更新日:2022年3月17日(木)
パウエルFRB議長の事前宣言どおり、0.25%の利上げでゼロ金利を解除、利上げフェーズのスタートを決定した3月FOMC。
年間8回開催されるFOMCのうち、3月以降の7回全てで0.25%づつの利上げが基本シナリオというタカ派見通しは、週初時点でCMEフェドウォッチが示唆していたとおりの見通し。
FOMC結果発表後には、一時的に長期金利上昇とドル急騰、米株急落にNY金も小幅に急落。しかし、反応は限定的にとどまっていずれも巻き戻し。
マーケットへの事前織り込みが十分浸透していた結果でもあり、これだけのタカ派的な内容でも市場の波乱を回避したのはFRBの功績と言えそうです。
なお、前回の2.6%から4.3%へと大幅に引き上げられた2022年末のPCEインフレ見通し達成の為にも、今年7回の利上げは必要との見通し。
さらに、2023年には3回ないし4回の追加利上げでPCEは2.7%程度まで低下するだろうとの見通し。
そして2024年には利上げなしでもPCEインフレは2.3%まで低下し、長期見通し2%へと収束していくだろう、との見通し。
来年以降の利上げ見通しについてはほとんどアテにはならないものの、40年ぶり高インフレで前年比+8%近辺まで高騰している消費者物価(※PCEは6%台)が、今後2年弱の期間で2%台まで収束していくのかどうか、しかも既に完全雇用達成レベルの低失業率を維持した状態で、「極めて力強い」米国経済を維持したままでのインフレ抑制が達成できるのかどうか、FRBの手腕が問われる、困難なフェーズがスタートします。
16日のNY金相場は-20.5ドル、1.06%安で4日続落。2月28日(1900.7)以来、半月ぶりの安値。FOMCを前に膠着状態となった時間外は1920ドルを挟んでの小幅揉み合い推移、ウクライナとロシアの停戦協議進展期待も高まり、NY市場では1900ドル付近へと軟調推移。NY引け後のFOMC結果発表後には一時的に1900ドルを割れて折り返し、パウエルFRB議長会見を経て1930ドル付近まで反発。タカ派的な結果にも十分な事前織り込みから、米長期金利急騰とドル高の反応も直後に巻き戻された流れに連れ、米株の急反発とともに金も持ち直し。結果的に1月安値(1780.6)から3月高値(2078.8)までの61.8%戻し(1894.5)でしっかりサポートされ、半値戻し(1929.7)を回復、重要イベント通過で一服という展開に程良い水準にも。1900ドルの大台ライン付近が当面の下値サポートとなるかどうか。反発方向へは20日移動平均線(1939.3)が抵抗線候補。
NYプラチナは+5.6ドル、0.56%高で6日ぶりの反発。前日NY引け後につけた安値981.2ドルで、ここまでの短期下落局面底打ちの可能性を残す形で時間外から反発基調。ロンドン市場までに1000ドルの大台を回復すると、NY市場では1010ドルを挟んでの保ち合い。NY引け後のFOMCを経て金に連れての小幅乱高下でも大台を維持して1020ドルトライへと反発。1000ドルの大台ラインが目先の下値サポートとなり、割れるようだと改めて前日安値980ドル近辺まで水準を切り下げる可能性。上方向には90日移動平均線(1011.5)超えを維持できれば、200日移動平均線(1026.5)との攻防にも。
ドル円は48銭のドル高円安、0.41%高となって8日続伸。8日続伸は2016年10月以来、5年5ヵ月ぶり。水準としては2016年2月2日(119.96)以来、6年1ヵ月ぶりのドル高円安。東京朝に前日高値118円40銭台を試すも上値を押さえられ、その後は118円30銭台を中心に小幅揉み合い推移。NY午後には米10年債利回りとドル高の流れが徐々に強まり、短中期上値目標2016年12月と2017年1月高値118円60銭台に到達。その後FOMC結果を受けて119円10銭台まで急騰後に失速、それでも急騰前の水準118円60銭近辺で下げ渋ると70銭台へと小反発。今朝の東京市場では再び119円を試す場面も。タカ派的な結果も想定の範囲内ということもあり、若干の調整も。過熱感を振り切ってさらなる上値トライで120円の大台を目指す可能性も若干残されながら、この日の高値を超えられなければ調整へも。1月安値(113.47)から3月高値(119.12)までの23.6%戻し(117.79)辺りまでが浅めの調整目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/16終値とチャート
17日の国内金価格は+55円、0.69%高で4日ぶりの反発。FOMC後のNY金の反発にサポートされ、最高値更新後1週間の急反落局面にいったん区切りをつけることになるかどうか。流れとしては調整局面入り、下抜けたばかりの9日移動平均線(8094)にも届かず。これを回復できないようだと、ロシア停戦に向けた思惑からのリスク回避の巻き戻しとともにドル円の高値トライ一服感も加わり、下押し圧力が高まる可能性も。7980円台の節目を割れるようなら一段安となって7900円前後までが短期下値目安に。
プラチナ価格は+142円、3.46%の大幅高で3日ぶりの反発。上げ幅としては今年の絶対値平均59円の2.4倍、今年3番めの急騰も前日下げ幅も埋め切れず。地合い回復に向けては21日移動平均線(4323)回復が必須。これを回復し、4350円の節目も上抜けることができれば上昇余地拡大へ、4400円台回復が短期目安となって強気相場回復へとつながる可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格3/17とチャート
2022年3月17日(木)時点の相場
国内金:8,043 円 3/17(木) ▲55(0.69%)
国内プラチナ:4,241 円 3/17(木) ▲142(3.46%)
NY金:1,909.2 ドル 3/16(水) ▼20.5(1.06%)
NYプラチナ:1,008.1 ドル 3/16(水) ▲5.6(0.56%)
ドル円:118.76 円 3/16(水) ▲0.48(0.41%)
Copyright(C) Let's GOLD