更新日:2022年6月11日(土)
米労働省発表の5月消費者物価指数(CPI)は前年比+8.58%。伸び率鈍化を予想した+8.3%を上回っただけでなく、4月の+8.26%から上昇して3月の+8.54%をも上回って1981年12月(8.92)以来、40年5ヵ月ぶりの高水準。
食品とエネルギー関連を除くコアCPIは前年比+6.02%となり、市場予想通りとなって4月の6.16%からも低下。39年7ヵ月ぶり高水準となった3月(6.47)をピークに2ヵ月連続の低下、1月(6.02)以来、4ヵ月ぶりの低水準。
セクタ別でも、食品とエネルギーを除く商品価格が前年比+8.5%となって3ヵ月連続の伸び率鈍化で7ヵ月ぶり低水準となった以外は上昇。
エネルギー関連を除くサービス価格は前年比+5.2%で9ヵ月連続の上昇。食品価格は+10.1%で12ヵ月連続の上昇。エネルギー関連価格は前年比+34.6%で3ヵ月連続30%超の高止まり。
主要品目ではガソリン価格が前年比+48.7%。3ヵ月連続40%台、昨年4月以降の13ヵ月で40%未満となったのは今年2月(+38.0)のみで+50%台も2回という異常事態。航空運賃も前年比+37.8%で7ヵ月連続上昇、中古車価格も+16.1%と3ヵ月連続の低下でも依然高水準。
この結果、5月時点での平均賃金上昇率と消費者物価上昇率との差、実質賃金上昇率は前年比-3.34%。4月の-2.80%から一段と低下し、昨年4月(-3.53)以来13ヵ月ぶりの低水準。そしてその昨年4月以降は14ヵ月連続の前年割れ。
インフレ高騰が止まらず、実質賃金は減り続け、その減少率は近年最大水準へと拡大。
この状況を反映するように、この日発表されたミシガン大消費者信頼感指数6月速報値は50.2。5月の58.4から急低下となって過去最低へ。
ドル高円安の流れが止まらないだけでなく、米国経済にもなにやら怪しい雰囲気が漂い始めます。
10日のNY金相場は+22.7ドル、1.23%の大幅反発で5月6日(1882.8)以来、5週間ぶりの高値。時間外は1850ドルを上限に1840ドル台半ばまで小幅に軟調推移、米5月CPIへの警戒感もありロンドン・NY朝にかけては1840ドル割れへと一段安。予想外に上ブレたCPI結果に対しては乱高下の反応、ドル高にも連れて一時1820ドル台半ばへと急落後に切り返すと1850ドル手前まで急反発。しかし売り買い交錯状態となって1830ドル近辺へと再反落後には米株安の流れが強まり、ドル買い円買いのリスク回避の流れにも連れて反発。ミシガン大消費者信頼感指数6月速報が大幅悪化したこともあり、1850ドル台へと急騰、NY午後には1860ドル台から1870ドル台へと一段高、高値では1880ドル近辺まで上昇。NY引け後には1875ドル近辺に収束し、1870ドル台の節目の攻防から上抜けようかという状態に。次週、現状水準以上を維持できれば堅調な流れが続きやすい状態となってFOMC待ちへ。FOMCでさらなるタカ派傾斜とならなければ一定の上昇局面形成へ、3月の今年高値(2078.8)から5月安値(1785.0)までの半値戻し(1931.9)が当面の上値目標に。
週間ベースでは+25.3ドル、1.37%の反発。
NYプラチナは-4.9ドル、0.5%安で4日続落。5月31日(968.3)以来、10日ぶりの安値水準。970ドル近辺での小幅保ち合い推移の時間外からNY朝にかけて960ドル近辺へと軟調推移。米CPI発表後の乱高下局面では950ドル近辺から970ドル台前半までのレンジで上下動、NY午後には金の急騰に追随も970ドル台回復がやっと。20日移動平均線(966.6)にもサポートされて下ヒゲ十字線を形成し、なんとか反発への可能性を示唆した格好。反発に向けては200日移動平均線(996.3)から90日移動平均線(1001.7)、大台ライン近辺が重要な攻防ラインに。下方向へは920ドルが超えてはならない重要水準。
週間ベースでは-45.4ドル、4.47%安で4週ぶりの反落。
ドル円は前日から変わらず、20年3ヵ月半ぶり高値水準での横ばい推移。東京朝には前日高値134円50銭台にわずかに届かず失速、134円近辺まで水準を切り下げての保ち合い状態に。東京午後には日銀・財務省・金融庁の3者会談が報じられ、にわかに警戒感が高まって134円割れ、欧州序盤には133円30銭台まで下落。133円台後半へと戻したNY朝には米5月CPIの結果を受けて134円30銭台から133円50銭台までのレンジで乱高下、徐々にドル高優勢の流れとなって134円台を回復するとNY終盤にかけて134円40銭台まで上昇。結果、下に行って来いとなって2日連続の下ヒゲ十字線、3日連続高値は134円50銭前後。FOMC後にもこの抵抗水準突破となれば135円の節目超えへと一段高の展開へ。なおこの日、政府日銀は3者会談後に急速な円安を憂慮する共同声明を発表。その後米財務省は外国為替報告書を発表し、従来どおり日本を監視対象国に指定。歴史的ドル高円安水準に到達し、ピークアウトも警戒され始める状況となったとたんに日米の政局も新たな、大きな変動要因として加わることに。
週間ベースでは+3.54円、2.71%の続伸。2016年11月以来5年半ぶり大幅高となった前週(+3.71円、2.92%)に次ぎ、5年半で2番めの急騰。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/10終値とチャート
2022年6月11日(土)時点の相場
国内金:8,688 円 6/10(金) ▼42(0.48%)
国内プラチナ:4,494 円 6/10(金) ▼188(4.02%)
NY金:1,875.5 ドル 6/10(金) ▲22.7(1.23%)
NYプラチナ:971.0 ドル 6/10(金) ▼4.9(0.50%)
ドル円:134.36 円 6/10(金) +-0.00(0.00%)
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