更新日:2022年6月10日(金)
日米金利差拡大とドル高円安の流れは、強い相関性を維持して今年、連動してきました。しかしここに来て、徐々に変化の兆しも見られ始めています。
米10年債利回りとドル円、日米金利差とドル円、いずれの関係性も90日間の相関係数の推移で見ると、正の相関関係を示す0から1.0までのレンジでの推移する時間が圧倒的に長いものの、0.9台から時折マイナス圏へ、上下動を繰り返す展開となっています。
最近の折り返しで、90日相関係数が最低となったのは、ドル円と米10年債利回りが今年1月26日の0.4823、ドル円と日米金利差も今年1月26日の0.4814。ここから90日相関係数は徐々に上昇を続けます。
ドル円と米10年債利回りとの90日相関係数の最大は5月19日の0.9877。ドル円と日米金利差との90日相関係数の最大値は5月25日の0.9889。
ドル円と米10年債利回りとの90日相関係数は6月9日時点で0.9827、ドル円と日米金利差との90日相関係数は6月9日時点で0.9841。
依然として近年最大レベル付近にあり、強い相関関係を維持してはいるものの、いずれも既にピークアウトしています。
4ヵ月程度かけて上昇してきた90日相関係数の上昇サイクルは折り返し地点を過ぎ、過去の推移からは数十日から数ヵ月間の下降サイクルに入っているようです。
必ずしも逆相関関係に至るとは限らないものの、ドル円が節目の135円付近、米10年債利回りが3%台、日米金利差が2.8%台に到達し、それぞれの関係性に乱れが生じやすいゾーンに入ってきた可能性はありそうです。
9日のNY金相場は-3.7ドル、0.2%安で3日ぶりの反落。前日の小幅上昇分を打ち消す形となり、変動値幅も前日と同水準で前日と同じように小さな十字線を形成してわずかに下方シフト。アジア時間での1850ドル台後半が高値となり、ECBの7月緩和終了と利上げ示唆確認後にドル高の流れが急速に進行したことに連れてNY午前に1840ドル付近まで下落したのが安値。200日移動平均線(1842.3)と1840ドルの下値サポート確認後の自律反発も1850ドル台前半までと限定的、NY引け後には1850ドル割れへと軟調気味に。米5月CPI鈍化が予想に及ばずドル一段高となった場合にはサポート割れも警戒され、そうなれば今年安値圏1780ドル近辺までを目指す流れとなる可能性も、上方向には1870ドル台が当面の抵抗水準。
NYプラチナは-35.7ドル、3.53%の大幅安で3日続落。下げ幅としては今年の絶対値平均16.9ドルの2.1倍、今年7番めの急落となり、5月31日(968.3)以来10日ぶりの安値。アジア時間の1010ドル近辺での小幅保ち合いが崩れるとロンドン時間にかけて急落の展開に、90日移動平均線(1002.3)と200日移動平均線(996.4)をまとめて下抜けると下値余地となっていた990ドル程度までに到達。980ドル台半ばでは下げ渋る状態がNY午前まで続いたものの、NY午後にかけて980ドル割れへと一段安、NY引け後には970ドル割れを試す展開に。90日線超え、200日線超え、そして1000ドルの大台超えは1週間で力尽きた格好。パラジウムの2000ドル割れに追随した形にもなり、早期回復でききなければサポートになりきれなかった大台ラインが再びレジスタンスに切り替わる可能性も。
ドル円は11銭のドル高円安、0.08%高となって5日続伸。2002年2月26日(134.67)以来、20年3ヵ月半ぶりの高値。東京朝の一段高トライで134円50銭台まで上昇したのがこの日の高値となり、調整局面が進行。東京午後に134円を割れると欧州時間には133円10銭台まで下落。これが安値となって反発するとNY時間にかけては米10年債利回り上昇とともにドル高の流れが強まる展開に。新規失業保険申請件数がやや低調となっての反落も限定的となり、NY午後には134円ラインでの保ち合いからNY終盤にかけて134円40銭台まで上昇。米5月CPIが大幅鈍化とならなければ135円の節目トライとなる可能性も。その後の一服でも次週のFOMC睨みとなり、5日移動平均線(132.79)辺りまでが短期調整目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/9終値とチャート
10日の国内金価格は-42円、0.48%安で4日ぶりの反落。CPI待ちの一服状態も、インフレ緩和ペースは限定的となるのでは?との思惑などからドル高円安基調の急速な巻き戻しやNY金の大幅安なども想定し難い状況は続き、国内金価格は比較的堅調気味の推移がもう少し続きそうな状況のようにも。目先、直近高値8730円超へと抜け出すことになれば8800円台を目指す流れとなる可能性も。調整局面継続となれば5月安値(8181)から6月高値(8730)までの23.6%戻し(8600)近辺までが短期下値目安に。
週間ベースでは+164円、1.92%の続伸。
プラチナ価格は-188円、4.02%の大幅反落で6月1日(4360)以来、10日ぶりの安値。ドル円の乱高下とNYプラチナの一段安に引っ張られる形となって4700円の大台回復に失敗、短期下値サポート4630円割れに伴う下値目安4570円辺りも突き抜けての一段安で9日移動平均線(4539)も下抜け。昨年2月高値(4798)を起点にゆるやかに上値を切り下げてきた中期三角保合い上限ラインを上抜けつつあった流れは急速に巻き戻される格好となり、中長期主要レンジ上方シフトに向けた1回目のトライは失敗。4680円台が当面の、強めの抵抗水準となる可能性。その分、上抜け再トライに成功した場合には一段高となって昨年高値付近も意識され、中長期主要レンジ上方シフトへの流れ再開。
週間ベースでは-120円、2.6%の反落。
※参考:金プラチナ国内価格6/10とチャート
2022年6月10日(金)時点の相場
国内金:8,688 円 6/10(金) ▼42(0.48%)
国内プラチナ:4,494 円 6/10(金) ▼188(4.02%)
NY金:1,852.8 ドル 6/9(木) ▼3.7(0.20%)
NYプラチナ:975.9 ドル 6/9(木) ▼35.7(3.53%)
ドル円:134.36 円 6/9(木) ▲0.11(0.08%)
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