更新日:2022年3月19日(土)
ウォラーFRB理事はこの日、「今後数回のFOMCで0.5%利上げも検討すべき」とのタカ派発言。「途方もない」インフレ抑制のためにはバランスシート縮小も7月までに開始すべきとの見解も。
今回の3月FOMCでも地政学リスクがなければ0.5%利上げを支持していたことも打ち明け、年末までには自身が中立金利と見なす「2.00-2.25%までの利上げ」が望ましいとの発言も。
また、3月FOMCで既に0.5%利上げを支持して唯一の反対票を投じたセントルイス連銀ブラード総裁は、「年末FF金利を3%超」とすべきと提言した、との発言。
さらに、リッチモンド連銀バーキン総裁もインフレ動向によっては「0.5%利上げにも極めてオープン」と肯定発言。
FRB高官の相次ぐタカ派発言もあり、この日のドル円はNY市場で一段高、一時119円40銭近辺まで上昇。
ドル円は2020年12月安値を起点とする上昇チャネルを形成し、長期三角保ち合いを上方ブレイク、月足一目均衡表でも三役好転となってさらに一段高。足下のドル高地合いに加え、逆行する日米金融政策と黒田日銀総裁の円安肯定発言などもサポート材料に。
その黒田シーリングとも言われた2015年6月高値125円80銭台から2016年6月安値99円10銭台までの76.4%戻し(119.55)も射程圏内に。年末FF金利2%への可能性が高まるようなら、ドル円は120円の節目突破も現実的となり、いずれ100%戻しすら意識される場面も来るかもしれません。
なお、国際決済銀行(BIS)が前日発表した2月の実質実効為替レートは月間平均で日本円が66.54、米ドルは119.83。日本円は2015年6月の67.63を1月に下回ってさらに一段安、1994年以降のBISデータでは過去最安値を2ヵ月連続で更新。20年平均乖離率は-24.08%となって2016年1月以来、6年1ヵ月ぶりの大幅下方乖離。119ポイント台で高止まりの米ドルの20年平均乖離率は+9.73%となり、1年8ヵ月ぶりの大幅上方乖離。
歴史的なドル高円安水準を巻き戻す要因は、ファンダメンタル的にはあまり見当たりません。
18日のNY金相場は-13.9ドル、0.72%の反落。20日移動平均線(1944.3)との攻防からスタートした時間外、一時的にはこれを上抜けるも1946ドルまで。20日線が抵抗線となる形で戻り売り、1930ドル台へと水準を切り下げてロンドン市場では揉み合い推移、NY市場では1940ドル台が上限となって1930ドル割れへと一段安。米中首脳会談では習近平国家主席がウクライナ戦争を「望まない」ことを表明してリスク選好の株高の流れが強まり、複数のFRB高官のタカ派発言がドル高地合いをサポートしたことなどが売り圧力となり、NY引け後には一時1920ドル割れを試す場面も。20日線が推移する1940ドル台を上限に1900ドル台までが目先の主要レンジとなって保ち合い形成へ。上限突破できれば1月末安値から3月高値の38.2%戻し(1964.9)から1970ドル近辺までが戻り目安、下限を割れると61.8%戻し(1894.5)から1890ドル近辺までが下値目安に。
週間ベースでは-55.7ドル、2.81%安で3週ぶりの反落。4ヵ月ぶりの大幅安。
NYプラチナは+4.6ドル、0.45%高で3日続伸。ほぼ水平状態の90日移動平均線(1011.1)を3日前に割り込みながらも下ヒゲ陰線で底打ち、2日前には90日線でいったん上値を押さえられながら、前日にはこれがサポートに切り替わり、この日も流れをキープしての一段高。時間外の1020ドル台からロンドン市場では1040ドル台まで上昇。しかしNY朝には1040台を維持し切れず、金の軟調局面に追随、NY引け後には一時1030ドル割れ。実質的にこの日の上げ幅をほぼ帳消しにする形となり、3月高値(1197)から15日安値(981.2)までの23.6%戻し(1032.1)回復をかけた攻防状態のまま週末に。週明けにこれを維持できるなら、38.2%戻し(1063.6)を目指す展開にも。
週間ベースでは-52.7ドル、4.84%の大幅続落。続落は年末年始以来、2ヵ月半ぶり。下げ幅としては4ヵ月ぶりの急落。
ドル円は55銭のドル高円安、0.46%の反発で2016年2月2日(119.96)以来、6年1ヵ月半ぶりの高値。東京朝に一時118円50銭割れへと安値をつけて折り返し、米10年債利回りが2.18%台へと上昇した流れにも連れて118円80銭台を回復。日銀の金融緩和維持と黒田総裁の円安肯定発言などから夕方には一時119円トライ、欧州時間以降もドル高優勢の流れに堅調推移、FRB高官のタカ派発言を受けてNY朝には一時119円40銭近辺まで上昇。その後の調整も限定的となって119円10銭台、FOMC直後につけた高値をわずかに上回る水準を維持して週末に。次週、120円の節目トライが意識される展開にも。下値サポートは118円60銭、これを割れると118円近辺までが短期下値目安に。
週間ベースでは+1.85円、1.58%の大幅続伸。続伸は年末年始以来、2ヵ月半ぶり。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/18終値とチャート
2022年3月19日(土)時点の相場
国内金:8,087 円 3/18(金) ▲44(0.55%)
国内プラチナ:4,266 円 3/18(金) ▲25(0.59%)
NY金:1,929.3 ドル 3/18(金) ▼13.9(0.72%)
NYプラチナ:1,035.9 ドル 3/18(金) ▲4.6(0.45%)
ドル円:119.15 円 3/18(金) ▲0.55(0.46%)
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