円80銭から60銭近辺へと軟調推移。NY終盤には前日までの安値115円60銭台を維持し切れず、50銭台へと下値切り下げ。それでも11月末安値から1月高値の23.6%戻し(115.45)までの浅めのサポートで下げ渋り、上値トライ一服の範囲内にとどまった様子も。早期利上げ観測は強まる状態にあり、116円20銭台の節目上抜けなら117円トライの可能性は継続。ただし115円台半ばを維持できなくなれば調整局面拡大へ、38.2%戻し(114.89)近辺までが次の下値目安にも。
週間ベースでは+47銭、0.41%高で5週続伸。5週続伸は昨年10月以来、3ヵ月ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/7終値とチャート
2022年1月8日(土)時点の相場
国内金:7,280 円 1/7(金) ▼82(1.11%)
国内プラチナ:3,914 円 1/7(金) ▼54(1.36%)
NY金:1,797.4 ドル 1/7(金) ▲8.2(0.46%)
NYプラチナ:956.5 ドル 1/7(金) ▼4.2(0.44%)
ドル円:115.56 円 1/7(金) ▼0.29(0.25%)
Copyright(C) Let's GOLD