更新日:2023年7月28日(金)
FOMC後のドル安局面はこの日、NY市場での米第2四半期GDP速報値の上振れなどをきっかけに反転。米10年債利回り急騰にも連れてドル高急進となり、NY金は急落の展開に。
4-6月期のGDP速報値は前期比年率+2.4%。市場予想の+1.8%を上回り、1-3月期の+2.0%からも上昇。4四半期連続で2%超を維持し、今週IMFが発表した米国の2023年成長率見通し1.8%(4月の1.6%から上方改定)にも同調するような結果。
また、FOMC後の会見でパウエルFRB議長は「FRBのエコノミスト予想では米経済成長は年内には顕著な減速が始まる可能性」を指摘しながらも「最近の強靭性から、もはやリセッションは見込んでいない」との強気発言を裏付けるような結果にも。
なお、同時刻に発表された6月の耐久財受注速報値も前月比+4.7%となって予想の+1.2%を大幅に上回って半年ぶりの高水準。
新規失業保険申請件数は5ヵ月ぶりの低水準。失業保険継続受給者数は半年ぶりの低水準。
これら一連の米経済指標の好結果もGDPの押上げやパウエル議長の強気をサポート。
なお、GDPの四半期推移とこれまで連動性が強かったISM製造業景況指数(の四半期平均)は足下で低調となり、リセッション入りを示唆するような状況にもなっていますが、これにも反する格好となった様子。ただし年後半の落ち込みを示唆している可能性は、まだ残りそうです。
27日のNY金は-24.4ドル、1.24%安で3日ぶりの反落。7月11日(1937.1)以来、半月ぶりの安値。1970ドル台を中心とした保ち合い推移から、ロンドン序盤には一時1週間ぶり高値となる1980ドル台まで上昇。しかしNY市場では米GDPの上振れなど一連の指標が好結果となったことを受け、米長期金利急騰とドル高の流れに伴い1940ドル台へと30ドル余りの急落。安値では1940ドル付近まで下げ、保ち合い下限1960ドル割れに伴う短期下値目安、6月安値(1900.6)から7月高値(1989.8)の61.8%戻し(1934.7)近辺にもほぼ到達したような状態に。週末のPCEで予想外のインフレ高止まりとならない限りは一定の巻き戻しの展開にも。反発方向へは1970ドルの節目を上抜けると2000ドルの大台近辺トライへ。
NYプラチナは-27.0ドル、2.78%の続落で7月11日(932.4)以来、半月ぶりの安値。970ドル台での保ち合いとなった時間外には前日高値をわずかに上回る980ドル台まで上昇も、980ドルの抵抗感払拭には至らず、ロンドン時間からは軟調推移。NY朝には金の急落局面に追随、970ドルを割れると940ドル付近まで、30ドル超の急落。960ドルの節目割れに伴う短期下値目安、6月安値(894.2)から7月高値(1003.7)の61.8%戻し(936.0)近辺にもほぼ到達した格好。この近辺で下げ止まれば980ドルまでが当面の主要レンジとなり、980ドル超へと反発できれば1000ドルの大台回復トライへも。
ドル円は69銭のドル安円高、0.49%安で4日続落。7月18日(138.83)以来の安値へと一段安。東京朝には前日安値を下回り、139円30銭台まで下げて切り返し。140円近辺で膠着状態となった欧州時間を経て、NY朝には米GDPに失業保険申請件数、耐久財受注、住宅関連指標などこの日発表された米経済指標が軒並み想定以上の好結果となったことを受けて長期金利上昇とともにドル高急進、高値では141円30銭台まで上昇。しかしNY午後には日銀のYCC修正案に関する報道を受けて円高急進、140円割れへと急落するとNY終盤には139円も割れて一時138円70銭台まで下落。日銀の動きをある程度織り込んでの急落となり、日銀発表後の下値は限定的となる可能性。逆にもし現状維持ということになると大幅巻き戻しの展開にも。当面の主要レンジ138円から142円手前までを維持しての展開継続か。ただし日銀修正とPCE下振れで138円を割り込むようだと137円近辺まで下値余地拡大へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/27終値とチャート
28日の国内金価格は-200円、2.06%の大幅続落で7月14日(9499)以来、2週間ぶりの安値。下げ幅としては今年最大、昨年12月以来7ヵ月ぶりの急落。NY朝の米指標好結果を受けてのNY金急落に、NY午後の日銀報道を受けての円高急進が加わって下押し圧力倍増。9700円の節目割れに伴う短期下値目安9620円台辺りを突き抜け、先週から今週月曜にかけての急騰局面帳消しとなってトリプルトップ・三尊天井懸念も再燃。形式上はネックラインとなる7月安値(9499)を下回れば三尊天井完成、短中期的には最大値幅(9722-9499=223)程度の下落も想定可能となり、そうなった場合の下値目安は9276円。ただし右肩上がりの90日移動平均線(9519)も下値サポート候補となり、短期的にはNY金の急落からの巻き戻し、事実確認で円高巻き戻しなども想定されるところ。
週間ベースでは-162円、1.67%の大幅反落。12月以来7ヵ月ぶり、今年最大の急落。
プラチナ価格は-165円、3.5%の大幅続落で7月12日(4507)以来、半月ぶりの安値。反発局面一服後の保ち合い局面が崩れて急落、節目となる4700円の大台割れに伴う短期下値目安、7月安値から7月高値(4762)までの61.8%戻し(4604)近辺を突き抜け、76.4%戻し(4566)も達成してオーバーラン。100%戻しとなる7月安値4500円近辺は中期的には重要水準、サポートされやすい反面、これを割れると中期トレンド転換も、反発局面が巻き戻されて中期下落トレンド再開が警戒される状況へ。
週間ベースでは-108円、2.32%の大幅安で3週ぶりの反落。今年4番めの急落。
※参考:金プラチナ国内価格7/28とチャート
2023年7月28日(金)時点の相場
国内金:9,529 円 7/28(金) ▼200(2.06%)
国内プラチナ:4,549 円 7/28(金) ▼165(3.50%)
NY金:1,945.7 ドル 7/27(木) ▼24.4(1.24%)
NYプラチナ:945.0 ドル 7/27(木) ▼27.0(2.78%)
ドル円:139.55 円 7/27(木) ▼0.69(0.49%)
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