更新日:2023年6月16日(金)
FRBが11会合ぶりにFF金利据え置きとした翌日、ECBは8会合連続の利上げを決定し、ラガルドECB総裁は次回7月会合でも利上げ継続を示唆。これを受けてユーロ高ドル安の流れが急速に進行。
これまでもFRBの利上げ打ち止めが近いとの思惑と、ECBの利上げは継続との市場予想などからもユーロ高ドル安へと傾斜しやすい状況との見通しも優勢ではあったものの、4月以降6月初旬まではドル高ユーロ安基調が進行。ユーロドルは6月前半にようやく下げ止まりの兆しも見られ、ここに来てようやく米欧金融政策の方向性の相違が再認識され始め、ラガルド発言に背中を押されたような格好にも。
その背景にはインフレ高止まりのユーロ圏に対して、インフレ鈍化の兆しが見られ始めた米国との違いも。
今週は米CPIの鈍化傾向継続に加え、PPIも予想以上に鈍化、この日はNY連銀製造業景況指数でもインフレ関連指標は低下。
6月のNY連銀製造業景況指数は、総合指数では予想に反して下げ渋り、5月の-31.8から6.6へとプラス圏を回復。その一方で仕入価格指数は22.0となって2年10ヵ月ぶりの低水準。販売価格指数も9.0で2年8ヵ月ぶりの低水準へと急低下。
また、仕入価格見通しも2年10ヵ月ぶり低水準となり、販売価格見通しも2年8ヵ月ぶり低水準。
さらにフィラデルフィア連銀の仕入価格指数、販売価格指数も3年ぶり低水準付近での推移が続く状況に。
7月以降の利上げ再開の可否が、次の主要テーマの一つとなる可能性も。
15日のNY金は+1.8ドル、0.09%の小幅続伸で6月9日(1977.2)以来、1週間ぶりの高値。前日NY引け後のFOMCを受けての軟調局面はこの日の時間外も継続。アジア時間序盤こそ1950ドル台の保ち合い下限で下げ渋ったものの、耐え切れずロンドン市場にかけて1950ドル割れ、NY朝には5月26日安値(1936.0)以来、3週間ぶりに1930ドル台半ばまで下落。しかし8会合連続利上げを決めたラガルドECB総裁が7月利上げも示唆したことを受けてユーロドルが急上昇、これに追随する展開となって1970ドル近辺まで30ドル超の急騰。一時的には1950ドル台の節目割れに伴う短期下値目安1930ドル前後にほぼ到達したような形にもなり、5月末安値と合わせてダブルボトム形成の可能性を残して下ヒゲ陽線を形成。ゆるやかに上昇し始めた90日移動平均線(1954.1)にもサポートされ、日足レベルでは1950ドル台の下値サポートをなんとか維持したような格好にも。いずれにしても下値トライ一服となった可能性は高まり、反発にらみで1950ドル台から1980ドルまでのレンジを維持して保ち合い回帰。目先は保ち合い継続の様相も、1980ドル超へと抜け出すようなら2040ドル近辺を目標に上値再トライへ、再び下値サポート割れなら1930ドル前後を目安に下値再トライも。
NYプラチナは+11.9ドル、1.21%高で7日ぶりの反発。時間外序盤の980ドル近辺からロンドン市場では960ドル台半ばまで下落、3月29日(959.2)以来2ヵ月半ぶり安値をつけて切り返すとNY朝にはユーロドルとNY金の急騰に追随、NY午後には990ドル台へ。1000ドルの節目割れに伴う短期下値目安970ドル付近再トライとなって底打ち再確認、長めの下ヒゲを残しての反発も直近の節目1000ドルの大台手前ではいったん失速したような格好にも。ゆるやかに上昇する200日移動平均線(991.2)との攻防状態にもなり、これをしっかり上抜けると大台回復トライへ、その先に水平状態の90日移動平均線(1015.2)、短中期トレンド回復に向けた攻防へ。980ドルの節目を割れると960ドル近辺までの下値余地拡大へ。
ドル円は16銭のドル高円安、0.11%の小反発。FOMC後の急騰一服から、東京市場スタート後に上昇再開、140円近辺から午後には141円トライへ、欧州序盤には141円50銭近辺まで上昇。昨年11月23日(141.61)以来、7ヵ月ぶり高値をつけて失速も、NY朝にかけては141円30銭近辺で下げ渋り。しかしラガルドECB総裁の利上げ継続示唆発言をきっかけにユーロ主導のドル安の流れが急速に進行、141円割れへと急落すると140円10銭台まで下落。NY終盤にかけては140円30銭近辺での揉み合いも、今朝の東京市場では140円割れを試す場面も。140円20銭の節目上抜けに伴う上値目標、10月高値から1月安値の61.8%戻し(142.49)近辺を目指した流れは上ヒゲを残して急失速。140円割れへと水準を切り下げるようなら上値トライは失敗、保ち合い回帰の展開へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/15終値とチャート
16日の国内金価格は+78円、0.82%高となって3日ぶりの反発。6月2日(9652)以来、2週間ぶりの高値水準に。9570円の節目割れに伴う下値トライは、前提条件となっていたNY金の保ち合い崩れがいったんは進行しながらもNY市場で大幅に切り返す展開となったことから巻き戻し。揉み合い状態の9-21日移動平均線(9604-9603)をまとめて上抜け、9620円の節目も上抜けへ。流れとしては軟調局面から抜けきれないまま、勢いには欠けるものの最高値更新トライへの可能性が再浮上。今度はNY金の保ち合い上抜けを前提に、当面の上値目標は9780円近辺まで。
週間ベースでは+44円、0.48%の反発。
プラチナ価格は+35円、0.73%高で7日ぶりの反発。4850円の節目割れに伴う短期下値目安、2月の今年安値(4289)から5月の今年高値(5197)の半値戻し(4743)近辺トライは失敗。前提条件となっていたNYプラチナの下げ一服は崩れず、ドル円の円安トライの流れも失速しながらも崩れるまでには至らず。ただし巻き戻しの展開も限定的となり、下落局面での一服、の範囲内。4790円の節目を割れるとあらためて半値戻し(4743)近辺再トライへ。地合い回復に向けては下落軌道の9日移動平均線(4901)上抜けが必須。
週間ベースでは-83円、1.69%の反落。
※参考:金プラチナ国内価格6/16とチャート
2023年6月16日(金)時点の相場
国内金:9,646 円 6/16(金) ▲78(0.82%)
国内プラチナ:4,825 円 6/16(金) ▲35(0.73%)
NY金:1,970.7 ドル 6/15(木) ▲1.8(0.09%)
NYプラチナ:991.9 ドル 6/15(木) ▲11.9(1.21%)
ドル円:140.28 円 6/15(木) ▲0.16(0.11%)
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