更新日:2023年7月29日(土)
もしかして覆面介入?とも勘ぐってしまうような突然の日銀動向リーク報道から始まった週末の市場混乱劇。やっぱり今回も現状維持?が市場コンセンサスとなっていたはずの日銀7月会合、前日深夜になって突然のYCC修正報道で円高急進。
YCCの金利変動許容レンジの拡大のようで拡大ではなく、運用で柔軟に対応?
YCC撤廃に向けた準備段階のようで、そうでもなく、もちろん金融政策正常化に向けた措置でもない?
非常に複雑怪奇なしくみとなってしまった日銀の金融緩和政策のなかで、市場の短期金利誘導目標、いわゆる政策金利-0.1%の設定については何ら変更はなし。ただし、その付随機能としての長期金利上限抑制策、YCCにおける運用方法を「少し柔軟に」する、ということのよう。それでも事実上の長期金利の上限引き上げ、と解釈することもできそう・・・。
ともあれ、混乱直前の7月27日木曜深夜2時台、急落前の水準141円10銭台まで、ドル円は買い戻されたようです。
ドル円買い戻しの途中、28日金曜NY時間に発表された6月のPCEではインフレ鈍化の進行を再確認。
PCEは前年比+2.97%となり、市場予想の+3.0%とほぼ一致。続落となって2021年3月(2.53)以来、2年3ヵ月ぶりの低水準。小数点以下2桁で見れば3%割れ、となるのも2年3ヵ月ぶり。
コアPCEは前年比+4.10%。こちらは市場予想+4.2%を下回り、5月の+4.58%からも0.48%の急低下となって続落、2021年9月(3.92)以来、1年9ヵ月ぶりの低水準。
セクタ別では、モノの価格が前年比-0.6%となって2年7ヵ月ぶり低水準となって遂に前年割れ。その一方でサービス価格は+4.9%で続落、11ヵ月ぶり低水準。下げ余地はまだまだ。
ダラス連銀発表のトリム平均PCEは前年比+4.24%。前月から-0.38%の急低下、40年半ぶり高水準となった4月から続落で13ヵ月ぶり低水準。14ヵ月連続4%台での推移。
クリーブランド連銀発表のメディアンPCEは前年比+5.02%。前月から-0.43%の急低下、40年7ヵ月ぶり高水準となった3月からは3ヵ月続落で13ヵ月ぶりの低水準。13ヵ月連続5%台。
いずれもインフレ鈍化が順調に進行し始めた状態。ただし元の水準(戻るべき水準)までは距離を残し、それなりの時間が必要に。
週末のドル円のようには行かず、歴史的高水準まで拡大した日米金利差が縮小へと向かい始めるまでにも、まだ長い時間が必要となりそうです。
28日のNY金は+54.2ドル、2.79%の大幅反発となって5月15日(2022.7)以来、2ヵ月半ぶりの高値。上げ幅は今年の絶対値平均13.0ドルの4倍超、今年最大で昨年12月1日以来、ほぼ8ヵ月ぶりの急騰。12月限への限月交替に伴い1980ドル台へ、40ドル程水準を切り上げて時間外をスタート。ゆるやかな堅調推移となってNY市場までに1990ドル台へ、NY朝には米4-6月期の雇用コスト指数の伸びが予想よりも鈍化し、6月のコアPCEも予想以上に鈍化。さらに7月のミシガン大消費者信頼感指数も好調ながら速報値からは下方修正、5年先インフレ期待も3.1%から3.0%へと下方改定。インフレ鈍化基調の進行が意識されたことにもサポートされ、米株高基調とともに一段高となってNY午後には高値で2000ドルの大台超え。1970ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標2000ドルの大台近辺にも到達したことで一服感も、当面の下値サポート候補は90日移動平均線(1980.1)。
週間ベースでは+33.3ドル、1.69%高で4週続伸。4月初旬以来、3ヵ月半ぶりの大幅高、4週続伸も3ヵ月半ぶり。
NYプラチナは-1.3ドル、0.14%の小幅安で3日続落。7月11日(932.4)以来、半月ぶり安値圏での下げ渋り。NY午前には一時935ドルまで下落も、それ以外はほぼ940ドル台での保ち合い推移に終始。この日の変動値幅は14.5ドルにとどまり、今年の平均27.8ドルのほぼ半分、今年6番めの小動き。960ドルの節目割れに伴う短期下値目安、6月安値(894.2)から7月高値(1003.7)の61.8%戻し(936.0)を達成し、小さな十字線を形成。下値トライ一服と下げ渋りの可能性も示唆し、ゆるやかに上昇する20日移動平均線(954.2)を早期上抜けできれば反発トライへ。これが抵抗線となるようだと上値の重い展開継続にも。
金との価格差は1056.2ドルとなり、2020年8月7日(1057.6)以来、ほぼ3年ぶりの水準まで拡大。
週間ベースでは-28.5ドル、2.93%の続落。
ドル円は162銭のドル高円安、1.16%の大幅高となって5日ぶりの反発。3日分の下げ幅を取り戻して週初、7月24日(141.50)以来の水準を回復。前日の乱高下を上回る大幅変動に。東京朝の139円を挟んでの保ち合いから、日銀会合結果の発表直後には138円台半ばから141円台までの乱高下、その後138円ちょうど付近まで下げて切り返すと、植田日銀総裁会見を経て140円台を回復。欧州時間にはやや軟調推移となって再び139円割れを試す場面もあったものの、NY市場では反発。PCEインフレ鈍化などの下押し材料にも屈せず、日銀政策修正に伴う円高圧力が急速に強まる混乱状態から落ち着きを取り戻すに連れてドル円の買い戻しが進行した格好に。NY午後には140円台後半、MY終盤には141円台を回復。この日の変動値幅は310銭となり、今年の平均142銭の2.2倍、今年4番めの大幅変動。下ヒゲ大陽線を形成し、抵抗線となっていた20日移動平均線(140.98)もわずかに上抜け。これを維持できるなら月末月初の次週、指標結果次第で一段高を試す場面も。141円90銭の節目を上抜けると143円トライへ。139円半ばが当面の下値サポート、これを割れるようだと138円近辺までの一段安も。
週間ベースでは-67銭、0.47%の反落。3週連続で52週移動平均線(137.69)に下値をサポートされた状態。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/28終値とチャート
2023年7月29日(土)時点の相場
国内金:9,529 円 7/28(金) ▼200(2.06%)
国内プラチナ:4,549 円 7/28(金) ▼165(3.50%)
NY金:1,999.9 ドル 7/28(金) ▲54.2(2.79%)
NYプラチナ:943.7 ドル 7/28(金) ▼1.3(0.14%)
ドル円:141.17 円 7/28(金) ▲1.62(1.16%)
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