更新日:2022年6月18日(土)
前日にスイス国立銀行が市場予想に反して利上げに踏み切ったことは、日銀の政策動向への警戒感を想定以上に高めていた様子。
かつては同じ安全資産、同等の退避通貨として見られていたスイスフランと日本円。そのスイスフラン高回避の為でもある緩和政策としてマイナス金利政策を継続してきたスイス国立銀行がまさかの利上げで引き締め方向へと舵を切り、インフレ対策を強める世界の主要中央銀行に追随したことから、日銀も同じように追随するのではないか、との見方は意外にも少なくなかったようで、日銀がこの日現状維持を発表すると市場に安心感が広まった様子。前日までのドル安円高基調でドル円の調整局面を形成してきた流れからの反発局面は加速する展開に。
さらに、前日までは米経済指標が軒並み低調となり、景気悪化を懸念するリスク回避の流れも強まっていた状態もやや緩和方向へ。
この日発表された米5月の鉱工業生産指数は前月比+0.2%となって市場予想の+0.4%を下回り、設備稼働率も79.0%で市場予想の79.2%を下回り、減速感は否めない結果に。
それでも、鉱工業生産は今年ここまで5ヵ月連続で前月比プラスとなり、6ヵ月平均では+0.62%。コロナ以前の好調期でも6ヵ月平均ではほぼ0.5%以下での推移となっていた時期と比較しても堅調推移。
設備稼働率の79.0%は5ヵ月連続の上昇で2018年12月(79.2)以来、3年5ヵ月ぶりの高水準。2008年以降の平均75.8%を大きく上回る水準でもあり、やはり堅調推移。
また、鉱工業生産は前年比では+5.80%となり、4月の+5.40%を上回って3ヵ月連続上昇、昨年3月以降15ヵ月連続で前年比プラス圏推移。過去の推移と比較しても高水準での堅調推移。
ハードデータではまだ悪化が顕著とはなっていない面もあり、この日はドル高の流れを維持。
円高一服とドル高再開となったこの日、ドル円は再び高値更新トライへの様相となってきたようです。
17日のNY金相場は3日ぶりの反落で-9.3ドル、0.5%安。前日NY市場以降の急反発は時間外序盤に失速、米10年債利回り反発とドル高の流れに押されて1860ドル近辺から1840ドル台前半へと急反落。ロンドン・NY朝にかけては1850ドルを挟んでの保ち合い、NY市場でドル高の流れが強まると1840ドル近辺へと軟調推移、NY引け後には一時1840ドル割れ。米長期金利の調整一服、調整から反発へと切り返したドル高の流れを受け、上抜けたばかりの200日移動平均線(1843.2)をわずかに下抜け。この200日線を再度上抜けてサポートラインとできるかどうかが目先のポイントにも、そうなれば1850ドルに切り下げた抵抗水準との攻防へ、これも上抜けると6月高値(1880ドル台)更新トライへも。200日線が抵抗線となるようだと下方リスク再燃も、1810ドルの安値圏が徐々に意識される展開にも。
週間ベースでは-34.9ドル、1.86%の反落。水平状態の52週移動平均線(1835.2)にサポートされる状態は4週連続。
NYプラチナは-20.9ドル、2.2%安で3日ぶりの反落。前日までの大幅続伸の勢いはNY金の失速に連れる展開となり、ロンドン序盤までは940ドル台での保ち合い推移、NY市場では金の軟調推移とパラジウムの急落にも追随、940ドルを割れるとNY午後には930ドルまで下落。週初の急落で日足一目均衡表の雲の下限を割り込んだ後、週後半の反発では950ドル台の雲の下限に上値を押さえられた格好に。目先、強めの抵抗線にもなりかねない950ドル台を上抜けることができれば反発基調再開へ、短期的には980ドル近辺までは上値を伸ばす展開にも。下方向へ910ドルの安値更新の場合には890ドル程度までの下値余地拡大へ。
週間ベースでは-40.8ドル、4.2%の続落。
ドル円は277銭のドル高円安、2.1%の大幅高で3日ぶりの反発。上げ幅としては今年の絶対値平均55銭の5倍、今年最大でコロナショック時の2020年3月13日(+3.1円、2.96%)以来、2年3ヵ月ぶりの急騰。前日までの大幅続落はNY市場でつけた安値131円40銭台で底打ち、反転した流れはこの日ほぼ終日継続。東京朝の安値132円10銭台から午前中のうちに133円台を回復すると、日銀金融政策会合での現状維持を受けて134円60銭台まで急騰。直後には132円30銭台まで急反落する場面もあり、2円超の乱高下を経ても堅調推移軌道に戻ると欧州時間には134円90銭台まで上昇。米10年債利回り上昇とドル高の勢いが加速したNY時間には135円40銭台まで上昇。しかし15日の高値135円50銭台手前で上値を押さえられるとNY終盤にかけては135円割れ。短期トレンドの方向性を示す5日移動平均線(134.17)を上抜け、5日線自体も反発。目先、135円半ばの節目を突破できれば一段高の展開へ、137円台を目指す流れへ。下方向へ132円が当面の下値サポート、これを割れると調整幅拡大で130円割れを目指す流れにも。
週間ベースでは+59銭、0.44%高で3週続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/17終値とチャート
2022年6月18日(土)時点の相場
国内金:8,620 円 6/17(金) ▼24(0.28%)
国内プラチナ:4,400 円 6/17(金) ▼38(0.86%)
NY金:1,840.6 ドル 6/17(金) ▼9.3(0.50%)
NYプラチナ:930.2 ドル 6/17(金) ▼20.9(2.20%)
ドル円:134.95 円 6/17(金) ▲2.77(2.10%)
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